2018年版 拡大する施設園芸の市場実態と将来展望
近年の農業を取り巻く環境は、農業従事者の高齢化による後継者不足や農業所得の減少、食料自給率の向上など大きな変化の中にある。また地球温暖化が進行する中、農業分野においても温室効果ガスの排出量削減への取組が必要となっており、従来の生産構造のままでは農業の継続が難しい状況となっている。
これらの問題を解決する手段として、これまでの勘や経験のみに頼ることのないように、施設園芸が注目されている。施設園芸は、栽培期間の短縮、収穫量の増加、品質の向上、省エネ・省コスト化など、栽培の高度化を図ることができ、農業の収益性を高めることができる。
本調査レポートでは、栽培システム(養液栽培・植物工場)・施設園芸関連資材(複合環境制御・施設園芸向けヒートポンプ・植物育成用光源・農業ICT、液体肥料)を調査分析することにより、現状の施設園芸市場の実態と課題を明らかにし、各市場の今後の市場性を展望する資料の提供を目的として企画した。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:施設園芸市場参入企業及び液体肥料参入企業に於ける、施設園芸・液体肥料事業の方向性と企業戦略、及び取扱商品の動向を調査・分析することにより、施設園芸・液体肥料市場を展望することを目的として実施した。
調査対象製品:施設園芸[養液栽培システム、複合環境制御装置、施設園芸用ヒートポンプ、植物育成用光源被覆資材(農業用フィルム)、農業ICT]、液体肥料[液肥、その他]
調査対象先:施設園芸・液体肥料参入企業(34社)(施設園芸関連メーカー28社、液体肥料関連メーカー6社)/有力施設園芸生産者(4社)(その他関連官公庁・協会)
調査方法:直接面接取材と電話取材を実施
調査期間:2018年4月~2018年6月
- 栽培システム(養液栽培・植物工場)・施設園芸関連資材(複合環境制御・施設園芸向けヒートポンプ・植物育成用光源・農業クラウド・液体肥料)に関して、参入企業34社と有力施設園芸生産者4社を調査分析
第1章 施設園芸の現状と将来展望
第2章 有力施設園芸生産者の動向
第3章 養液栽培システムの動向
第4章 施設園芸における省力化・省エネ・省コスト化に向けた注目資材動向
第5章 有力参入企業の個別動向(34社)
第1章 施設園芸の現状と将来展望
1.国内農業の現状 ~2016年農業総産出額は前年比104.6%と前年を上回る~
(1)農業総産出額と生産農業所得推移(1984、2010~2016年)
(2)農作物の作付面積推移(2007~2016年)
(3)農業就業人口の推移(2006~2017年)
(4)農業就業者における平均年齢の推移
~農業就業人口(販売農家)の平均年齢は66.7歳~
(5)販売農家における専兼業別農家数構成比の変化
~専業農家割合は増加~
(6)全国農業経営体における経営耕地面積規模別耕地集積割合の変化
(7)農業経営体あたりの経営耕地面積
(8)農林水産物の輸出入状況
①農林水産物の輸出入額推移(2006~2017年)
②農林水産物の輸出入国の状況(2017年)
2.急増する農地所有適格法人(農業生産法人)の状況
(1)農業法人の種類
(2)2015年農地法改正(2016年4月施行)により、企業の農業参入が加速化
(3)組織形態別農業生産法人数の推移(2005~2016年)
~農業生産法人数は16,000法人を突破~
(4)主要生産作物別農業生産法人構成比(2016年)
~米・麦作法人は2016年総数で6,691法人~
3.農業の6次産業化への取組状況
4.国内・海外の農業が抱えている課題・問題点
(1)国内の農業が抱えている課題・問題点
(2)海外の農業が抱えている課題・問題点
5.施設園芸の現状
(1)エリア別 施設園芸の変化と設置実面積及び新設面積推移
(2)石油利用加温設備と代替エネルギー化の動向
(3)省エネルギー装置の普及状況
(4)全国の施設園芸における栽培作物の動向
(5)施設園芸に関連する2018年度予算概算の内容
6.海外の施設園芸の動向
(1)オランダの動向
①オランダの施設園芸の現状
②オランダの施設園芸の基礎データ
③オランダの施設園芸の歴史
(2)中国の動向
①中国の農業総産出額の推移(2005~2014年)
②中国における園芸用施設の設置面積の推移(1982~2014年)
③中国における園芸用施設の種類別面積(2014年:トンネル面積を除く)
④園芸用施設の地区別設置面積
(3)韓国の動向
①韓国の施設園芸の現状
②韓国の施設園芸の主な取組み
③日本のパプリカ輸入の変化
④日本国内におけるパプリカ生産動向
(4)国内の施設園芸関連企業の海外展開
7.施設園芸が普及拡大するための提言
