2022年版 セルロースナノファイバー市場の展望と戦略

CNFは、これまでのサンプルワークと用途開発の取組みの中で、その特性や機能・性能がユーザーにある程度浸透してきました。2020年から2021年にかけては、自動車部品や化粧品、スポーツ用品といった川下製品での採用・製品化が拡大しています。さらに、蓄電体やソルダーペースト、センサーなど、エレクトロニクス関連分野での採用に向けた研究開発も進展しており、これまでとは異なる「次のフェーズ」での用途開発・市場開発の動向が注目されます。

発刊日
2022/03/30
体裁
A4 / 170頁
資料コード
C63133100
PDFサイズ
74.1MB
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調査資料詳細データ

調査概要
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調査目的:セルロースナノファイバーメーカーの現在の動向を把握するとともに、今後の事業計画や研究開発動向を明らかにすることを目的とする。
調査対象:セルロースナノファイバー(CNF)
調査方法:弊社専門調査員による直接及び Web 面談による取材をベースに、文献調査を併用した。
調査期間:2022年1月~2022年3月

調査結果サマリー
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セルロースナノファイバー世界市場に関する調査を実施(2022年)
2022年のCNF世界生産量は80t、出荷金額は72億円の見込
~「お試し」から具体的な用途を想定した「採用検討」へとフェーズが進む~

資料ポイント
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  • 期待を超える”ワクワク感”をもたらす提案を新市場創出の起爆剤に!
  • 2030年の市場での採用獲得と収益確保には性能と価格のバランスが不可欠、新たなプロセス開発や用途に合わせた解繊度合いの最適化など使いやすさの追求も課題に
  • ユーザーの想定を超えた驚きをもたらす提案が新市場創出と需要拡大を後押し、CNF蓄電体など全く新しい使い方の開発も登場

リサーチ内容

調査結果のポイント

第1章:セルロースナノファイバー市場の展望

期待を超える“ワクワク感”をもたらす提案を新市場創出の起爆剤に!
お試し」から具体的用途を想定した「採用検討」へとフェーズが進む
2022年のCNF生産量は横ばい傾向から一転、前年比140%の80tまで拡大の見込み
  (図・表)CNFの世界市場規模予測
2030年の市場での採用獲得と収益確保には性能と価格のバランスが不可欠
新たなプロセス開発や用途に合わせた解繊度合いの最適化など使いやすさの追求も課題に
  (表)CNFと競合材料との価格比較
ユーザーの想定を超えた驚きをもたらす提案が新市場創出と需要拡大を後押し
CNF蓄電体など全く新しい使い方の開発も登場

