2007年版 病院・クリニック経営の新展開

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発刊日
2007/03/29
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体裁
A4 / 196頁
資料コード
C48117000
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リサーチ内容

第1章 病院・クリニックにおける経営新展開

1.急性期医療はDPC対象病院のみが担いえるのか
DPCは経営ツールのひとつ
2001年4月DRG/PPSの調査対象病院(表)
有益に活用すれば医療の標準化と効率化が進む
DPCをチャンスに変える病院と脅威と受け止める病院
DPC対象病院となる病院の基準
DPC対象病院の要件は見直しの可能性大。全ての準備病院が対象病院に移行できるとは
限らない
中小急性期病院・専門病院への評価にも課題が残る
亜急性期医療・かかりつけ機能を担う一般病床の入院料もDPC同様の包括化の可能性あり
亜急性期入院医療管理料の条件と包括範囲
亜急性期入院医療管理料算定病院数の推移(グラフ)
病床数の推移(亜急性期入院医療管理料・回復期リハビリテーション病棟入院料)[グラフ]
DPCで包括される診療行為
急性期医療の担い手として看過できないクリニックの機動性

2.病院・クリニックのグループ戦略
クリニックであってもグループであれば高機能化や様々なトライアルが可能
外来分離から一歩前進。病院がつくったクリニックには病院を超える付加機能も
本拠地では複合体としての機能を担い、交通至便の地で専門特化を狙う
ひとつのエリアで複合型グループを形成した後の発展を望むなら他エリアか他事業に進出
進む医療周辺ビジネスへの参入と保険外診療。「健康な人」を対象にしたビジネスに注目集まる
成長を遂げるグループの条件と今後の課題

3.企業との提携により新たな市場をつくりだす
有料老人ホーム運営の成否を分けた、ノウハウの有無
建物の建設・管理は営利法人、医療サービスの提供は医療機関という役割分担で、
高齢者住居の付加価値を高める
先端医療を担うクリニックと企業との連携によりビジネスモデルを創出
富裕層を対象にしたライフスタイル支援でも多方面からの知識集約・提携

4.事業単体では収益確保難も予想される医療機関の予防・保健サービスの行方
医療保険、介護保険からの収入を減少させる可能性もある予防・保健への対応
医療機関にもインセンティブのある制度でなければ保健・予防効果を得られない可能性も

5.病院・クリニックを含めた医療提供体制未来予想図
急性期医療の担い手は多様だが、病床数は40万床~60万床に集約
療養病床をめぐる混乱。収拾した後もやはり15万床に絞り込まれる可能性あり
一般病床数と療養病床数の増減傾向(グラフ)
地域一般病床、亜急性期医療の担い手は、DPC対象外の一般病床だけでなく
医療保険療養病床も。特徴を持たないケアミックス病院に迫られる厳しい選択
得意分野を見出せない病院は他にない経営展開の検討が必要。
急性期医療はDPC対象病院、専門病院、専門クリニックが担い手
病院・クリニックを含めた医療体制未来予想(表)

第2章 DPC対象病院の実態と病院グループとしての戦略

1.カレスグループ
北海道内の病院を相次いで再建。高額医療機器による先端医療を担う傍らグループ理念に沿い、個人のライフステージに応じた健康づくりのビジネスモデル構築へ
企業立病院を立て直し道内の病院を複数再生。全国20病院の経営支援も行う
カレスグループと関連法人(表)
日鋼記念病院におけるDPC活用
札幌地域と胆振地域を中心に地域住民と手を携え「保健・医療・福祉」を見直す。統括本部が
グループ戦略の要
人材育成事業への取り組み
REITの活用も視野に重粒子線治療機器導入の検討を開始。
札幌LSIクリニックから始まった健康づくりモデルは「医療コンシェルジュ構想」へ
カレスグループ所在地別一覧(表)
カレスグループ機能別一覧(表)
カレスグループ沿革

2.渓仁会グループ
2,200人の従業員、60超の事業所を有する病院グループ。地域とのつながりを重視し、セコム提携病院、VHJ機構会員病院として、医療の質向上と効率化に向け規模のメリットを享受
道内有数の病院グループ。VHJ、セコムとの提携により、医療の質と効率化を図る
渓仁会グループの法人と施設(表)
医療の質向上のためにVHJの設立メンバーに。長銀の経営破綻によりセコムと提携。
診療材料の購入は最も有利な手段を選択し情報交換により病院の経営力を高める
セコムグループのメディカル事業(表)
ドクターヘリを運行し急性期医療を極める手稲渓仁会病院。
DPCは医療と経営の質を高めるツール、DRG/PPSへの移行に備える
地域と連携しながら、グループとしてヘルスアップ事業、介護予防に関わる
渓仁会グループ機能別一覧(表)
渓仁会グループ所在地別一覧(表)
渓仁会グループ沿革

