2024年度の宅配水市場は前年度比1.2%増の見込
~宅配水市場は踊り場、宅配水事業者は戦略的に給水型ウォーターサーバー事業に注力~
1.市場概況
2023年度の宅配水市場規模は、末端金額(エンドユーザ販売金額)ベースで前年度比101.1%の1,770億円と微増にとどまり、伸長率は鈍化傾向にある。宅配水の顧客件数は概ね横ばいで推移したものの、猛暑で夏場の1件当たりの水の消費量が増加したことにより、ボトル販売本数は微増となった。
宅配水の市場規模は依然大きいものの、配送料金などの価格改定により、大手の宅配水事業者は給水型ウォーターサーバーに参入し、戦略的に宅配水の新規顧客獲得への注力度合を下げており、宅配水の新規獲得数が鈍化した。
2.注目トピック
宅配水事業者は戦略的に給水型ウォーターサーバーに注力
給水型ウォーターサーバーは、2023年度も累計出荷台数ベース、販売金額ベースともに前年度比2桁伸長を続けている。設置工事不要で参入障壁が低い給水型ウォーターサーバー市場の拡大を背景に、宅配水事業者による給水型ウォーターサーバーへの新規参入が市場成長を押し上げている。
2023年度は、給水型ウォーターサーバーの顧客獲得のしやすさから、販売代理店による顧客獲得活動が積極的だったことや、参入企業において既存の給水型ウォーターサーバーブランドから新たなサーバーが投入されるなど、給水型ウォーターサーバーのバリエーションが拡大していることも追い風となっている。
3.将来展望
2024年度の宅配水市場規模は、前年度比101.2%の1,792億円の見込みである。宅配水市場では、参入企業は戦略的に宅配水の新規顧客獲得への注力度合を下げており、市場自体の成長率は鈍化を見込む。
当面、給水型ウォーターサーバーの市場が活況になる見込みであることから、宅配水の新規顧客獲得には注力せず、既存顧客向けの施策により長期利用者のロイヤリティ向上に努めることでLTV向上を図る企業が増えていくと考える。
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調査要綱
2.調査対象: 宅配水製造企業や給水型ウォーターサーバー・水道直結型ウォーターサーバー(POU)を取り扱っている企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<宅配水市場とは>
本調査における宅配水市場とは、ウォーターサーバーとセットで供給されるミネラルウォーターで家庭や事業所などに宅配されるものを対象とし、末端金額(エンドユーザ販売金額)ベースで算出した。
但し、ウォーターサーバーを利用しないタイプや、ウォーターサーバーのみを利用するタイプ(給水型ウォーターサーバーや水道直結型ウォーターサーバー(POU))、ペットボトルの宅配などを除く。
<給水型ウォーターサーバーとは>
給水型ウォーターサーバーとは、使用者がサーバー本体に水道水を注ぎ、内蔵した高機能な浄水フィルターを通して本体内のタンクに貯め、給水するウォーターサーバーを指す。浄水型ウォーターサーバーや浄水器一体型ウォーターサーバーとも呼ばれる。
<水道直結型ウォーターサーバー(POU)とは>
水道直結型ウォーターサーバー(POU:Point of Use)とは、サーバー本体に水道水を引き込み、内蔵した高機能な浄水フィルターを通して本体内のタンクに貯めるもので、水が使用された後は自動的に造水をはじめ、再びタンク内を満たすウォーターサーバーを指す。
<市場に含まれる商品・サービス>
宅配水、給水型ウォーターサーバー、水道直結型ウォーターサーバー(POU)
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