第2章:セルロースナノファイバー市場の動向

1.セルロースナノファイバー製法別動向
    具体的用途を想定した使用条件や課題の検討・洗い出しが進展
    性能に加えコストダウンに向けた提案力が採用拡大のポイントに
    (図)解繊度別のCNFの概況
  1-1.化学的解繊
    高粘度、チキソ性、分散安定性、乳化安定性などの性能が
    機能性添加剤として高く評価され化粧品を始め工業・産業用途での採用が進む
    (表)セルロースナノファイバー 製法別概況 化学的解繊
  1-2.機械的解繊
    樹脂複合化用途を中心に生産効率化とコストダウンへの取組みが進展
    水衝突法で解繊されたCNFでは機能性展開剤としての実績が拡大
    (表)セルロースナノファイバー 製法別概況 機械的解繊
  1-3.CMF(セルロースマイクロファイバー、セルロースミクロフィブリル)の動向
    CNFではオーバースペックなニーズの受け皿に止まらず
    ユーザーのカーボンニュートラル対応につながる材料としての需要拡大が期待される
    (表)主要メーカー各社のCNF生産能力
2.セルロースナノファイバー主要用途別動向
    コスト、性能、ハンドリングなどの課題を解決する技術開発が進展
    (図・表)CNF生産キャパ推移
  2-1.機能性添加剤
    分散・乳化安定性、チキソ性などCNF独自の性能が評価され化粧品での採用が拡大
    輸送・保管の効率化とハンドリング性向上を実現するパウダータイプの開発も進む
  2-2.樹脂複合化
    世界規模でのカーボンニュートラル対応が求められる中
    植物由来、軽量化、水平リサイクル可能なCNFの需要拡大が期待される
    京都プロセスでは植物由来樹脂と組み合わせたバイオ×バイオのニーズが拡大
    軽量化とCNを武器に自動車部材向けでのポテンシャルにも注目
    (表)自動車4部材におけるCNF需要ポテンシャル
    (図)自動車4部材におけるCNF複合樹脂使用による軽量化効果
    CFRPマトリクスのエポキシ樹脂や、PCなど透明樹脂との複合化など
    付加価値の高い樹脂複合化用途での採用に向けた開発も進展
    価格競争力を武器に攻勢かける未処理のセルロースと樹脂との複合化品に対抗し
    CNF複合樹脂の新たな生産プロセス開発が活発化
    自動車部材としての採用を目指した耐衝撃性向上に向けた研究開発も進む
  2-3.その他
    CNFをシート化したペーパーエレクトロニクスや全固体蓄電体など
    次世代の活用に向けた研究開発も注目される
3.セルロースナノファイバー製品の動向
    電気・電子、塗料・接着剤、住設建材など、工業・産業分野での採用が拡大
  3-1.電気・電子
  3-2.自動車
  3-3.工業・産業
  3-4.建築・土木
  3-5.スポーツ関連
  3-6.化粧品・トイレタリー
  3-7.食品
  3-8.日用品、雑貨、その他

第3章:セルロースナノファイバーメーカーの動向と戦略

日本製紙株式会社
  ユーザーや研究機関など社外機関との連携を強化
  CNFの採用拡大と新たな用途・市場の開拓を積極推進
  2021年に京都プロセスの実証生産設備を拡張、サンプル供給量拡大で用途開発に弾み
  TEMPO酸化CNFはボリュームゾーンでの展開を狙い、自動車タイヤ向けなどの開発を推進
  東北大学との共同研究でTEMPO酸化CNFの超微細径が形成する凹凸面の蓄電性能を発見
  薄肉・軽量で安全性の高い世界初のCNF蓄電体開発を目指し研究開発に取り組む
  食品、化粧品での採用が拡大するCM化CNFは地域活性化に貢献
  ミクロンサイズのMFC、金属イオン担持変性セルロースなど
  解繊度をナノに限定せず幅広い用途開発に取り組む
  京都プロセスの「セレンピアプラス®」はPA6、PPに加え多様なベース樹脂でMBを開発
  植物由来樹脂を使用したオールバイオ化や再生樹脂ベースの石油由来原料削減も模索
 
王子ホールディングス株式会社
  シングルナノサイズからミクロンサイズまでのラインナップから、
  ニーズ・用途に最適化した製品を提案、幅広い要望に対応し実績を積み上げる
  富岡工場のパイロット設備稼働率は着実に拡大、技術的には量産化も可能に
  シングルナノサイズからミクロンサイズまでの製品ラインナップで幅広い要望に対応
  CNFスラリー「アウロ・ヴィスコ」、透明性と高性能が評価され化粧品、
  塗料向けで需要拡大
  CNF連続シートは卓球ラケット素材として継続的な採用を獲得
  透明性や高粘度が求められない用途には繊維径数百nm~数nmの粗大化CNFを提案
  CNFで蓄積したノウハウと王子グループのコア技術を組み合わせた
  セルロースマットを開発
  CNF複合樹脂の課題であった耐衝撃性の改良とユーザーの使いやすさを実現
  ニーズや用途に最適化した製品提案で幅広い需要に対応
 
