2013年版 バリアフィルム市場の展望と戦略
従来、バリアフィルムは包装分野での展開が中心であった。産業用途では電子ペーパーやフレキシブルディスプレイ、有機薄膜太陽電池などの分野でガラス代替としての需要が期待されているが、現状、同分野は開発途上といった状況である。しかし、ウェアラブル端末の本格始動、曲面ディスプレイタイプのスマートフォンの発売などにより、再びガラス代替を狙えるハイバリアフィルムが注目されている。
調査資料詳細データ
調査目的:国内バリアフィルムメーカーの現在の動向と今後の事業施策を徹底調査し、さらに周辺調査を行うことで、バリアフィルムフィルム市場における現状と今後の動向の把握を目的とする。
調査対象:バリアフィルム(透明蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルム、新規開発フィルム)
調査方法:直接面接取材をベースに、文献調査を併用。
調査期間:2013年10月~2013年12月
■本資料のポイント
●2014年以降、フレキシブルデバイス市場は開拓期から形成期へ
●用途や使い方のヒントはマーケットの中にあり
●ガラス代替市場での早期のデファクト確立が先行者利益の確保につながる
●価格&性能のバランスと品質保証を確立しユーザーのパートナーとしての地位確立を目指せ
■本資料の概要
第1章:バリアフィルム市場の展望
第2章:バリアフィルム市場の動向
第3章:バリアフィルムメーカーの展望と戦略
第4章:バリアフィルムユーザーの展望と戦略
■掲載内容
第1章:バリアフィルム市場の展望
2014年以降、フレキシブルデバイス市場は開拓期から形成期へ
用途や使い方のヒントはマーケットの中にあり
ガラス代替市場での早期のデファクト確立が先行者利益の確保につながる
価格&性能のバランスと品質保証を確立しユーザーのパートナーとしての地位確立を目指せ
(図)ハイバリアフィルムの機能と用途、参入メーカーのイメージ
(表)各種バリアフィルムの需要予測
第2章:バリアフィルム市場の動向
1.バリアフィルム市場の動向
電子デバイスのフレキシブル化でガラス代替のバリアフィルムに注目が集まる
(表)バリアフィルムの主な種類
(1)透明蒸着フィルム
国内市場成熟の中、年間5~6%と堅調な成長率で推移
食品包装用では1/3ルール見直しによる賞味期限延長で「第2のブーム」到来の可能性も
(表)透明蒸着フィルム 市場規模推移
一時は市場全体の26%を占めた非食品用は太陽電池需要の縮小とともに減少
医療・医薬、精密機械向け包材需要に期待
(表)透明蒸着フィルム 用途別構成比
国内市場成熟の中、海外市場に活路を求める動きも
経済発展が続くASEAN地域の需要取り込みが活発化
凸版印刷、大日本印刷、三菱樹脂の3社が比較的バリア性の高い領域でシェアを確保
2位の東レフィルム加工はボリュームゾーンに強みを見せる
(表)透明蒸着フィルム メーカー別販売量推移
(表)透明蒸着フィルム(PETベース) メーカー別シェア推移
(表)透明蒸着フィルム(ONYベース) メーカー別シェア推移
(2)アルミ蒸着フィルム
CPPベース品がラーメン外装袋向けで拡大も2014年以降までの持続性は見込めず
食品、トイレタリーなど液体包装向けにPETベース品が堅調な成長示す
(表)アルミ蒸着フィルム 市場規模推移
(表)アルミ蒸着フィルム メーカー別販売量推移
(3)ハイバリアフィルム、超ハイバリアフィルム
10-6g/㎡/dayレベルの超ハイバリアフィル市場は2014~2015年頃の立ち上がりに期待
ガラスの薄肉・フレキシブル化でも工程内での破損リスクの無いフィルムに優位性あり
10-3~10-4g/㎡/dayのハイバリアフィルムは既存技術・設備の応用での生産が可能
フレキシブルディスプレイ量産化後の価格競争力で勝負
(表)バリアフィルムの主な種類
2.主要アプリケーションの動向
(1)AMOLEDパネル市場
GalaxySシリーズを中心としたスマートフォン向けに需要が急拡大
2014年以降からはAMOLEDテレビが市場成長を牽引
(図・表)AMOLEDパネル市場規模推移(2010年実績~2015年予測)
大型パネルでのFMM VS W-OLED
