2020年版 車載ディスプレイ部材市場の展望と戦略
近年、車載ディスプレイは従来のカーナビやディスプレイオーディオ(DA)およびそれらと統合したCIDに加え、HUDやクラスター、各種ミラー類などまで拡大し、視認性・操作性の向上が走行安全性と直結するようになった。ディスプレイが多機能・大型・曲面化する中で、部材である前面板やOCA・OCR、操作UIであるタッチパネルなどの部材の材質や性能が重量となっている。本レポートでは、これら車載ディスプレイの関連部材の需要および技術・開発の動向を明らかにする。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:車載ディスプレイ関連部材メーカーの現在の動向と今後の事業施策を徹底調査し、さらに周辺調査を行うことで、車載ディスプレイ部材関連市場における現状と将来展望の把握を目的とする。
調査対象:前面板(ガラスカバー、樹脂カバー、成形品)、加飾フィルム(インサートモールド用)、車載用ディスプレイ用各種光学フィルム、OCA・OCR、タッチパネル
調査方法:直接面接取材をベースに、文献調査を併用。
調査期間:2020年5月~2020年6月
車載ディスプレイ部材世界市場に関する調査を実施(2020年)
車載ディスプレイ部材の出荷量は、自動車1台当たりのディスプレイ搭載数増加と大画面化により、自動車生産台数よりも早く需要が回復すると予測
~非接触のセンシング機能による画面操作など、新しいニーズをキャッチアップする提案も~
2020年のCOVID-19流行の影響と2021年以降のアフターコロナの状況を考慮し2022年までの需要予測を算出しました。
第1章:車載ディスプレイ部材市場の展望と戦略
第2章:車載ディスプレイ部材市場の動向
第3章:車載ディスプレイ部材メーカーの展望と戦略
調査結果のポイント
第1章:車載ディスプレイ部材市場の展望と戦略
マルチディスプレイ、非接触センシング、曲面対応
アウトセルの強みを活かした領域開拓を!
ディスプレイ搭載数拡大と大画面化でアフターコロナの需要回復に期待
非接触センシングなど新しいニーズをキャッチアップする提案に勝機あり
(表)主要地域における自動車生産台数推移
(図)アフターコロナの自動車生産台数と車載ディスプレイ主要部材の需要回復状況
OCRメーカーは大型・曲面、異素材のダイレクトボンディングに対応した開発を推進
リワーク性を武器に対抗するモスアイフィルムはコスト、設備、貼合技術の課題解決を!
ミドルエンド車種まで拡大するインセル・オンセルに対するアウトセル勢の攻防策が問われる
センサー付きマルチディスプレイカバーなど新たな需要を掘り起こせ
第2章:車載ディスプレイ部材市場の動向
1.車載用前面板市場
2020年の市場規模は大幅マイナスも2021年は新たなディスプレイ搭載拡大によるV字回復期待
ガラス:樹脂の比率は2019年以降、概ね6:4で安定
(図・表)車載用前面板市場規模
前面板の曲面化で2020年のアルミノシリケートガラスの比率は48%まで向上
ソーダライムガラスもコロナ禍の2020年を除きコンスタントに年間5%前後の成長を維持
(表)車載ディスプレイ及びTP用ガラスカバータイプ別市場規模推移
(図)車載用前面板市場規模
車載ディスプレイカバーではAGC、コーニングの2強が市場を掌握
AGCが世界初の曲面ガラス量産化でリードも、コーニングが室温での曲げ加工を武器に猛追
(表)車載ディスプレイ及びTP用ガラスカバーの製造プロセス別メーカー一覧表
樹脂シートカバー(表面処理済)では樹脂から一貫生産体制の三菱ガス化学と
スパッタAR技術を持つMSKの2強体制に
(表)車載ディスプレイ及びTP用樹脂カバーの製造プロセス別メーカー一覧表
(表)車載ディスプレイ及びTP用樹脂シート(AR、AG、AFR等HC加工済)
メーカー別出荷量推移
車載用プラスチックシートはクラレ、住化アクリル販売、帝人の日系3社が押さえる
大型化、ダイレクトボンディング化で2種3層品、厚肉品の需要が拡大
(表)車載ディスプレイ及びTP用樹脂シート(原板)メーカー別出荷量推移
曲面化とシームレス化で成形カバーも注目される
(表)車載用成形品(カーナビなどの電装品向け)メーカー一覧
(表)車載用カバー価格比較(2018年春時点)
2.車載用OCA・OCR市場
車載ディスプレイのインセル化で薄膜OCAの成長に陰り
一方、厚膜OCA、OCRはダイレクトボンディングの拡大を受け2ケタ成長続く
(表)車載OCA市場規模推移
(表)車載OCR市場規模推移
温度変化、振動など厳しい使用環境に耐えるシリコーン系が採用伸ばす
(表)車両用OCA、OCRメーカー一覧
ボンディングの品質が走行安全性に直結、ディスプレイの大型化やカバーの樹脂化に対応した