大王製紙株式会社
  量産化に適したプロセスを開発、CNFの早期実用化に取り組む
  CNF生産拠点の三島工場ではスラリー150t/年、パウダー63t/年の生産能力を保有
  前処理パルプを2段階に分けて解繊するプロセスを採用
  少ないエネルギーコストで用途に最適化したCNFの生産を実現
  軽量で水平リサイクルが可能なCNF複合樹脂の需要拡大に期待
  抄紙技術・設備を応用したコスト競争力のあるMB生産プロセスの開発を推進
  CNF成形体、CNF複合樹脂が車両部材向けの採用実績を確保
 
中越パルプ工業株式会社
  エレクトロニクス、化粧品、シューズなど幅広い用途で
  「nanoforest」シリーズの採用が拡大
  「nanoforest-S」は機能性添加剤、鶏舎用環境改善資材など
  幅広い用途での採用始まる
  解繊度を高めた高解繊グレードのサンプルワークも進展
  樹脂・ゴムの複合化に最適化したパウダーグレードに加えPPと複合化した
  MBの販売を開始
  耐衝撃性を改善したグレードもラインナップし用途開発の幅を広げる
  化粧品、塗料、インキなどに適した疎水化グレード、CNF100%成形体など
  CNFの新しい用途展開につながる製品開発にも力を入れる
 
第一工業製薬株式会社
  化粧品、セラミックなどの用途で採用が進展
  高機能添加剤として独自の特性を活かした高付加価値分野で展開
  ユーザーによる「レオクリスタ」のサンプルワークは「お試し」から
  「採用に向けた検討」へとフェーズが進む
  化粧品、セラミックスでの採用実績に加え、LiBバインダー、CFRPなど
  工業関連用途での採用に向けた検討・開発を推進
 
株式会社スギノマシン
  スラリー、パウダー、CMFなどニーズに合わせた形態の「BiNFi-s」
  トライアルからサンプルワークへと用途開発の段階を進める
  2021年5月には本社工場から早月事業所内の新工場に生産を移管し能力を50%アップ
  サンプルワークの継続進行で安定的な設備稼働率を確保
  親水性のCNFをパウダー化した「BFDP」で樹脂やゴムへの分散を実現
  合わせガラス中間膜、発泡樹脂、CFRPなど、既存のフィラーが使えない用途を狙う
  「BiNFi-s」のネットワーク特性を活かした「BiNFi-s/Agナノ粒子複合体」、シルクを
  解繊した「BFシルク」など他社にないユニークな製品の開発・提案も積極的に推進
 
モリマシナリー株式会社
  木材チップ由来のリグノセルロースナノファイバーでの樹脂強化用途に注力
  パウダー、MBに加え成形品での展開を開始
  木材チップ由来のLCNF、パルプ由来のCNFを使用目的に応じて提案
  スラリーに加え、パウダー、アルコール分散体をラインナップし様々な使い方に対応
  樹脂強化用途では弾性率アップに加え耐候性をメリットとして訴求
  LCNF複合樹脂を使用した「NANOCELL」ブランドの日用品の発売を開始
  非水系材料に添加可能なアルコール置換CNFは塗料の沈降防止剤としての採用開始へ
 
横河バイオフロンティア株式会社
  YOKOGAWAグループ全体で脱炭素と循環型社会の構築を推進
  バイオマスマテリアルをコア事業とする横河バイオフロンティアを設立
  硫酸エステル基の強い静電反発力を強みとしたシングルナノサイズのS-CNF™を展開
  優れた再分散性でパウダー状での供給を実現
 
星光PMC株式会社
  高強度、軽量化、バイオマス等のメリットを訴求し
  CNF複合樹脂「STARCEL®」の用途開発を推進
  スポーツシューズでの採用に加え、自動車、家電、建材など
  幅広い分野でのサンプルワークで
  竜ケ崎工場の生産量はまとまった規模を維持、生産性アップに向けた取組みも推進
  強度・耐久性に加え発泡による軽量化や水平リサイクルなど環境面でのメリットも訴求
  PLAベースのオールバイオ品の開発にも取り組む
 
