2013年版 粘着・剥離フィルム市場の展望と戦略
国内外の粘着・剥離フィルムメーカー及びコンバーターの現在の動向と今後の事業施策を徹底調査し、さらに周辺調査を行うことで、ワールドワイドの粘着・剥離フィルム市場における現状と今後の動向の把握を目的とした。
調査資料詳細データ
調査目的:国内外の粘着・剥離フィルムメーカー及びコンバーターの現在の動向と今後の事業施策を徹底調査し、さらに周辺調査を行うことで、ワールドワイドの粘着・剥離フィルム市場における現状と今後の動向の把握を目的とする。
調査対象:光学粘着加工、飛散防止フィルム、剥離フィルム(リリースフィルム)、プロテクトフィルム、光学用粘着剤
調査方法:直接面接取材をベースに、文献調査を併用。
調査期間:2013年9月~2013年11月
■本資料のポイント
- ニーズに合わせた製品の作り込みと潜在需要の深耕による
市場開拓にこそ日本メーカーの活路あり - 光学粘着加工:スピードと機能・性能の両立が差別化の重要テーマに
大型ディスプレイ向け縮小の一方でTPの粘着加工は順調に拡大 - 飛散防止フィルム:内貼りタイプ搭載のGalaxyシリーズ販売好調を受け
飛散防止フィルム市場は急拡大期に突入 - 剥離フィルム:偏光板、MLCCなど既存用途は成熟段階に
OCAや工程内キャリアなど新たな用途での展開が加速 - プロテクトフィルム:偏光板向けはコストとスケールメリットで差別化
TP部材向けは耐熱性付与が課題に - 光学用粘着剤:2013年の市場規模は10万t超へ
コンバーターによる内製分が全体の60%まで拡大 - 光学粘着加工のうちOCAに関する内容は、弊社自社企画レポート「2013年版 静電容量方式タッチパネル・部材市場の徹底分析」、剥離フィルム及びプロテクトフィルムは同「新版 高機能フィルム市場の展望と戦略 2013」掲載内容をもとに加筆修正したものです。
■本資料の概要
第1章:粘着・剥離フィルム市場の展望
第2章:粘着・剥離フィルム市場の動向
第3章:粘着・剥離フィルムメーカー・コンバーターの動向と戦略
■掲載内容
第1章:粘着・剥離フィルム市場の展望
需要地での開発スピードアップとコスト競争力強化で巻き返しにつなげ!
市場のコモディティ化で海外勢のシェアがジワリと拡大
ユーザーのプロセス・設備に合わせた作り込みと、潜在需要の深耕による市場開拓に
日本メーカーの活路がある
第2章:粘着・剥離フィルム市場の動向
1.光学粘着加工
スピーディーな対応力と機能面・性能の両立が差別化の重要テーマに
偏光板粘着加工は一部大手を除き依然としてメーカー自身によるダイレクトコートが主流
PDP光学フィルター部材向けはPDP市場の縮小で大幅減少
大型ディスプレイ向け縮小の一方でタッチパネルの粘着加工は順調に拡大
(表)静電容量TP用OCA市場推移(OCAフィルム)
(表)静電容量TP用OCA市場推移(LOCA)
(表)OCA市場における変動因子
アクリル系、ポリエーテル系に加え、2012年よりウレタン系の採用がスタート
(表)OCAフィルム及びLOCA樹脂種類及びメーカー
印刷段差への追随性を高めたホットメルト型、50μmの印刷段差もカバー可能に
(表)TP用粘着剤タイプメリットと課題
スマートフォンやタブレットPCでボトムOCAの採用が本格化
ミドルOCAでは非ITO向けに、各種材料に合わせた腐食のメカニズムの理解が重要に
(表)静電容量TP構造別接合材料使用状況(2013年夏)
(表)静電容量TP構造別材料使用状況(2013年夏)
(表)アプリケーション別OCA採用状況(2013年夏)
2.飛散防止フィルム
内張りタイプを搭載したGalaxyシリーズの販売好調を受け、
飛散防止フィルム市場は急拡大期を迎える
ガラスの「飛散防止」から「印刷・加飾フィルム」へと役割が拡大
(図)飛散防止フィルムの構成図
サムスン電子は内貼りタイプ、日系メーカーは外貼りタイプを採用
Galaxyシリーズのヒットにより、サムスン向けサプライヤーの販売量が急増
(表)飛散防止フィルム搭載機種及び供給メーカー一覧(一部)
(図)サムスン電子向けの飛散防止フィルムの主な商流
複数の印刷・加飾プロセスにより発生するカールの抑制が第一課題
Galaxy新規モデルには50μm薄肉品搭載か?
