2018年版 養殖ビジネスの市場実態と将来展望
発展途上国を中心とした人口増加との経済状況により、世界の食料事情は不安定さを増している。FAOの調査によれば、世界の1人当たりの年間の魚介類消費量は、1960年代の9.9kgから1990年代には14.4kgに、2013年には19.7kgに増加してきており、2015年の推定値は20kg、さらに2023年には20.9kgに増えると予想される。今後、さらに国際的な水産物流通システムが整備されることで、魚介類の需要はますます拡大すると見られる。
しかし、魚介類の消費が増えても、天然魚は減っていく可能性が高く、世界的な資源管理の高まりにより、これまで以上の漁船漁業による漁獲量の増加は見込めない。今後、さらに養殖業へのニーズが高まり、水産業の中心が養殖業に移っていくのは、世界的な流れとして確実である。また、魚用配合飼料の主原料である魚粉は、大半を輸入に依存しているが、世界的な需要増を背景に、魚粉の輸入価格は高値で推移している。
このよう中、IoTを活用した効率的な水産「スマート水産」、陸上で養殖する「陸上養殖」、魚粉量を少なくした「低魚粉飼料」などが注目を浴びている。
本調査レポートでは、スマート水産、陸上養殖、低魚粉飼料の主要プレーヤーを調査・分析することにより、市場の実態と課題を明らかにするとともに、今後の方向性を模索した。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:スマート水産、陸上養殖、低魚粉飼料の現状の取組と、今後の方向性を調査・分析することにより、養殖市場を展望することを目的と調査を実施した。
調査対象製品:次世代養殖技術(スマート水産、陸上養殖システム、低魚粉飼料)
調査対象先:養殖事業参入企業6社、次世代養殖技術参入企業11社、その他大学、関連官公庁・協会団体、研究機関
調査方法:直接面接取材と電話取材を実施
調査期間:2017年6月~2018年1月
スマート水産、陸上養殖、低魚粉飼料の現状の取組と、今後の方向性を調査・分析することにより、今後の養殖市場を展望することを目的に調査を実施
第Ⅰ章 日本における漁業・養殖業の動向
第Ⅱ章 養殖ビジネスの動向
第Ⅲ章 次世代型養殖技術の動向
第Ⅳ章 民間企業による養殖ビジネスの動向
第Ⅴ章 参入企業の個別実態調査
■掲載内容
第Ⅰ章 日本における漁業・養殖業の動向
1.日本の漁業・養殖業の概況
(1)漁業・養殖業の国内生産量の推移(2000~2016年)
(2)漁業・養殖業の国内生産金額の推移(2000~2015年)
(3)漁業生産力の国際比較
2.日本における海面養殖業の概況
(1)海面養殖 魚種別収穫量推移(2006~2016年)
(2)海面養殖魚種別生産額推移(2006~2015年)
(3)都道府県別 海面養殖魚収穫量(2016年)
(4)都道府県別 海面養殖魚種別収穫量(2016年)
(5)都道府県別 種苗養殖販売量(2016年)
(6)海面養殖経営体の概況(海面養殖経営体数、1経営体当りの生産量・生産金額)
3.世界の水産・養殖の動向
(1)世界の漁獲量・養殖生産量(2010~2015年)
(2)主要漁業国における海面漁業漁獲量(2014~2015年)
(3)世界における養殖生産量の推移(1973~2015年)
(4)主要国における養殖生産量(2015年)
(5)世界の地域別漁業者・養殖業従事者(2000~2014年)
(6)世界の水産物の輸出入の動向(2004年と2014年の比較)
(7)世界の魚介類の消費量の推移
4.国内における水産物の輸出拡大に向けた取組
(1)水産物の輸出動向
(2)食緑における輸出に向けた取組
(3)グローバル・オーシャン・ワークスにおける輸出に向けた取組
5.養殖業でも認証制度取得が普及拡大
第Ⅱ章 養殖ビジネスの動向
1.海面養殖経営体の概況
(1)ブリ類養殖業の経営状況とコスト構造
(2)マダイ養殖業の経営状況とコスト構造
(3)国内養殖経営体と海外(ノルウェー)の養殖経営体の比較
