2011年版 拡大する施設園芸の市場実態と将来展望
近年の農業を取り巻く環境は、農業従事者の高齢化による後継者不足や農業所得の減少、食料自給率の向上を目指すなどのほか、地球温暖化が進行する中で農業分野においても温室効果ガスの排出量削減向けた取組が不可欠となっており、多様な課題への対応が必要となっている。従来の生産構造のままでは農業産業の継続は難しい状況となっており、これらの問題を解決する1つの手段として、これまでの勘や経験のみに頼ることのない、施設園芸における栽培システム(養液栽培や植物工場)が注目されている。施設園芸生産はその技術革新により、栽培期間の短縮、収穫量の増加、品質の向上、省エネ・省コスト化など、栽培の高度化を図ることができ、安定生産や収益性を高めることができる。こうした施設園芸生産者の経営課題とその解決策、及びその将来性を展望すると供に、栽培システム(養液栽培・植物工場)、省エネ・省コスト施設園芸関連資機材に関して、参入企業や有力施設園芸生産者を調査・分析することにより、施設園芸市場の実態を明らかにし、各市場の今後の市場性を展望いたしました。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:有力施設園芸生産者の経営実態、及び施設園芸関連資機材参入企業における施設園芸・液体肥料事業の企業戦略、取扱商品、事業の方向性等を調査・分析することにより、今後、大きな成長と変化が期待される施設園芸・液体肥料市場を展望することを目的として実施した。
調査対象製品:施設園芸[養液栽培システム、複合環境制御装置、施設園芸用ヒートポンプ、植物育成用光源]、
液体肥料[液肥、その他]
調査対象先:施設園芸・液体肥料参入企業(27社)、施設園芸関連メーカー:19社、液体肥料関連メーカー:8社、有力施設園芸生産者(5社)、その他関連官公庁・協会・業界団体
調査方法:直接面接取材と電話・質問紙等により間接ヒアリング取材を実施。
調査期間:2011年3月~2011年6月
■本資料のポイント
- 施設園芸の現状と将来展望を掲載。
- 有力施設園芸生産者の経営実態を掲載。
- 施設園芸(養液栽培システム・植物工場)の市場規模推移を算出。
- 栽培システム(養液栽培システム・植物工場)における省エネ・省コスト化に向けた注目資材動向を分析。
- 有力参入企業(32社)の個別動向を掲載。
■本資料の概要
第1章 施設園芸の現状と将来展望
第2章 有力施設園芸生産者の動向
第3章 施設園芸(養液栽培システム・植物工場)の動向
第4章 栽培システムにおける省エネ・省コスト化に向けた注目資材動向
第5章 有力参入企業の個別動向(27社)
■掲載内容
第1章 施設園芸の現状と将来展望
1.国内農業の現状と将来展望
(1)全国の農家数の減少傾向と国内農業の課題
①全国農家数の推移(1990~2010年)
②農業就業人口の推移(1990~2010年)
(2)農業就業人口の減少と高齢化
(3)農作物の作物状況と総生産額
①農業総産出額と生産農業所得推移(1985、2005~2009年)
②農作物の作付面積推移(2004~2008年)
③国内における農畜産物の特性と生産構造
(4)販売農家の超高齢化問題
①販売農家における専兼業別農家数構成比の変化
②販売農家における年齢別農業就業人口構成比の変化
(5)急増する農業生産法人数と主要農作物の推移
①農業生産における法人化の流れ~農地の集約化に課題~
②農業法人の種類
③現行の農業生産法人の農地権利取得の要件
④農地制度見直し動向
⑤組織形態別農業生産法人数の推移(2001~2010年)
⑥主要生産作物別農業生産法人数の推移(2005~2010年)
(6)全国農業経営体における経営耕地面積規模別耕地集積割合の変化
(7)全国で拡大する耕作放棄地面積の推移(1990~2010)
(8)農業経営体における6次産業化の取組状況
2.施設園芸農業の現状
(1)エリア別施設園芸の変化と設置実面積及び新設面積推移
(2)大型施設園芸(1棟あたり5,000㎡以上)の推移
(3)石油利用加温設備と代替エネルギー化の動向
(4)省エネルギー装置の普及状況
(5)施設園芸に関連する2011年度予算概算の内容
①農林水産省
②経済産業省
3.施設園芸農家の経営課題と展開の方向性
(1)現状の施設園芸の経営コスト
①現状の施設園芸の経営コストの実態
②農業技術2010について