2012年は前年比2桁を超える成長を遂げる
豊富な加飾バリエーション機能を武器にデザインフィルムとしての成長に期待
(表)飛散防止フィルム市場規模推移(数量、2011~2015年予測)
内貼りタイプでは東山フイルム、新タック化成がシェアを分け合う
外張りタイプではDICが最大手
(表)飛散防止フィルムメーカーシェア(2012年、外・内貼り市場トータル)
(表)飛散防止フィルムメーカーシェア(2012年、カバー内貼りタイプ)
(表)飛散防止フィルムメーカーシェア(2012年、カバー外貼りタイプ)
3.剥離フィルム(リリースフィルム)
偏光板、MLCCなど既存用途は成熟段階に
OCAや工程内キャリアなど新たな用途での展開が加速
(表)PETベースリリースフィルムの市場規模推移
(表)PETベースリリースフィルム主力メーカー販売量・シェア推移
(表)PETベースリリースフィルムの主力用途別需要動向推移
偏光板セパの需要は年間5%程度の伸び率で安定、シェア変動も少なく市場は成熟段階に
(表)偏光板用リリースフィルムメーカー各社の販売量推移
(表)主力偏光板メーカーにおけるリリースフィルムメーカーシェア推移
OCAリリースフィルムでは3M向けを押さえるSKC Haasがトップ独走
2位の藤森工業は台湾工場稼動後の実績拡大に期待
(表)OCA用リリースフィルムメーカー各社の販売量推移
(表)OCA主要メーカーにおけるリリースフィルム調達状況
MLCC向けは2012年、2013年と年間10%前後の成長率を示す
国内向けに25μの薄肉品の出荷が始まる
(表)MLCC用リリースフィルム市場規模推移
参入各社のシェア変動は少なく、東レ先端素材がトップ
(表)MLCC用リリースフィルムメーカー別販売量推移
(表)セラミックコンデンサーメーカーにおけるリリースフィルムメーカーシェア(2013年見込み)
(表)主要リリースフィルムメーカー各社の生産体制
4.プロテクトフィルム
偏光板向けはコストとスケールメリットで差別化
タッチパネル部材向けは耐熱性付与が課題に
偏光板用はシェア変動も少なく、市場は成熟段階に
(表)偏光板用PET系プロテクトフィルムメーカー別トータル販売量
円安の影響で日本製品の価格競争力向上も勝ち残りには中長期的施策が必須
藤森工業、サンエー化研が海外生産拠点設置に踏み切る
(表)LCD偏光板メーカーにおけるPET系プロテクトフィルムメーカーシェア
TP部材の薄肉化の中、工程内キャリアとしてのプロテクトフィルム需要が拡大
スパッタ、アニール処理に対応する耐熱グレードの開発が課題
(表)ITOフィルム、HCフィルム用PET系プロテクトフィルムメーカー別トータル販売量
(表)PETプロテクトフィルム主力メーカーの生産体制
5.光学用粘着剤
偏光板及びその周辺フィルム向け需要を中心に市場拡大
新規用途であるタッチパネル向けが急成長
2013年の光学用粘着剤市場は10万t規模を超える見込み
キー材料である粘着剤の内製分は6割まで拡大
(表)光学用粘着剤市場の規模推移(数量ベース、2011~2015年予測)
偏光板やガラスの薄肉化に従い「高耐久性」への要求が高まる
被着体の材料変更など新技術の追求が、ユーザーへの提案力向上に繋がる
偏光板用で強みを見せる綜研化学がトップシェアを
プロテクトフィルム向け最大手の日本カーバイドがシェア2位に
(表)光学用粘着剤メーカーシェア(2012年、数量ベース)
(表)偏光板向け粘着剤メーカーシェア(2012年、数量ベース)
(表)タッチパネル向け粘着剤メーカーシェア(2012年、数量ベース)
(表)光学用プロテクトフィルム向け粘着剤メーカーシェア(2012年、数量ベース)
第3章:粘着・剥離フィルムメーカー・コンバーターの動向と戦略
綜研化学株式会社
光学用粘着剤市場のトップメーカー
主力の偏光板向けに加え、タッチパネル向けが成長
2014年内に新たな中国拠点である綜研高新材料(南京)で粘着剤の生産をスタート
2012年における光学用粘着剤販売量は前年比107%を達成
