2020年版 植物工場の市場実態と将来展望
高齢化・後継者不足による農業人口の減少は、国内農業の喫緊の課題のひとつである。大規模経営での省力・低コスト生産体系の確立、民間の技術力やICT・ロボット・センサー技術、IOTなどの先端技術の活用が推進され、食品や中食、外食業などの様々な企業との連携を通じた6次産業化への転換が急務とされている。
こうした中、植物工場は、季節や天候に左右されずに安定生産が可能であり、単位面積あたりの高い生産性を実現できることから、異業種からの参入も多い。農林水産省の調べでは2020年2月時点で全国に187施設(人工光型)となり、2011年3月時点と比較し、その数は約3倍にまで拡大してきている。
一方、生産業者においては、温湿度管理や作業管理のような「栽培技術の向上」、単価向上・安定的取引先の確保といった「取引関係の構築」など、経営に資する様々な課題が優先して解決すべき事項として取り上げられる等、植物工場は、本格的な産業形成に向けた途中の段階にあると考えられる。
本調査レポートでは、有力植物工場事業者・資材コンサルティング関連企業の取り組み状況を調査分析することで、こうした現状の課題や解決への方向性を明らかにし、今後の市場性を展望することを目的とする。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:当調査は、完全人工光型植物工場の運営事業者・プラントメーカーの事業戦略および取扱商品の動向を調査・分析し、植物工場市場の現状と今後の市場見通しを明らかにすることを目的とする。
調査対象事業・商品:完全人工光型植物工場での生産野菜。完全人工光型植物工場の建屋および屋内関連資材
調査対象企業・団体:本事業に参入する企業および研究機関
調査方法:直接面接取材及び電話、アンケートによる電話調査
調査期間:2020年4月~2020年8月
完全人工光型植物工場の定義:本資料における完全人工光型植物工場は、光源に人工光を用い、空調と養液栽培を導入し植物の生育に必要な環境要素(光、温度、湿度、CO2 ガス濃度など)を制御することで栽培する屋内施設を示す。よって、太陽光や人工光併用型のハウス栽培などは、本資料の調査対象には含めない。
- 日本国内有力企業(植物工場事業者、プラントメーカー・関連企業)の、現状の取り組みを紹介
- 植物工場の市場規模推移(事業者売上高・建設工事売上高)を2024年度まで明らかに
- 前回版との違い
コロナショックに際し、衛生面が担保された生産環境でますます注目を集める植物工場の動向を紹介
第1章 植物工場を取り巻く環境
第2章 有力植物工場運営事業者の動向
第3章 有力植物工場資材・プラントメーカーの動向
第4章 植物工場運営事業者へのアンケート調査
第5章 植物工場の将来展望
第6章 有力参入企業の個別動向(24社)
第1章 植物工場を取り巻く環境
1.植物工場の社会的ニーズ~新型コロナウイルスの影響を受け注目高まる~
(1)世界人口の増加に伴う食糧需要の増加
(2)植物工場に関するSDGs(Sustainable Development Goals)ターゲット
(3)日本の農業従事者の現状・食糧自給率推移
(4)新型コロナウイルスで注目高まる植物工場~食糧安全保障に期待大~
(5)サバクトビバッタの蝗害で注目高まる植物工場
(6)農業大国アメリカで植物工場産野菜のニーズが拡大
2.植物工場事業への新規参入、新工場建設の動向
(1)大規模植物工場が全国各地で稼働
(2)今後の主な植物工場計画
(3)新設計画事例紹介
①昭和産業 ~自社工場を活用し植物工場事業へ参入~
②東京電力エナジーパートナー、ファームシップ、芙蓉総合リース
~合弁会社「彩菜生活合同会社」が世界最大規模の植物工場を稼働~
(4)植物工場における法規制 ~一部用途で植物工場の建設緩和~
(5)植物工場建設の際、利用可能な主な助成制度
(6)認証制度~植物工場にJAS 品質管理を認証~
(7)コンビニエンスストア・スーパーで拡大する業務用需要
①調理パン(サンドイッチ等)市場規模
②ローソン ~ローソンファームで植物工場を稼働するほか、産直事業に注力~