<参考>
VHJ機構会員病院一覧(表)
セコム提携病院グループ一覧(表)

3.赤穂中央病院グループ
本拠地で総合機能を担い医療・介護サービスの占有率を4割近くに高め、他エリア・他サービスはM&Aにより開拓する
赤穂市という地域に密着。当該エリア内で医療・介護サービスの占有率38%を目指す
周辺地域では市町村合併、高齢化が進行。
M&Aを積極的に進め他エリア・関連事業にも進出
DPC導入を視野に2004年3月から診療行為の標準化とコストマネジメントをスタート
調整係数が廃止されても原価計算に基づいた診療報酬体系が構築されれば収支は良好に
赤穂中央病院グループ機能別一覧(表)
医療法人伯鳳会2005年度・2006年度収支比較(表)
赤穂中央病院グループ所在地別一覧(表)
赤穂中央病院グループの法人と施設(表)
赤穂中央病院グループ沿革
 
◆試行的適用病院から対象病院へと移行した施設では、DPCは経営ツールとして定着。
グループとして、次なる展開を検討中
ベンチマーク分析により、さらなる医療の標準化、質の向上、効率化を実現。
課題は次の施策への準備と対応
地域性や病院の特性を踏まえつつ、グループとしては新しい戦略に着手
調整係数廃止後、DPC定着後を見通す。求められる「評価係数」見直しによる適切な評価

4.特別・特定医療法人若弘会
救急医療の充実を最優先課題に位置づけた医療法人若弘会。グループ内の人材を急性期病院にシフト、若草第一病院の新棟建て替え工事においてハード面の整備も図る
療養病棟の抜本的な見直しには時間的な余裕があるが、救急整備は待ったなしと判断
特別・特定医療法人若弘会機能別施設一覧(表)
特別・特定医療法人若弘会所在地別一覧(表)
特別・特定医療法人若弘会沿革

第3章 中小規模優良病院・専門病院の挑戦

1.医療法人財団 神尾記念病院(東京都千代田区・34床)
患者の満足度を高めるための先見性の高いサービス、高度医療を提供してきた都市型専門病院の新たな挑戦は美容医療・アンチエイジング外来
都心部における民間病院運営の一形態「専門病院」
年度別 手術件数(グラフ)
充実したスタッフを集め、満足度を高めるためのアイデア・取り組みで患者から支持
年度別 新患数(グラフ)
合併症の患者にも質の高い医療を提供するために大学病院・専門病院と連携するほか
耳鼻咽喉科以外の
医師をアソシエイト・ドクターとして招き全国の耳鼻咽喉科医院と提携する
DPC対象病院でなくとも2006年4月~12月は3.2%の収入増
将来にわたって患者の要望に応え経営を維持するために美容医療・アンチエイジング外来を
実施
病院等施設概要
医療法人財団 神尾記念病院 沿革
連携診療所(アテンディング・ドクター)[表]
連携医療機関(表)
医師を派遣している医療機関(表)

2.医療法人社団 北原脳神経外科病院(東京都八王子市・110床)
年間手術件数200件以上を集める110床の脳神経外科専門病院が目指すのは、海外展開と病院を中心とした街づくりを通じた医療モデルの構築、現行の医療体制への警鐘
日本の医療を輸入産業から輸出産業へ
効率的な診療で、年間1万人の初診患者を集め、地域内に診療拠点を増やす
年度別手術件数(グラフ)
種類別手術実施件数(表)
医療分野における流通革命を視野に、医薬品、医療材料、建て替え、資金調達に至るまで
効率化を図る
患者本位の低コスト医療を目指してボランティアシステムを展開、地域通貨発行も検討
日本の医療を変えるために、病院を中心とした街づくりと海外での医療展開に着手
事業規模拡大に合わせた病院の組織改革、企業化を図る
病院等施設概要
医療法人社団 北原脳神経外科病院 沿革

3.医療法人偕行会 名古屋共立病院(愛知県名古屋市・156床)
愛知県を中心にした15の人工透析専門クリニック、リハビリテーション病院、介護施設保健事業が、グループの高度・急性期医療を補完。低所得者向けの診療を企画する一方、保険診療に捉われることのないセレブ向けサービスを計画
高度急性期医療を担う名古屋共立病院を中心に、人工透析専門クリニック、介護施設・
サービスでグループ形成。規模の特性を活かして高収益体質を築き新たなサービスを開拓
人工透析中心の病院から総合機能の保持を経て高度医療実施機関へ
従前からの看護師確保策により入院収入増加、
職員の経営マインドと本部との連携でコストマネジメントを行い、効率経営を実現
ガバナンス機能強化を念頭に、東海・関東地区に集約して透析クリニック開設、
経営難に陥った小規模・単独型の透析センターの経営譲渡受け入れも検討
画像診断クリニックを開設し大学等との連携を図りながらPET-CT用薬剤の研究を
進めるほか、富裕層向けの医療サービス提供を計画
病院概要
医療法人偕行会グループ施設機能別一覧(表)
偕行会グループ所在地別一覧(表)
偕行会グループ中部・東海地区以外の施設
偕行会グループ沿革