2.先進的な海外養殖経営の取組
(1)ノルウェー
(2)チリ
3.国内における養殖ビジネスの取組
(1)大手水産会社における養殖ビジネス
(2)大手商社における養殖ビジネス
(3)近畿大学における養殖事業の取組
(4)注目企業における養殖ビジネスの動向
①日建リース工業における世界初の「活魚輸送用コンテナ」
②サバ料理専門店「鯖や」、未利用魚を餌に、ドローン船を活用した養殖業に参入
4.日本における養殖経営の今後の方向性
第Ⅲ章 次世代型養殖技術の動向
1.スマート水産
(1)スマート水産とは
(2)スマート水産が求められている背景
(3)スマート水産を展開している主な企業の取組み
①はこだて未来大学・NTTドコモの取組み
②注目ベンチャー企業 ウミトロン(株)の取組み
③その他、スマート水産を展開している主な企業
(4)スマート水産の現状の課題・問題点
(5)今後のスマート水産の方向性
(6)スマート水産の市場規模推移(2016~2021年度予測)
2.陸上養殖
(1)陸上養殖の方式
(2)陸上養殖の歴史
(3)海外での陸上養殖の動向
①海外の陸上養殖概要
②海外の陸上養殖の主な取組
③海外の陸上養殖の研究動向
(4)陸上養殖のメリット・デメリット
(5)陸上養殖における有望魚種
①アワビ
②トラフグ
(6)陸上養殖における法規制
(7)参入企業の動向
①陸上養殖システムメーカー
②陸上養殖事業を展開している企業
(8)陸上養殖の注目技術 ~地下海水を利用した陸上養殖~
(9)陸上養殖の今後の方向性
(10)陸上養殖プラント 市場規模推移(2016~2021年度予測)
3.低魚粉飼料
(1)養殖魚の餌の種類
(2)魚粉とは
(3)南米(ペルー・チリ)産魚粉の動向
(4)魚粉需給の動向
(5)国産魚粉生産の取組み
(6)ノルウェーにおける低魚粉化の取組
(7)主要メーカーにおける低魚粉飼料の取組
(8)魚粉代替飼料原料の動向
(9)低魚粉飼料の市場規模推移(2016~2021年度予測)
第Ⅳ章 民間企業による養殖ビジネスの動向
双日(株)
~双日ツナファーム鷹島のIoT・AI化による日本の水産養殖業の高度化への貢献~
(株)ダイニチ
~鮮度一番の出荷体制と物流で日本全国・海外へと安全・安心・鮮度良しの養殖魚を提供~
日建リース工業(株)
~地下海水利用の陸上養殖開発に始まり、“活魚サプライチェーン”構築を目指す~
日本水産(株)
~マグロ、ブリ、サケを軸に養殖事業の強化、高度化、先鋭化を推進する~
マルハニチロ(株)
~クロマグロの完全養殖事業を始めとして「つくり、育てる漁業」の技術革新に取り組む~
(株)夢創造
~完全循環閉鎖型養殖システムにより“海なし県”からのトラフグの出荷を実現~
第Ⅴ章 参入企業の個別実態調査
<スマート水産>
(株)NTTドコモ
~海洋環境の見える化システム「ICTブイ」の実用化の見込み~
(株)オプティム
~農業ICTに続いて、2017年から養殖ICTの実証実験を開始~
公立はこだて未来大学
~研究者と漁業者が一体となりノウハウを供給する「マリンIT」を展開~
八面六臂(株)
~インターネットを駆使し、飲食店向けに水産物などの販売を展開~
<陸上養殖>
IMTエンジニアリング(株)
~閉鎖循環式屋内型エビ生産システム(ISPS)を新潟県妙高市で展開~
(株)FRDジャパン
~換水率1%以下の技術で閉鎖循環式陸上養殖の実用化をリード~
(株)キッツ
~2016年から陸上養殖事業に参入、「キッツスマート養殖」を展開~
(株)フジキン
~チョウザメの飼育のみならず、設備面や活用も含めた提案を進める~
<低魚粉飼料>
中部飼料(株)
~安心安全な養殖魚作りのための高品質飼料の開発と普及促進~
日清丸紅飼料(株)
~ブリ類とマダイ向けに強く、今後はマグロ向け配合飼料の普及拡大に注力~
フィード・ワン(株)
~国内最大規模の水産養魚用飼料工場が稼働、水産向け飼料でもトップを目指す~
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