③セブン-イレブン ~「相模原ベジタブルプラント」を稼働、野菜使用商品を拡大~
④ファミリーマート、サラダに植物工場で栽培した野菜を一部使用
⑤イオンモール沖縄ライカムの取り組み ~店産店消の野菜を多品種販売~
(8)障がい者雇用の創出や農福連携で注目される植物工場
①グリーンラボ社の取り組み
②スタートライン社の取り組み
第2章 有力植物工場運営事業者の動向
1.業務用需要の増加
2.カット野菜等の消費動向
3.植物工場撤退事例
4.植物工場成功事例 ~黒字転換に成功した運営事業者のビジネスモデル~
(1)スプレッド
(2)木田屋商店
5.植物工場野菜における販売動向
6.国内の植物工場事業者の海外展開動向
7.海外における主な植物工場事業者の動向
①Aero Farms(アメリカ)
②Bowery Farming(アメリカ)
③Crop One Holdings(アメリカ)
④80 Acres Farms(アメリカ)
⑤Freight Farms(アメリカ)
⑥Green Sense Farms(アメリカ)
⑦Growing Underground(イギリス)
⑧Gotham Greens(アメリカ)
⑨InFarm-Indoor Urban Farming GmbH(ドイツ)
⑩Ino-Gro(バルバドス)
⑪Pink Farms(ブラジル)
⑫Plenty(アメリカ)
⑬RIAT(ロシア)
⑭SANANBIO-Fujian Sanan Sino-Science Photobiotech Co.,Ltd.(中国)
⑮Seedo Corp(イスラエル)
⑯Urban Crop Solutions(ベルギー)
⑰Vertical roots(アメリカ)
8. 主要な海外の植物工場事業者一覧表
第3章 有力植物工場資材・プラントメーカーの動向
1.植物工場関連資材・システム市場の動向
(1)植物工場プラントにおける導入フロー
(2)省エネ・低コスト資材
(3)環境制御システム
(4)植物用LED照明
2.自動化システム市場の動向
(1)自動化システムが求められている背景
(2)自動化システムの導入効果
(3)主要参入企業
①キヤノン電子
②三進金属工業
③伊東電機
④FAMS(ファムス)
3.防藻への対応
4.資材・コンサルティング事業者における新型コロナウイルスの影響
5.資材・コンサルティング事業者における海外展開の動向
第4章 植物工場運営事業者へのアンケート調査
1.アンケート回収結果
2.回答企業属性
3.直近の決算(営業利益ベース)
4.事業が安定化するまでの年数
5.新型コロナウイルスの感染拡大による経営への影響
6.新型コロナウイルスの具体的な影響
(1)コロナウイルスが経営に与えた影響
(2)経営環境の変化
7.今後の経営(生産規模)拡大の意向
8.その他、植物工場に関する自由意見
<完全人工光型植物工場 アンケート個別調査票>(55社)
1)社会福祉法人 旭川光風会
2)社会福祉法人クピド・フェア
3)(株)土屋特殊農機具製作所
4)サンメディックス(株)
5)(株)向陽アドバンス
6)(株)東部環境
7)(有)安全野菜工場
8)(株)KiMiDoRi
9)農事組合法人 大農水耕生産組合
10)パナソニック㈱
11)東西しらかわ農業協同組合
12)三菱ガス化学(株)
13)フタバ食品(株)
14)(株)成電工業
15)(有)アーバンファーム 柏工場
16)(有)アーバンファーム 野田工場
17)デリシャス・クック(株)
18)エスペックミック(株)
19)昭和飛行機工業(株)
20)ヒューマンライフケア(株)
21)(株)Shune365
22)(株)ビルドアート
23)プライムデリカ(株)
24)(株)プラントフォーム
25)RYOKI PLANT FACTORY浦佐 合同会社
26)(株)エフ&エフ
27)(株)健菜堂
28)アイティエムファーム(株)
29)あずまー植物工場(株)
30)(株)ミスズライフ
31)(株)木田屋商店
32)清川メッキ工業(株)
33)タイヨー電子(株)
34)(株)ユニファーム
35)(有)安曇野三郷ハイテクファーム
36)(株)ストリーム
37)(株)パスカル
38)協栄興業(株)