◆病床数は小規模ながらも高度・急性期医療を担い、多くの患者・手術件数を集める。病床に縛られない医療、選択と集中により、専門分野の延長にある新たな領域への進出も盛ん
DPC対象病院になることのメリットを感じられない、急性期医療を担う中小専門病院
専門病院・クリニック間の連携で、相乗効果を得ることも可能
医薬品・材料の仕入れでも有利な条件をひきだし得る
病床数が小規模であるからこその自由な発想。高度医療・保険外診療・海外進出
選択と集中により、大規模病院以上のパフォーマンスを示す

4.医療法人博愛会(相良病院・さがらクリニック21・さがらパース通りクリニック)
乳がん専門病院から女性のための専門病院へ。国内第4位の乳がん手術件数を誇る医療法人博愛会相良病院(81床)の専門分野深耕と患者ニーズへの対応
いち早く「乳がん」専門病院に特化。
実績を基に、新たに女性のための専門病院としての機能を打ち出す
相良病院における「乳がん専門病院」という選択と集中
相良病院の乳がん手術件数推移(グラフ)
乳がん専門から女性のための医療へ。放射線治療センターの整備により専門分野の深耕も
病院等施設概要
医療法人博愛会 沿革

第4章 グループ化と高機能化により新たな展開を図るクリニック

1.廣仁会グループ
皮膚科領域のあらゆる診療に対応するクリニックグループ。美容、在宅、立地に応じた診療体制づくりなど様々な分野に挑戦、今後の皮膚科医院のあり方を開拓する
低額な診療単価を患者数確保で補う皮膚科医院経営からの脱却を図る
疾病分類別1日あたり保険点数(表)
1施設当たり初診患者数・再診患者延数・外来診療日数・在院患者延数;無床診療所(表)
定年を迎えた先輩医師を招聘しクリニックを複数開設、評価を得て次の世代に引き継ぐ
褥そう予防・訪問診療から最先端医療・美容まで皮膚科領域全般を診療する
レーザー等を含めた光線治療機設置台数(表)
高額治療機器の試験導入、将来を見据えた投資などを実行し得る点がグループメリット
過疎地での診療、大学との連携、デパート内開業など、
今後の皮膚科医院のあり方について、多方面からトライアルを重ねる
廣仁会グループ 医療施設等一覧(表)
廣仁会グループ 沿革

2.セントラルクリニックグループ(医療法人土合会・社会福祉法人やすらぎ会)
地域に根付いた医療・介護を実践する病院グループから、立地に応じたクリニック複数展開へ
首都圏において2年間で4クリニックをオープン
茨城県神栖市を中心にした保健・医療・福祉の複合体から首都圏へ
都市型のクリニックとして、開業時からMRI、CTを導入。
頭痛外来の設置、企業健診の獲得等で運営を軌道にのせる
収入の内訳は自由診療35%、保険診療65%
豊富な自費診療メニューのなかで収支上プラスなのは、人間ドックと健診
1日平均患者数(表)
保険診療8割の品川シーサイドクリニックと老健併設診療所も開設
様々な診療領域に対応するために大学を引退した専門の医師を受け入れ、
医師が各クリニックを回るという診療体制を築く
健全な収支構造・経営体制を築き、積極的にM&Aを行いたい
セントラルクリニックグループ(医療法人土合会・社会福祉法人やすらぎ会)沿革
セントラルクリニックグループ 医療施設等一覧(表)

3.明日佳クリニックグループ
アメニティと同様に医療レベルを統一したい有料老人ホーム事業者からの依頼を受け東京都と埼玉県に往診専門クリニックを開設
有料老人ホーム往診クリニックを都内4か所、埼玉県1か所に設置
いずれのクリニックも2006年度診療報酬改定で新設された「在宅療養支援診療所」を届出
医師・看護師、有料老人ホームの施設長、外部連携により無理なく効率的な診療体制を構築
医師の勤務体制(定期的な往診が月曜日~金曜日と仮定した場合)(表)
アメニティ、食事、医療に関するノウハウ・人材の3要素が整うことで、
高齢者に良質なサービスを提供することが可能
有料老人ホーム開設企業の意向をくみながら今後は予防医学、他科との連携に注力したい
明日佳グループ所在地別一覧(表)
明日佳グループ施設機能別一覧(表)
明日佳グループ沿革