伸長性の高いシリコーン系OCRの開発・投入が進展
(表)車載用静電容量TPの採用部位別厚みと課題
(表)CoverとTP、LCD(LCM)貼り合わせプロセスの主体メーカー一覧
3.車載用機能性フィルム市場
①電装部品用インサートモールド(INS)加飾フィルム
CASE対応進展で自動車内装はデコレーションから電装へとシフト
形状自由度が高く表面機能付与が容易なINSフィルムの採用が拡大
自動車内装用INSフィルム市場規模に占める電装用の比率は2019年に35%に達する
ディスプレイ関連フィルム・シートで実績のあるコンバーターに強み
(図・表)自動車内装用INS加飾フィルム市場規模推移
(図・表)自動車用INS加飾フィルム主要地域別市場規模推移
(図・表)自動車用INS加飾フィルム(電装用)主要メーカー別販売量推移
(表)3次元加飾工法の比較
②車載用光学フィルム
安全性確保のためにも反射防止、防眩、防汚などの機能を付与する光学フィルムの重要性が増す
曲面やリワークに対応するモスアイ型反射防止フィルムの提案が活発化
(図)デクセリアルズの反射防止フィルム製品構造
4.車載タッチパネル市場
マルチディスプレイ・大画面化、曲面化など新たな車載TPに対するニーズに加え
非接触機能などアフターコロナに向けた製品開発も進展、2021年以降のV字回復に期待
(図・表)車載TP方式別市場規模推移
静電容量TPではガラスセンサーからインセルへのシフトが止まらず
2020年には全体の15%がインセル化
(図・表)車載用静電容量TPタイプ(Glass Sensor/Film Sensor/In・On-Cell)別市場規模推移
(図・表)車載用静電容量TP構造別市場規模予測
台湾・中国勢が参入したインセルはコスト競争力でミドルエンド車種まで採用を拡大
ガラスセルメーカーはセル構造を単純化したG1の投入で対抗
(図)車載用抵抗膜方式/静電容量方式TP各種構造
(図)タッチ機能内蔵ディスプレイ(車載用)構造
フィルムセンサーは異形・曲面対応と金属メッシュによる大型化対応に強み
インセル対抗として曲面化に加え、ワイドサイズのマルチディスプレイカバーや
タッチ操作と物理操作の組合せなど新たな発想の製品開発が進展
(図・表)車載用TPメーカー(合計)別シェア(2019年実績、2020年予測)
(図・表)車載用抵抗膜TPメーカー別シェア(2019年実績、2020年予測)
(図・表)車載用静電容量TPメーカー別シェア(2019年実績、2020年予測)
第3章:車載ディスプレイ部材メーカーの展望と戦略
AGC株式会社
素板から化学強化、表面処理、加飾印刷、曲げ加工まで自社内で完結
一貫体制による品質・信頼性とニーズへの対応力で圧倒的な強さ誇る
2021年より中国・蘇州で大型・3D複雑形状の車載カバー生産を開始
車載用Dragontrail®生産・供給のグローバル化を実現
2020年はコロナ禍の影響受けるも2021年以降はV字回復に期待
強度、光沢・質感、成形性、曲面対応などを武器に提案を強化
三菱ガス化学株式会社
樹脂、シート、表面処理までの一貫体制で安定した品質を確保
2018年初頭よりMGCフィルシート白河工場が稼動開始
大型化、マルチディスプレイ化のトレンドに乗って2021年以降の需要拡大に期待
視認性向上、曲面対応、シームレスを実現するグレードが成長
樹脂成形カバー向けには加飾フィルム「MRフィルム」を提案
耐擦傷性向上、耐薬品性向上、低温成形対応など幅広くニーズをキャッチし販売量を拡大
名阪真空工業株式会社(MSK)
樹脂カバー、ガラスカバーを問わず高レベルの表面処理技術を提供
多様な製品ラインナップで幅広いニーズへのきめ細かい対応力に強み
AG、AR、AFを組み合わせた高い外観性の樹脂シートが車載カバーとして高い評価受ける
三重工場のスパッタ設備増設で需要拡大に対応
高い反射率と防汚性を持つAR機能付きシートは2019年の量産開始以来急成長
ディスプレイの曲面化に対応する熱曲げグレードは要望があればすぐ供給可能に
吉田テクノワークス株式会社
マルチディスプレイ、シームレスデザインニーズには
世界で唯一の技術であるガラスインサートインモールドを提案
2019年、岩手工場に15″程度まで成形可能な大型射出成形機を導入
ディスプレイの大画面、ワイドスクリーン化に対応
インモールド、インサート、ガラスインサートインモールドなど多様な成形工法を提案
光学機能付与、曲面、シームレス、2in1など車載でのユーザーニーズに確実に応える
旭化成ワッカーシリコーン株式会社
大型、曲面、樹脂カバー、内装のシームレス化など
車載ディスプレイのトレンドに合わせたラインナップを提案
高い伸長率と凝集破壊が特徴のLUMISIL® FLEXの提案を推進