(1)国内の施設園芸における課題・問題点
①労働時間が長い
②農業用温室ハウスが高い
③ランニングコスト(光熱費)が高い
(2)今後の国内における施設園芸の方向性
①農業用ハウスの設置コスト低減の方向
②ランニングコスト(光熱費)削減のため、
再生可能エネルギーを活用したシステム
③施設園芸向け栽培コンサルタントの必要性
④次世代施設園芸の方向性
第2章 有力施設園芸生産者の動向
1.異業種からの農業参入について
(1)異業種からの農業参入の動向
(2)企業の農業参入と農地法
(3)企業の農業ビジネス参入スタイル
①農地利用型
②施設栽培型
(4)参入企業動向
①農地利用型
②完全人光型植物工場
③太陽光・人工光併用型植物工場
④太陽光利用型栽培施設
(5)農業ビジネス失敗事例・成功事例
2.有力施設園芸生産者における取組み動向
(1)生産概要
(2)栽培概要
(3)農作物の販売動向
(4)省エネ・省力化への取組み
(5)生産・流通上の課題
(6)今後の事業の方向性
≪有力施設園芸生産者の個別調査票≫
イノチオみらい(株)
~下水処理時に発生する放流熱を活用した高収量・高品質なミニトマトの周年生産を実証~
(株)クニエダ
~完全閉鎖型のバラの植物工場、年間400万本の出荷を目指す~
JA新おたる 仁木町トマト生産組合
~生産者が自ら販売先を開拓し、ミニトマトのブランド化に成功~
(株)デ・リーフデ北上
~国内でも最大規模のパプリカ生産事業者~
第3章 養液栽培システムの動向
1.養液栽培システムの市場概況
2.養液栽培における市場規模推移
(1)2014年における養液栽培の設置面積
(2)養液栽培施設の設置面積(野菜+花き)の推移(1989~2014年)
3.養液栽培におけるタイプ別の動向
(1)水耕栽培
①たん液型栽培(DFT)
②薄膜水耕(NFT)
(2)固形培地
4.参入企業の主要商品
5.参入企業における開発と製品戦略
6.参入企業における販売動向
7.現状の課題点と今後の方向性
(1)現状の問題点と課題点
(2)今後の方向性
8.市場の見通し
9.養液栽培システムの市場規模の推移(2013年~2017年)
10.養液栽培システムの今後の市場規模予測(2018年見込み~2022年予測)
第4章 施設園芸における省力化・省エネ・省コスト化に向けた注目資材動向
1.複合環境制御システム
(1)市場概要
①複合環境制御装置の普及状況
②複合環境装置構成
(2)主要参入企業の動向
(3)製品・技術関連動向
(4)参入企業の販売動向
(5)現状の問題点と課題点
(6)今後の事業の方向性
(7)市場規模の推移(2013年~2017年)
(8)今後の市場規模予測(2018年~2022年予測)
2.施設園芸向けヒートポンプ
(1)市場概要
①施設園芸における加温面積の変化
②ヒートポンプが増加している環境要因
③ヒートポンプ導入状況
(2)主要参入企業の動向
(3)製品・技術関連動向
(4)参入企業の販売動向
①施設園芸向けヒートポンプの販売動向
②施設園芸向けヒートポンプのメーカーシェア(2017年)
(5)現状の問題点と課題点
(6)今後の事業の方向性
(7)市場規模の推移(2013年~2017年)
(8)今後の市場規模予測(2018年見込み~2022年予測)
3.植物育成用光源
(1)市場概要
①植物育成用光源の種類と特徴
②LED照明のメリット・デメリット
③植物育成用光源の比較
(2)主要参入企業の動向
(3)製品・技術関連動向
(4)参入企業の販売動向
(5)現状の問題点と課題点
(6)今後の事業の方向性
(7)市場規模の推移(2013年~2017年)
(8)今後の市場規模予測(2018年見込み~2022年予測)
4.被覆資材(農業用フィルム)
(1)市場概要
①被覆資材の種類
②被覆資材別設置面積の推移
1)ハウス資材別 設置実面積の推移(2003年~2014年)
2)多層化カーテン設備のあるガラス室・ハウス設置面積推移(2003年~2014年)
(2)ハウスの被覆材による分類
(3)主要企業の動向
(4)製品・開発動向
(5)参入企業の販売動向
(6)現状の問題点と課題点
(7)今後の事業の方向性
(8)市場規模の推移(2013年~2017年)
(9)今後の市場規模予測(2018年見込み~2022年予測)
5.農業クラウド
(1)市場概要
(2)主要参入企業の動向
(3)参入企業の販売動向
(4)現状の課題と問題点
(5)今後の事業の方向性
(6)農業クラウド市場規模予測(2016年度~2023年度予測)
6.液肥市場
(1)市場概要
(2)市場規模推移(2013年~2017年度)
(3)メーカーシェア(2017年度)
(4)使用タイプ別市場構成比(2017年度)
(5)使用タイプ別流通状況と市場特性