4.医療法人宝積会大木記念女性のための菊池がんクリニック(埼玉県所沢市)
バイオマーカーによる診断、分子標的薬による治療、闘病意欲の向上を担う最先端のがん専門クリニック。タンパク質の分析を進め簡易な婦人科がん診断薬キット開発をめざす
婦人科・乳がん検診への抵抗を減らすために、血中タンパク質を解析。
子宮体がんの診断薬として有望なタンパク質を発見し特許出願中
がん検診受診率の推移(グラフ)
入院中心のがん治療から外来へ。ストレスケアセンター設置で患者のモチベーション維持
個性を持つ「がん」に対して個に応じた治療を実施。
保険診療も行うが、エビデンスに基づいた保険に縛られない治療も講じる
日本で保険収載されている分子標的薬(表)
血清プロテオミクス解析により、受診者に負担の少ない婦人科がんの簡易測定機器
・診断薬キットを開発、新たながん診断方法確立が目標
クリニック概要
 
◆家庭医機能に徹するグループが形成される一方で、がんの免疫細胞療法を実施する、高額医療機器を有し専門医療を担うといったクリニックも出現
グループを組むことで24時間にわたる診療体制を可能にし「在宅療養支援診療所」へ
在宅療養支援診療所届出数(グラフ)
各科専門医が集まることで総合機能を維持。
複数の疾患を抱えた高齢者にも病院と同等の医療を提供
多勢を占める透析クリニックグループは一層のグループ化が進む可能性大
増加が著しいのは、がんの免疫細胞療法、美容外科、健診・人間ドック
機能分化が推進され、病院経営に厳しさが増すなか、医療技術の進歩の後押しも受け高機能クリニック誕生
企業との提携により、高度医療、総合機能を提供する
複数の企業とジョンズ・ホプキンス・メディスン・インターナショナルの協力を得て開設された「東京ミッドタウン メディカルセンター」にみるクリニックの将来像

第5章 企業との提携等を通じて新規事業に取り組む

1.財団法人仁和会総合病院(東京都八王子市・193床)
等価交換スキームを活用し1~3階は病院、4階以降はマンションへ。好立地だが、資金調達難の病院建て替えに新しい手法を取り入れる
複数企業の提案を受け等価交換スキームによる病院建て替えを決意
戦災で焦土と化した八王子に財団法人を設立し病院を建設。社会福祉に貢献
隣接地にクリニックを開設し外来機能を維持したまま、新病院建て替えへ
マンション購入者の健康管理による収支改善にも期待
立地条件が整えば、資金調達難の病院の救済策
病院等施設概要
財団法人仁和会総合病院 沿革

2.社団法人労働保健協会
年間41万人の健診及び健診後のフォローを担う病院グループ関連法人。2008年度から保険者に義務付けられる特定健診・特定保健事業の支援にも着手
社団法人でグループの保健機能を補完。健保組合の受診者数が8割
健診区分別受診者数(グラフ)
外部の事業者から譲り受け健診・検診、保健・予防事業に特化する
企業出張健診の特性を踏まえ受診率向上のためにIT化を推進。QRコードの活用も検討
既存顧客である健康保険組合の支援を主目的に特定健診・特定保健指導のサポートに取り組む
固有の診療所を2007年度に開設予定。都心のターミナル駅周辺から地方中核都市へ展開
人材の確保・育成、職員の満足度向上により、顧客の獲得、経営基盤の強化を図る
社団法人労働保健協会 沿革
大坪グループの法人と施設(表)
大坪グループ所在地別施設一覧(表)
大坪グループ施設機能別施設一覧(表)
大坪グループ沿革
 
◆企業の持つネットワーク・多彩なアイデアと、保健(予防)・医療・介護(福祉)の担い手である「病院」「クリニック」が結びつくことで、互いにメリットを得る
東京都内の病院、中小民間病院の厳しい建て替え事情
重粒子線、陽子線治療機器を導入するのであれば資金調達手段の検討が必須
健康保険組合向け特定健診・特定保健指導のアウトソースに必要な全国ネットワーク
互いにメリットのある仕組みが、医療の公共性と営利法人たる企業との提携を成功させる

第6章 関連資料
主要なクリニックグループ(病院も含む)
DPC対象病院の一覧
(病院名、病床数〔一般・その他病床〕、DPCによる支払開始時期、調整係数、
開設主体・開設者、郵便番号、住所、電話、所属グループ、厚生労働省による指定状況、
化学療法・放射線治療等の実施件数 等)

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