LITIもFMMの代替技術として再注目される可能性あり
(表)AMOLED技術テーマ
(図)LITIによる成膜工程
中小型はLTPSがスタンダード
大型向けでは酸化物半導体TFTの適用が濃厚に
中小型では低消費電力の要求に応えるべく緑色リン光材料が採用
大型用W-OLEDではYGリン光材+B蛍光材タイプへ
(図)素子材料構造
(表)AMOLEDテレビ概要(SDC:LGD)
(2)有機EL照明市場の展望
1.有機EL照明の開発動向
2.有機EL照明の実用化における課題・問題点
3.有機EL照明の今後の見通し
(3)バックシート市場の展望
参入メーカーのシェアが均衡化、今後は中国ローカルのシェア拡大へ
(図・表)バックシート 市場規模推移
(図・表)バックシート メーカーシェア(2012年)
(表)主要バックシートメーカー 生産体制一覧
自社の保有技術をフルに活用した新たな素材・積層構成の提案が急務に
(4)有機系太陽電池市場の展望
(1)色素増感太陽電池市場
結晶Si系の価格急落で屋外電力用途での量産化が遠のくも
エネルギーハーベスティング領域での視界が良好に
(表)色素増感太陽電池 半導体電極および基板別主要企業一覧
2013年にはシャープが自ら樹立した最高記録を0.8%上回る11.9%の変換効率を達成
(表)色素増感太陽電池 高効率化の流れ【小面積セル】
フィルム型ではRoll to Roll方式への移行を視野に入れたパイロットプラントが稼動
(2)有機薄膜太陽電池
米・Konarkaが破綻するも、高効率化競争は活発化の一途
シングルで11.7%、タンデムでは12.0%に達する
(表)有機薄膜太陽電池 開発動向
(図)有機薄膜太陽電池 セル構造
第3章:バリアフィルムメーカーの展望と戦略
凸版印刷株式会社
透明蒸着フィルム「GLフィルム」はレトルト対応のハイバリア品に強み
新規バリアフィルム「PRIME BARRIR」は電子部材のガラス代替も視野に
2011年5月にクレハから譲授した「ベセーラ」と「GLフィルム」の技術融合など
軟包材のトップメーカーとしてのシナジーを活かした展開を進める
「GLフィルム」は国内外の市場で透明バリアフィルムの需要を着実に取り込み成長続ける
全体の約1/3が海外市場向け、欧米のレトルト包材ニーズに対応
GLを超えるハイバリアシリーズ「PRIME BARRIER」を投入
2014年以降、電子ペーパーや有機太陽電池などでの展開を睨んだ製品開発を推進
東レフィルム加工株式会社
グローバルオペレーションの中で国内外の拠点での生産品を最適地に供給
国内拠点では新規設備導入で生産効率を強化
1/3ルールの見直しで2013年以降の透明蒸着フィルム需要拡大に期待
円安により海外市場への輸出も成長
アルミ蒸着フィルムはインスタントラーメンのヒットで外装袋向けCPPベース品が急成長
価格競争激化には海外品の投入で対応
ハイバリアフィル「バリアトップ」04を東レと共同で展開
耐屈曲性、透明性を武器にフレキシブルデバイス向けに提案を推進
大日本印刷株式会社
透明蒸着フィルムはCVD法による高密着性に強み
海外市場での需要拡大にも期待
ゲルボ耐性に優れた「IBフィルム」は液体小袋など高付加価値用途で高シェア確保
植物由来原料使用グレードなど独自製品の開発・投入にも注力
出荷量の20%を占める輸出は米国市場向けが中心
インドネシア拠点を足がかりにASEAN地域での実績拡大にも取り組む
東洋紡株式会社
幅広い事業の中での工業・産業関連の市場・ユーザーとのつながりに強み
原反~製膜~オーバーコートの一貫体制を活かした展開を推進
食品分野は包材のフレキシブル化や1/3ルール見直しなどが追い風に
非食品分野では、将来のガラス代替も視野に研究開発を推進
尾池パックマテリアル株式会社
食品包材向けバリアフィルムが順調に拡大
透明蒸着フィルムは年間10%前後の成長率で推移
高透明のボイル・レトルト対応グレードの投入でさらなる拡大を目指す
アルミ蒸着フィルムはバリア層の密着性と耐破袋性に優れたPETベース品が牽引
株式会社麗光
2014年以降を透明蒸着フィルムの「2次ブーム」と位置づけ拡販に注力
透明蒸着フィルム「ファインバリヤー」はトイレタリーなど非食品が成長
食品包装向けは1/3ルール見直しによる賞味期限延長需要に期待