39)(株)ミツイシ野菜工房
40)日清紡ホールディングス(株) 藤枝事業所
41)豊田鉃工(株)
42)日本アドバンストアグリ(株)
43)ハートランド(株)
44)日本山村硝子(株)
45)恒次工業(株)
46)(株)夢ファーム有漢
47)Y&G.ディストリビューター(株)
48)日清紡ホールディングス(株) 徳島出張所
49)日本ガス(株)
50)(株)ぐしけん
51)上板町 技の館
52)(有)中川産業
53)南大東村役場
54)A社
55)B社
第5章 植物工場の将来展望
1.植物工場の市場規模推移・運営事業者(金額ベース)<2011~2024年度予測>
2.植物工場・運営事業者(株数ベース)<2011~2024年度予測>
3.業種別需要動向(スーパー、コンビニエンスストア、外食、中食、その他)
4.植物工場野菜の流通フロー
(1)市販向け(小売)
(2)業務用(コンビニ、外食、中食など)
5.植物工場・建設工事市場<ストックベース(建屋+屋内関連資材)><2011~2024年度予測>
6.植物工場の今後の方向性
第6章 有力参入企業の個別動向(24社)
<植物工場運営事業者>(7社)
アグリト株式会社
~安心安全の”美野菜”づくりで、美浜から全国へ高品質野菜の安定供給体制を構築~
Infarm - Indoor Urban Farming Japan株式会社
~ベルリン発のインストア型スマート野菜栽培ユニットを日本国内で展開~
MGCファーミックス株式会社
~完全人工光型植物工場が2019年11月に竣工~
株式会社木田屋商店
~生産効率とコストパフォーマンスを追求した完全人工光型植物工場による安心で安全な野菜の安定供給~
近鉄不動産株式会社
~「近鉄ふぁーむ花吉野」での植物工場による事業領域の拡大と沿線農業活性化への寄与~
株式会社スプレッド(アースサイドグループ)
~次世代型植物工場が稼働開始、人工光型植物工場のさらなる可能性を追求~
株式会社バイテックベジタブルファクトリー
~大規模工場の運営で培った知見をもとに、新工場を展開予定~
<プラントメーカー・関連企業>(17社)
ウシオ電機株式会社
~照明だけでなく総合的なソリューション会社への脱皮が課題~
キヤノン電子株式会社
~プリンターの生産機器で培ったロボット技術を活用、植物工場の全自動化へ注力~
グリーンリバーホールディングス株式会社
~独自開発の縦型水耕栽培システムを展開~
株式会社クレオテクノロジー
~低価格・高品質な完全人工光・全自動栽培植物工場を提供~
三進金属工業株式会社
~スチールラックの技術を植物工場で活用。産学官の連携で研究基盤を強化~
昭和電工株式会社
~栽培環境を提供するソフトウェアの充実を図り拡大を目指す~
シンフォニアテクノロジー株式会社
~環境制御により植物工場全体を管理し、また、栽培実証から得たノウハウを栽培管理に反映して安定栽培を実現~
株式会社大気社
~自動化技術の自社開発に成功、2021年3月業務用大型レタス工場が完成予定~
大成建設株式会社
~リフレクタ付き面パネル型LED照明植物工場ユニットを展開~
大和ハウス工業株式会社
~三協立山株式会社と業務提携、植物工場システム「agri-cube ID」を販売開始~
千代田化工建設株式会社
~カタール大学向け完全人工光型植物工場実証機の導入業務を受注~
株式会社デルフィージャパン
~オランダをはじめとした世界的な実績とノウハウを活用して生産現場を支援~
東洋紡エンジニアリング株式会社
~企画・設計・施工から生産の先の出口戦略までサポートし、成功する植物工場づくりを応援~
パナソニック株式会社
~農業を高度化することで世界に貢献。野菜作りの新しい可能性を工場から~
株式会社ファームシップ
~最先端技術を活用し、生産と流通の最適化で農と食の未来を創造~
プランツラボラトリー株式会社
~屋内農場システム「PUTFARM」で店産店消を実現。鉄道高架下用地の有効活用を推進~
株式会社プランテックス
~クローズド・タイプの植物栽培ユニットで、生産性・品質向上。「植物工場2.0」へ~
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