③施設園芸における省エネルギー対策のポイント
(2)施設園芸の担い手の動向
①施設園芸の担い手の現状
②農業生産法人の設立による参入
(3)初期投資額の抑制の方向性
①低コスト施設
②植物工場普及・拡大総合対策の概要
(4)生産性の向上・高付加価値作物の動向
(5)農作物のマーケティング動向
①農作物のマーケティングの必要性
②ニーズ探索・対応機能を盛った組織運営の仕組みづくり
③生産技術・ブランド育成の機能
④販路や物流、販売チャネルなど流通機能
⑤生産情報の提供、コミュニケーション機能
⑥各マーケティング機能を総合する機能
4.施設園芸における展開の在り方
(1)環境保全型の推進
①農林分野におけるCO2 排出量
②施設園芸分野におけるCO2 排出削減対策
(2)海外の施設園芸の動向
①オランダの施設園芸の動向
②韓国の施設園芸の動向~韓国産パプリカの動向~
③中国の施設園芸の動向
④中東の施設園芸の動向
(3)国内施設園芸の海外展開の可能性
①施設園芸の輸出産業としての可能性
②施設園芸生産者の海外進出~加速するメイドバイジャパニーズ~
(4)施設園芸を取り巻く環境
①東日本大震災の影響
②障害者・高齢者施設における施設園芸の普及拡大
(5)施設園芸が普及拡大するための提言
5.今後の施設園芸における市場規模と有望分野
(1)新設施設園芸の市場規模
(2)養液栽培の方式別市場規模予測
(3)省エネ・省コスト化に向けた有望資材と市場規模予測
①複合環境制御
②施設園芸向けヒートポンプ
③植物育成用光源
第2章 有力施設園芸生産者の動向
1.栽培作物別施設園芸の動向
(1)全国の施設園芸における栽培作物の動向
(2)調査対象企業における栽培作物の動向
2.導入している施設園芸設備の動向
3.施設園芸での成功事例・失敗事例
(1)成功事例
(2)失敗事例
4.施設園芸生産者が直面している課題と解決策
(1)経営上の課題
(2)経営上の課題を解決するための施策
(3)エネルギーコストについての課題
(4)エネルギーコストの低減施策
5.施設園芸生産者の今後の方向性
≪有力施設園芸生産者の個別調査票≫
(株)アグリポピュレイションジャパン
~世界で初めて結球野菜を含む15~20種類の水耕栽培で実現~
(株)グランパ
~エアドーム型水耕栽培施設や業界初の連携組織「施設野菜バンク」を立ち上げる~
(株)信州サラダガーデン
~独自で研究した栽培技術でパプリカの大量生産に成功~
(株)日本農園
~ボストンレタスの水耕栽培で年間700万tを生産し、全国トップシェア~
農事組合法人布引施設園芸組合
~ハウス内に設置したセンサーとパソコンにより、イチゴの安定出荷を実現~
第3章 施設園芸(養液栽培システム・植物工場)の動向
1.市場概況
2.養液栽培における栽培規模推移
(1)2009年における養液栽培の設置面積
(2)養液栽培施設の設置面積(野菜+花き)の推移(1989~2009年)
(3)養液栽培における栽培品目(野菜)(2009年)
3.養液栽培における養液栽培タイプ別の動向
(1)水耕栽培
①たん液型栽培(DFT)
②薄膜水耕(NFT)
(2)固形培地
(3)噴霧水耕栽培
4.参入企業の主要商品
5.参入企業における開発と製品戦略
6.参入企業における販売動向
7.現状の課題点と今後の方向性
(1)現状の問題点と課題点
(2)今後の方向性
8.市場の見通し
9.養液栽培システムの市場の見通し(2010~2013年予測)
10.植物工場市場の動向
(1)植物工場の定義と特徴
(2)参入企業の動向
①植物工場建設市場
②植物工場運営市場
(3)現状の課題と問題点
①技術的課題
②コスト面での課題
③規制・施策面での課題
④その他
(4)市場規模と市場成長性
第4章 栽培システムにおける省エネ・省コスト化に向けた注目資材動向
1.複合環境制御システム
(1)市場概要
①複合環境制御装置の普及状況
②複合環境装置構成
(2)主要参入企業の動向
(3)製品・技術関連動向
(4)参入企業の販売動向
(5)現状の問題点と課題点
(6)今後の市場の見通し
2.熱冷システム
(1)市場概要
①加温設備の普及状況
②施設園芸において省エネルギーが求められる社会背景
③施設園芸にヒートポンプを導入するメリット
④施設園芸用加温システムの助成制度
(2)主要参入企業の動向
(3)製品・技術関連動向
①ハイブリット加温システムの動向
②木質バイオマス利用暖房設備の動向