アルミ蒸着フィルムはPETベース品が堅調に成長
三井化学東セロ株式会社
国内の食品包装材料市場を中心にミドル~ハイバリアまで幅広い製品を展開
1g、0.1ccを切るハイバリアフィルム「マックスバリア」の販売量は年間10%の伸び示す
食品包材に加え輸液バッグ外装などメディカル関連の需要が拡大
PVAコートはエンドユーザーの環境対応で水性インキ対応グレードが成長
アルミ蒸着フィルムは原反別の細かい増減はあるが全体量に大きな変化無し
三菱樹脂株式会社
シリカ蒸着技術の応用で食品包装から太陽電池まで幅広い領域をカバー
2012年の「テックバリア」販売量は太陽電池BSの不振で縮小も2013年以降は成長を維持
UVカット、易加工など高付加価値グレードの提案・拡販を積極的に推進
従来のバリアフィルムとは一線を画すハイバリア品「X-BARRIER」では
太陽電池フロントパネルに最適化した「VIEW-BARRIER」の早期量産化に取り組む
尾池工業株式会社
基盤技術の応用による高機能フィルム事業の一環として
フレキシブルデバイス用のハイバリアフィルムを開発
自社の基盤技術の応用と既存の量産ラインの活用で3×10-4g/㎡/dayレベルの性能を実現
量産性を念頭に置いた製品開発と価格競争力で差別化
平坦化フィルム、低抵抗透明導電性フィルムなど独自の高機能フィルムも積極的に投入
富士フイルム株式会社
有機無機積層タイプの超ハイバリアフィルムは有償でのサンプル供給を開始
優れた曲げ耐性と独自処方のバリア膜の品質で差別化
ポリマー設計、Roll to Roll、品質評価・解析に関する独自技術を結集
曲げ試験10万回でもバリア性を維持する性能を実現
コニカミノルタ株式会社
Roll to Rollで10-6g/㎡/dayのハイバリアを実現する「Flexent」外販開始
自社の有機EL照明向けの実績を武器に拡販に注力
グンゼ株式会社
高耐熱、高硬度、透明導電など、様々な機能を付与した光学用フィルムで
フレキシブルデバイスでのガラス代替ニーズの取り込みを図る
高透明・高耐熱・高寸法安定の「Fフィルム」では
OLEDやタッチパネル電極基板をターゲットに提案営業を推進
9Hの表面硬度を実現する「HDフィルム」はカバーガラス代替に期待
フレキシブルで量産性の高い銀メッシュフィルム「DPT」はTPのフレキシブル化に対応
第4章:バリアフィルムユーザーの展望と戦略
凸版印刷株式会社
バックシートの優れた強度や耐久性、耐候性、品質を武器に
グローバル市場でのさらなるシェア拡大を目指す
2013年4月に高機能事業本部とエレクトロニクス事業本部を統合し
マテリアルソリューション事業本部を新設
大手太陽電池メーカーの需要を取り込み、2013年の出荷量は2桁近い伸長率を計画
大日本印刷株式会社
材料技術、コーティング・ラミネート技術、多層共押出技術を活用し
封止材・バックシートのさらなる高性能化と低コスト化を推進
PO系封止材「CVF」はPID問題を追い風に引き合いが拡大傾向
バックシートではm-PPEを使用し長期信頼性を高める
バスラインシートは裏面電極型セルのさらなる普及に期待
リンテック株式会社
高度なフィルムの積層技術をベースに
バックシートの性能・品質、価格面の優位性を高める
価格競争の激化や回収リスク問題などにより苦戦が続くも
日米の需要は堅調、東南アジアやインドの需要取り込みを狙う
2012年6月に接着剤フリーの高耐久性バックシートを発売、日本を中心に採用が広がる
株式会社エムエーパッケージング
バックシート市場で国内トップシェアをキープ
ワールドワイドでもトップグループを形成
日本での固定買取制度の導入を追い風に、2013年の出荷量は2ケタ近い伸長率へ
国内市場に軸足を置きながら一層の成長を目指す
恵和株式会社
共押出技術や材料選定ノウハウをベースに
ユーザーへの提案型アプローチを積極化
国内需要が牽引し、2013年の「Appli-Sola」出荷量はプラス成長を見込む
結晶Si向けでは光反射性・光拡散性等の向上や積層構成・材料の見直しを推進
薄膜系や有機系向け新規材料の開発にも取り組む
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