黒色ダム材、速乾グレードなどニーズにきめ細かく対応する品揃えを強化
技術・ノウハウとユーザーとの関係性の蓄積でマーケットリーダーのポジション確立
LUMISIL®シリーズの販売は2021年以降順調な成長を見込む
ヘンケルジャパン株式会社
車載ディスプレイ向けLOCAに止まらない自動車用接着剤での幅広い展開と
周辺機器まで含めた全方位からの提案力で差別化
放熱、電子デバイス実装、ディスプレイなど車載用接着剤のトータル展開に強み
車載ディスプレイ向けLOCTITE® AD 8650、ダイレクトボンディング向けに採用進む
視認性向上に加え、大型・曲面、樹脂カバーなど幅広いニーズに対応
三菱ケミカル株式会社
モスアイ構造を持つ「モスマイト™」、曲面カバーやマルチディスプレイなど
車載ディスプレイの新たなニーズに対応し採用拡大に期待
モスアイ構造でガラス、樹脂の表面反射を0.1~0.3%に抑制し視認性を向上
Roll to Rollの連続生産と新たに導入した広幅設備での生産体制に強み
エアギャップ構造と高い反射防止機能を両立しディスプレイのリワークにも対応
結露防止機能も備え、走行安全性に直結するディスプレイの視認性向上を実現
ジオマテック株式会社
ガラス調達から反射防止までワンストップで提供するカバーガラスや
モスアイフィルムg・moth®など新たな商品・サービスでの展開に注力
事業成長を支えるコア技術創出、製造技術の多角化、受託専業からの脱却など
収益基盤強化に向けた取り組みを加速
カバーガラスでは曲面への均一・精密な膜付け技術で差別化
2018年にはモスアイ型反射防止フィルムg・moth®の量産技術を確立
車載ディスプレイの視認性向上、リワークのしやすさをアピールし提案を進める
マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン株式会社
導電性、光透過性など内装のトレンドを押さえた製品展開を推進
独自ノウハウで設計・配合したハードコート層を使用した「XtraForm™」
基材(PCフィルム)とアフターキュアハードコートの組み合わせで深絞りに対応
インテリアと電装品のシームレス化に応え導電性インクによるタッチ機能付与を実現
アイカ工業株式会社
樹脂、塗料、コーティング、それぞれのノウハウの複合で差別化
プレキュアタイプの3次元加飾用HCフィルムを改良
2018年より自動車内装加飾をターゲットにサンプル供給を開始
樹脂、UV塗料、コーティングの一貫体制を武器に開発した「Sシリーズ」
優れた耐擦傷性・耐候性と成形性の両立を武器に自動車外装の塗装代替を狙う
住化アクリル販売株式会社
加飾用フィルム「テクノロイ」、自動車内装表面材で安定的な需要を確保
デコレーション向け中心のPMMA系、電装品向けのPC系など
多様なグレード展開でニーズにきめ細かく対応
パナソニック株式会社(インダストリアルソリューションズ社 メカトロニクス事業部)
曲面、異形、複数の入力方式の組合せなど新たな製品の開発・提案で差別化
フィルムセンサーの特性を活かし、インセルが対応できないサイズ・形状の需要取り込み狙う
タッチ入力と物理入力の複合化など新たなデバイスの開発も推進
車載用静電容量TPは12″以上・曲面のニーズが拡大
低抵抗のCuメッシュセンサーの開発でワイドスクリーンにも対応
双葉電子工業株式会社
ITO単層のG1センサーの量産始まる、マルチディスプレイを想定した
センサー付きカバーなど新たなニーズを見据えた製品開発に注力
2019年末量産開始のG1、マルチディスプレイカバーを想定したフィルムセンサーなど
インセル化に対抗する新たな構成のセンサー開発を推進
2021年度以降、新規開発品の売上拡大に期待
ホシデン株式会社
曲面化、マルチディスプレイ対応など
車載TPの新たなニーズに応える製品開発でインセル化の流れに対抗
2019年下期より海外拠点をベトナムに集約、スリム化と生産効率アップで収益確保を図る
自動車生産台数縮小、covid-19流行で売上高、販売数量ともに縮小傾向に
インセルでは対応できないニーズをキャッチアップした新たな製品開発に注力
ガラスカバーと組み合わせたGG、G2が販売量の大半を占める
メッシュタイプのフィルムセンサー開発でマルチディスプレイカバーや曲面ニーズに対応
NISSHA株式会社
両面ITOのF2センサーとIMDの組合せにアドバンテージあり
IMEなど新たな技術提案も積極的に展開
車載TPではセンサー、モジュール、成形品と全方位から顧客ニーズに対応
曲面対応、シームレスデザイン、高い視認性で存在感示す
デザイン・設計の自由度を高める新技術IMEの提案を推進
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