日本カーバイド工業株式会社
プロテクトフィルム向け粘着剤の大手
その他光学分野でもシェア拡大を目指す
中小型偏光板、TP用OCA向け販売拡大を進めていく方針
プロテクトフィルム向けの販売が堅調
2012年におけるプロテクトフィルム向け販売量は8,000t規模に
サイデン化学株式会社
偏光板向け新規顧客の獲得に専念
偏光板用を軸に成長マーケットであるタッチパネル用販売量拡大を推進
ディスプレイの歴史と共に新製品の開発に取り組んできたLCD偏光板用粘着剤のパイオニア
偏光板向けは光学用粘着剤販売量のうち70%を占める主力製品
飛散防止フィルム向けを含むタッチパネル向け販売量が増加
偏光板向けの研究テーマは、依然として熱収縮対応・高耐久性への追及
TP向けは透明性に加え、ITO膜への耐腐食性の要求が高まる
トーヨーケム株式会社
偏光板用に加え、タッチパネル向け粘着剤の販売が好調
光学・エレクトロニクス用等、粘着剤ビジネスの展開領域を拡大
タッチパネル向けに高い剥離性能を有する新規グレードを開発中
偏光板向けは安定かつボリュームマーケットと位置付け
新規市場であるタッチパネル向けの販売拡大を図る
住友スリーエム株式会社
総合力を背景に、ユーザーニーズに最適化した製品を投入
2012年にホットメルト型グレードを開発、厳しい印刷段差にも対応
新規材料への適合性に配慮したOCAの開発も推進
LG Hausys, Ltd.(LGハウシス)
ユーザーへの技術サポートを徹底、歩留まり向上への貢献を推進
生産能力は従来の100万㎡/月から150万㎡/月へ拡大
OCA販売量は毎年2倍で拡大、今後は価格競争を回避しながら販売量の拡大を追求
日立化成株式会社(OCA)
多様な事業で培った技術力をバックボーンに、OCA市場でのポジション強化へ
主力の「ファインセットTEシリーズ」に加え、「DAシリーズ」の拡販に注力
液状タイプ「LEシリーズ」は遮光部硬化性がユーザーに高く評価
非ITO系のセンサー/センサー向けでは酸化防止機能を有するOCAを提案
TMS Co.,LTD(株式会社TMS)
OCA、EMIシールドテープ、飛散防止フィルムなど
光学・電子関連の粘着製品を幅広くラインナップ
TP市場の拡大でOCA売上高が成長、2013年にはライン増設も実施
Top、Bottomに加え2013年下期よりMiddle OCAの生産・供給を開始
細かいニーズに合わせたカスタマイズで先行する大手メーカーに対抗
東山フイルム株式会社
カバー内販用飛散防止フィルムトップメーカー
塗膜、積層、複合化技術で差別化
内貼りタイプが搭載されている中小型モバイル市場の成長で
同社の飛散防止フィルムの需要も急速に拡大
HC層、粘着層、副資材までのトータル製品設計で
加飾プロセス時に発生する熱収縮によるカールを抑制
TOMOEGAWA
新規粘着加工ビジネスとして中小型タッチパネル関連用途をターゲット
長年に亘る光学粘着で蓄積された実績とノウハウで新規提案活動を推進
リンテック株式会社
MLCC用リリースフィルムはスマートフォンなど
中小型製品の成長により安定した成長率を維持
モバイル機器関連の電材向け販売量も好調
MLCC向けでは25μmフィルムも出荷中
三井化学東セロ株式会社
中小型モバイル機器需要の拡大でMLCCリリースフィルムの販売が好調
海外顧客の獲得に向けサンプルワーク中
リリースフィルムは大型TV向けセラコン用の需要が減少したものの、
スマートフォンやタブレット端末市場が拡大したことで全体販売量も成長
2013年度におけるMLCCリリースフィルムの販売量は16,000万㎡まで拡大する見込み
顧客の要望に応じ厚み25μmの薄型製品も展開
東レフィルム加工株式会社
既存顧客向け出荷量の増加や新規顧客の獲得により
OCA向けリリースフィルムの販売量が拡大
SKC Haas Display Films Company(SKCハース)
独自の加工技術でOCAの特性に最適化したリリースフィルムを供給