①土壌施肥液体肥料
②葉面散布肥料
③養液栽培用肥料
④ペースト肥料
(6)参入企業における開発と製品戦略
(7)参入企業における生産動向
(8)参入企業における販売動向
(9)現状の課題点と今後の方向性
①現状の課題点
②今後の方向性
(10)市場規模予測(2017年度~2022年度予測)
第5章 有力参入企業の個別動向(34社)
≪施設園芸関連企業≫
アズビル(株)
~新規が一巡し入替中心に、旧製品の部材調達が厳しく新製品への交換呼びかけ~
(株)イーズ
~原油価格の低下で普及停滞、現在は他分野で事業をカバー~
イノチオアグリ(株)
~農業総合支援企業として、農業に携わる農家・法人に必要なサポートは全て提供する~
ウシオ電機(株)
~グローバル展開がメインも、国内ニーズが高まる機運も~
AGCグリーンテック(株)
~エフクリーンを通して最適な室内環境を提案・実現し、明日の豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を目指す~
(株)エム式水耕研究所
~M式水耕で省力化機器開発・こだわり品質体系確立・高収入生産体系確立等の展開~
協和(株)
~AIを活用した栽培管理の最適化技術の開発等によるハイポニカ事業の拡大~
サンテーラ(株)
~「クリンテート」と新規高機能農PO「調光」により、環境に優しい農業・施設園芸を目指す~
昭和電工(株)
~高速栽培法「SHIGYO法(S法)」は普及期に入り、将来的には100~150億円の事業規模に~
(株)誠和。
~施設園芸のハード・ソフトの企画・設計から生産物の流通・販売までのトータルプラントメーカーを目指していく~
ダイキン工業(株)
~2015年度以降ヒートポンプ需要は減少、原油価格安定と補助金の減少で厳しい状況が続く~
(株)大仙
~ハウス建設は安定しつつも市場は伸び悩み、長期的に海外も模索~
(株)大和コンピューター
~実証実験によるノウハウの確立を深耕、販売拡充を図るため子会社も設立~
タキロンシーアイ(株)
~日本の施設園芸の発展を支え続けてきた実績と知見をもとに、未来を見据えた資材を提案し、農業の活性化に貢献していく~
(株)デンソー
~「プロファーム・コントローラー」の販売が拡大、自動車で培った技術を展開~
トミタテクノロジー(株)
~グループ企業で栽培事業も展開し、大規模ハウス経営で高いノウハウを構築~
トヨタネ(株)
~デンソーの技術力とトヨタネの栽培ノウハウを融合した環境制御システム「ProFarm」の拡販~
日本アドバンストアグリ(株)
~栽培装置ニーズは停滞、海外への展開を模索~
日本オペレーター(株)
~個別農家向けは安定した推移、現場に即した機器販売で安定成長を図る~
日本電気(株)
~分析・予測・制御・解析等を活用し、食のバリューチェーン全体の最適化に貢献~
ネポン(株)
~ヒートポンプブーム後は燃焼系が伸長、今後は大規模向けに商品開発の方向性~
日立アプライアンス(株)
~原油価格低下で販売不振、施設園芸向けは主力事業にならず~
富士通(株)
~「豊かな食の未来へICTで貢献する」方針の下、食・農クラウド 「Akisai(秋彩)」シリーズを展開~
PLANT DATA(株)
~センシング技術による植物の環境の見える化を通じて、植物と人間の新しい関係の構築を目指す~
(株)プラントライフシステムズ
~独自開発した生体センサーで野菜の状態を見守り、育成を予測してコントロールする栽培支援システムを展開~
三菱ケミカルアグリドリーム(株)
~苗作りから栽培、出荷までの資材と全過程でのノウハウも提供して、生産者の収量拡大と農業活性化に貢献する~
(株)ルートレック・ネットワークス
~点滴灌漑システム「ゼロアグリ(ZeRo.agri)」で農業問題の解決を目指す~
渡辺パイプ(株)
~農業用ハウスのフィルム張替補償(他社製も対象)最長3年まで拡大~
≪液体肥料関連企業≫
OATアグリオ(株)
~施肥灌水技術と肥料の開発を通じ、農業を支え、豊かな実りと人々の健やかな暮らしに貢献~
片倉コープアグリ(株)
~地域特性や多様なニーズに応える製品開発・製造・販売を通じて「稔り豊かな未来」に貢献する~
住友化学(株)
~「住友液肥M号」等の生産者ニーズに応える機能性商品の開発による液肥事業の拡大~
(株)生科研
~「中嶋農法」に則った土壌診断技術と液肥を含む生育コントロール技術での栽培支援推進~
ダン化学(株)
~魚肉エキス等の有機入り液肥や養液栽培用肥料により、美味しく安全で効率的な農業に貢献~
(株)ハイポネックスジャパン
~園芸ユーザーを増やし、新市場開拓により市場自体の拡大を図る~
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