プレスリリース
No.3763
2025/03/24
産直ビジネスに関する調査を実施(2024年)

2023年の産直農産品市場規模は前年比103.2%の3兆4,244億円と推計
~産直農産品市場が成長、農産品市場全体に占める産直農産品の構成比は2023年の36.3%から2030年は41.9%まで拡大を予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の産直ビジネス市場を調査し、市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは、卸売市場流通と産直農産品を合算した農産品国内市場規模推移・予測について、公表する。
農産品(産直農産品+卸売市場流通)国内市場規模推移・予測
農産品(産直農産品+卸売市場流通)国内市場規模推移・予測

1.市場概況

本調査における産直ビジネスとは、従来の卸売市場を経由せず、直接、産地から小売事業者や消費者等に農産品を流通させる事業をさし、産直農産品はこうして流通した国産の青果物(米、果実含む)を対象とする。
近年の天候不良や災害による卸売市場の価格相場の不安定化を背景に、食品スーパーや加工食品メーカー、外食チェーン企業などは、仕入れ原価の安定化や一括仕入れ、プライベートブランド商品の調達、鮮度や品揃えの向上を目的として、産地との直接取引を増やしており、産直農産品の市場規模は年々拡大を続けている。
一方、国内の農産品市場全体では、現在、農業生産法人や一般法人の農業参入が離農による生産減を補うことで現状を維持しており、2023年の農産品(産直農産品+卸売市場流通)国内市場規模(事業者による流通総額ベース)は、前年比99.9%の9兆4,436億円であった。このうち、産直農産品の市場規模は、前年比103.2%の3兆4,244億円と推計した。農産品市場全体に占める産直農産品の構成比は36.3%となった。

2.注目トピック

大手の小売店舗を中心にオーガニック野菜の品揃えが増え、流通量が拡大

近年、消費者や生産者の間にも、SDGsの観点から環境保護による持続可能な社会の実現に向けた取組みに対して理解が深まりつつある。
農林水産省によると有機JASほ場の耕地面積は、直近10年間で約2倍に拡大しており、2023年度では18,837haとなっている。また、スーパーマーケットでは、大手の店舗を中心にオーガニック野菜の品揃えが増えており、事業者間での流通量が拡大している。

このようにオーガニック農産物の需要は拡大を続けているが、生産・流通・販売の各段階において依然として多くの課題が残されている。
特に、生産と流通における課題が重要視されており、有機農業では、化学農薬や化学肥料を使用しないため、病害虫や雑草への対策に膨大な労力が必要であり、これが労働力確保の大きな障壁となっている。また、オーガニック農産物は市場流通の基盤が未整備であるため、流通は必然的に卸売市場外での取引に依存する形となっており、流通コストや販路確保の課題が指摘されている。

​国内のオーガニック農産物流通市場は、生産者や流通小売事業者の取り組みによって大きな成長の可能性を秘めている。特に、生産体制の強化や、物流の効率化、ブランド価値の訴求といった取り組みの進展により、市場のさらなる成長が期待される。

3.将来展望

国内農業従事者の高齢化は深刻であり、農林水産省によると主に自営農業に従事する農業就業人口(基幹的農業従事者)は、2000年の約240万人から2023年には約116万人と半減しており、年齢構成のピークは70歳以上に達している。このため、国内農作物の生産を支える人的基盤が急速に失われつつあり、営農形態の変革が急務となっている。法人営農の進展がみられるものの、小規模で多数の生産者が全国に分散しているため、品質や供給量の不均衡が依然として課題となっている。
こうした状況を踏まえると、国産の青果物流通においては卸売市場が中心的な役割を担い、その不足部分を市場外流通が補完するという構図が今後も続くと考えられる。
しかしながら、生産者・産地や、流通企業、需要家企業を含む垂直統合型フードチェーン化の傾向は強まっており、卸売市場流通のみで再生産価格(種や肥料、資材、運賃、労働賃金など農産物の生産にかかったすべてのコスト)の保証や多様化する需要ニーズに対応することは困難である。このため、卸売市場流通と市場外流通が相互に補完し合う形への変容が進むと考えられる。

産直農産品市場は2024年から2030年までの年平均成長率(CAGR)が2.8%で推移し、2030年の産直農産品市場(事業者による流通総額ベース)は4兆1,863億円に達すると予測する。農産品市場全体に占める産直農産品の構成比は41.9%の見込みで、地方経済の活性化や生産者の収益向上、消費者が新鮮で安全な農産品をより手軽に入手できる環境の整備にもつながると考えられる。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2024年7月~2025年1月
    2.調査対象: 農業生産法人(自社・契約型農場、CSA)、農産品流通事業者(オーガニック農産品流通、産直プラットフォーム)、農産品販売事業者(農産品直売所、フードロス関連ビジネス、体験型農業テーマパーク[観光農園]、産直宅配、需給マッチングビジネス[オンラインマルシェ])等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・質問紙等による間接ヒアリング、ならびに文献調査併用

    <産直ビジネス、産直農産品市場とは>

    本調査における産直ビジネスとは、従来の卸売市場を経由せず、卸売市場外(市場外流通)で、直接、産地から小売事業者や消費者等に農産品を流通させる事業(契約栽培、農産品直売所、産直宅配、需給マッチングビジネス[オンラインマルシェ]等)をさす。産直農産品は、こうして流通した国産の青果物(米、果実含む)を対象とし、輸入品は除く。

    なお、本調査における産直農産品市場規模は、事業者による流通総額ベースにて算出しているが、これは各末端チャネルでの国産青果物の販売額の合計である。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    自社・契約型農場、CSA(地域支援型農業)、オーガニック農産品流通、産直プラットフォーム、農産品直売所、フードロス関連ビジネス、体験型農業テーマパーク(観光農園)、産直宅配、需給マッチン グビジネス(オンラインマルシェ)

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2025年01月31日
    体裁
    A4 418ページ
    価格(税込)
    198,000円 (本体価格 180,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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