天安工場の光拡散フィルムラインをリリースフィルム用へと転用
2014年には生産能力4ライン1,100万㎡/月体制が確立
OCAの設計や使い方に最適化したリリースフィルムを開発・提案
帝人デュポンフィルム株式会社
勝ち残りを掛け最適生産体制と新規高付加価値商品を模索
国内外の拠点で能力及び生産グレードの最適化を推進
「ピューレックス」「オプトファイン」など加工フィルムは堅調に成長
独自の製品設計と加工技術による付加価値の付与で差別化
三菱樹脂株式会社
偏光板用リリースフィルムで圧倒的な強み見せる
南亜塑膠股份有限公司(NAN YA PLASTICS CORPORATION)
自社加工のリリースフィルムはOCA向けが成長、ライン増設も検討中
東洋紡株式会社
原反~加工までトータル展開の中で様々な用途に最適な設計を提案
主力のMLCC向けに加え偏光板、OCA向けの需要も堅調に成長
中小型モバイル向けの薄物加工品ビジネスに注力
藤森工業株式会社
台湾に製造・販売拠点となる現地法人立ち上げ
「Made in Japan」の品質と信頼性を需要地から発信しさらなる拡大を図る
偏光板プロテクトフィルムは市場成熟とシェアを取りきったことで今後は緩やかな成長に
カバーガラス保護やITO、HCキャリアなどTP関連需要を積極的に取り込む
性能・品質とコストダウンの両立を模索
2013年以降は円安傾向で海外市場での価格競争力が強化される
日本の品質と現地生産の価格対応力を武器に2014年秋稼動予定で台湾に現地法人設立
OCA、リリースフィルムも生産、海外ユーザーのニーズ取り込みに期待
リリースフィルムではOCA向けが順調に拡大、光学関連で蓄積した技術・知見と
コンバーターとしてのきめ細かい対応力で差別化
ヘルスケア向けは剥離紙に対抗すべく厚肉グレードを提案
エレクトロニクスでは多様化する粘着テープにあわせた作りこみを進める
株式会社サンエー化研
中国拠点の設立によりローカル&国内進出メーカーからの需要拡大を図る
2012年からセパレスタイプ「NSシリーズ」の販売が急拡大
2013年11月に中国生産拠点の「長鼎電子材料(蘇州)有限公司」を設立予定
新拠点には偏光板の超広幅需要に応じ、2,300mmまで対応できる設備を投入
導光板向け保護フィルム需要が落ち込んだものの、中小型偏光板向けが持ちこたえる
長尺化を実現した「NSシリーズ」でミドルレンジ向けボリューム市場を狙う
LG Chem, Ltd.(LG化学)
プロテクトフィルムの外販を開始、偏光板に加えTP部材向けに
耐熱性付与グレードの開発を推進
2013年以降は生産量の30%を外販用とし、プロテクトフィルム事業の拡大を目指す
ITOフィルム、HCフィルムキャリア用グレードは2014年に投入予定
OSUNG LST Co.,LTD(オーソンLST株式会社)
HC保護フィルム、OCAなどディスプレイ以外の用途での展開加速
2012年にTP組み立て用厚肉OCAラインが完成
海外の大手ラベルメーカーと共同で中国・台湾市場での拡販に取り組む
プロテクトフィルムではTP部材向けに耐熱グレードの開発を推進
YOULCHON CHEMICAL Co.,LTD(栗村化学株式会社)
クリーン環境で無異物・無欠陥を実現
電子産業材料部門の売り上げ構成比が全社売り上げの20%を超える
プロテクト、リリース、HCなど精密コート製品の生産能力は20,200万㎡/年に達する
プロテクトではITOフィルム、HCフィルムキャリア、リリースフィルムはOCAと
TP関連用途向けの販売実績が順調に成長
新輝光電股份有限公司(ShinBright Optronics Corporation)
グループシナジーを活かした製品開発を推進
プロテクトフィルム、HCフィルムに続きリリースフィルムの開発を進める
TP部材の薄肉化によりITOフィルム、HCフィルムキャリアの需要が拡大
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