株式会社ネイチャーギフト
  PP、PA6の他、バイオマス樹脂やマテリアルリサイクル樹脂をベースとした
  CNF複合樹脂の開発でカーボンニュートラルに貢献
  CNF複合樹脂のサンプル供給実績は着実に拡大、
  近い将来の量産化に向けた準備を進める
  PA6、PP、バイオPEの3樹脂5グレードを標準品としてラインナップ
  樹脂×フィラーのバイオ×バイオ化や再生樹脂ベース品など
  CN対応グレードの開発も推進
 
ユニチカ株式会社
  独自の重合技術を活用したCNFナノコンポジットナイロン6樹脂を開発
  高物性とリサイクル適性の両立を狙う
  重合段階で未変性CNFを高濃度でナイロン6樹脂に均一分散する技術を開発
  高剛性・低線膨張係数・軽量化とマテリアルリサイクルでも
  物性低下の無いメリットを訴求
 
パナソニックプロダクションエンジニアリング株式会社
  独自の全乾式プロセスと高濃度での樹脂複合化で
  CO2排出と石油系樹脂使用量の大幅削減を実現
  樹脂を大量に使用する家電メーカーとして環境負荷低減に積極的に取り組む
  パルプの解繊・変性から樹脂への均一分散まで一工程で
  乾燥不要な全乾式プロセスに強み
  マテリアルリサイクルも容易でサプライチェーン全体での温室効果ガス削減に貢献
  PPにCeFを55%配合した高濃度の成形材料の用途開発が進展
  成形品だけでなくペレットでの供給開始で更なる需要拡大に期待
 
国立大学法人京都大学(生存圏研究所 矢野浩之 教授)
  生産性を大幅に向上した第四世代京都プロセスを開発
  CNF構造材料の普及・拡大に期待
  CNF複合樹脂の生産効率化を目指し京都プロセスの改良を推進
  第四世代は予備混合とリアクティブプロセッシングの2ステップのみで
  生産性を大幅に改善
  自動車構造体での採用を目指し圧延加工による耐衝撃性向上を開発
 
国立大学法人信州大学(先鋭材料研究所 野口徹 特任教授)
  シングルナノサイズのCNFの凝集無く均一分散し
  付加価値の高いナノコンポジットを実現
  マトリックス樹脂の弾性復元力を利用しナノファイバーと複合化する
  弾性混練法を開発
  CNFスラリーと高分子を効率良く複合化
  耐衝撃性向上などCNF複合樹脂の採用拡大につなげる
  菌を浸透しないフィルム農法用シートやリサイクル樹脂の高付加価値化など
  樹脂中に形成されるセルレーションを活用したCNFの新たな可能性に期待
 
国立大学法人大阪大学(産業科学研究所 能木雅也 教授、日本学術振興会特別研究員 春日貴章)
  ペーパーエレクトロニクス、土に還るIoTデバイス、
  立体成形体などCNFの新たな可能性に向けた研究を推進
  CNFの吸水性を「欠点」から「必要な機能」へ転換、回路の短絡防止コートを開発
  分散液の2段階乾燥によりCNFペーパー製造時間の35%短縮を実現
  電圧印可したCNFの電気泳動による堆積現象を応用し、CNFフィルムの立体成形に成功
  立体化や抗ウイルス効果の保持など、新たな可能性に期待
 
国立大学法人東北大学(未来科学技術共同研究センター 福原幹夫 リサーチフェロー)
  ナノサイズの凹凸面に電気が吸着し蓄電する現象を発見
  CNFを利用した完全固体物理蓄電体を開発
  太陽光発電パネルとCNF蓄電体を組み合わせた
  自然エネルギー×植物由来蓄電体の実現も構想
  送電線が引けない地域での活用やエネルギーの地産地消の可能性に期待

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