(4)参入企業の販売動向
(5)現状の問題点と課題点
(6)今後の市場の見通し
3.植物育成用光源
(1)市場概要
①植物育成用光源の種類と特徴
②LED照明のメリット・デメリット
③植物育成用光源の比較
④植物育成用光源システムの助成制度
(2)主要参入企業の動向
(3)製品・技術関連動向
(4)参入企業の販売動向
(5)現状の問題点と課題点
(6)今後の市場の見通し
4.液肥市場
(1)市場概況
(2)市場規模推移(2007~2010年度見込)
(3)メーカーシェア(2010年度)
(4)使用タイプ別市場構成比(2010年度)
(5)使用タイプ別流通状況と市場特性
①土壌施肥液体肥料
②葉面散布肥料
③養液栽培用肥料
④その他液体肥料(ペースト肥料)
(6)参入企業における開発と製品戦略
(7)参入企業における生産動向
(8)参入企業における販売動向
(9)現状の課題点と今後の方向性
①現状の課題点
②今後の方向性
(10)市場規模予測(2010見込~2013年度予測)
第5章 有力参入企業の個別動向(27社)
≪施設園芸関連企業≫
イシグロ農材(株)
~温室・施設園芸を軸に農業ビジネスをトータルにサポート~
岩崎電気(株)
~30年以上前から植物用育成光源に参入し、豊富な実績と栽培ノウハウを持つ~
ウシオライティング(株)
~植物育成用LEDバー照明ユニットの販売を開始し、植物育成用光源市場に参入~
(株)NTTファシリティーズ
~生育状態のデータ収集・分析による農業支援モニタリングシステムを開発~
(株)エム式水耕研究所
~M式水耕栽培で育てた野菜を「活菜生活」として販売を開始~
カネコ種苗(株)
~主要産地において養液栽培プラントの導入が相次ぐ~
協和(株)
~トルコの大規模な施設園芸生産者に水気耕栽培技術「ハイポニカ」を輸出~
三基計装(株)
~省エネニーズに対応したパッケージ商品の開発を進める~
昭和電工(株)
~世界初 穀類などの栽培に適した多光量型LED照明ユニットを開発~
(株)誠和
~施設園芸業界の先駆的な総合メーカーとして、市場を創造~
ダイキン工業(株)
~ヒートポンプでの技術・特性・実績を活かし、農業分野での浸透を図る~
(株)大仙
~採光のトップメーカーとして施設園芸事業を展開~
トヨハシ種苗(株)
~栽培システムは、ココバッグを中心に強化を図る~
日本オペレーター(株)
~補助金減少の影響が大きく、栽培システム開発以外の業務が増加~
日立アプライアンス(株)
~ハイブリッドなど複合型の提案で、農家の負担軽減を図った営業を推進~
(独法)野菜茶業研究所
~高収量・高品質・高効率の施設野菜生産を目指して、様々な技術開発や研究を実施~
矢崎総業(株)
~安定した調達コストのメリットを活かし農業市場への浸透を図る~
(株)山武
~日本で初めてマイコン式の温室環境制御装置を開発し、複合環境制御装置を展開~
渡辺パイプ(株)
~温室ハウス、養液栽培システム、肥料・種等を展開する総合グリーンデベロッパー~
≪液体肥料関連企業≫
アサヒフードアンドヘルスケア(株)
~アサヒビールの酵母技術とタキイ種苗の培土の融合による高品質培養土の開発~
エーザイ生科研(株)
~「中嶋農法」に則った土壌診断技術と液肥を含む生育コントロール技術での栽培支援推進~
大塚アグリテクノ(株)
~大塚化学(株)のアグリテクノ事業の分社化により養液土耕栽培及び液肥事業の拡大を図る~
片倉チッカリン(株)
~ペースト肥料、有機肥料のトップメーカーとして需要拡大と地域販売力強化に注力~
コープケミカル(株)
~環境負荷低減・省力化ニーズに対応した肥料の開発と生産・販売の適正化に注力~
コスモ誠和アグリカルチャ(株)
~葉緑素を増やし、光合成を促進するALAを配合した液体肥料の展開~
住友化学(株)
~肥料による農業の生産性向上を総合的かつ多角的に捉えたアグリビジネスの展開~
(株)ハイポネックスジャパン
~草花と野菜を育む豊かなライフスタイルをサポートする液肥関連商品の開発推進~
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個別のクライアント様からの調査も承っております
マーケティングや経営課題の抽出、リサーチの企画設計・実施、調査結果に基づく具体的な戦略立案・実行支援に至るまで、課題解決に向けた全ての段階において、クライアント企業をトータルでサポート致します。