2023年版 ポリエチレン市場の徹底分析
国内ポリエチレンメーカーの現在の動向と今後の事業施策を徹底調査するとともに、用途別需要動向や生産設備動向等を明らかにする。
また、近年では企業や消費者の中でも環境意識が着実に高まっており、国内ポリエチレンメーカーにおいてもバイオマス原料やリサイクル原料を使用した環境対応製品のラインナップやリサイクル等への取り組みが重要視されるようになっていることから、環境関連の取り組みにも注目した。
調査資料詳細データ
調査概要
調査結果サマリー
資料ポイント
調査目的:国内ポリエチレンメーカーの現在の動向と今後の事業施策を徹底調査するとともに、用途別需要動向や生産設備動向等を明らかにする。
調査対象:HDPE、LDPE、EVA、エチレン系コポリマー、L-LDPE、V-LDPE、プラストマー
調査方法:弊社専門調査員による直接面接取材をベースに、文献調査を併用した。
調査・分析期間:2023年4月~2023年6月
ポリエチレン市場に関する調査を実施(2023年)
2023年のポリエチレン出荷量は前年比102.7%の233万3,000tの見込み
~バイオPEやリサイクル原料由来PEなど、リサイクルに貢献する材料の展開が活発化~
前回版との違い
- 化学産業におけるカーボンニュートラル動向を追加
- 石油化学メーカーの脱炭素戦略に関する内容を追加
- PEメーカーにおける環境対応に関する内容を拡充
リサーチ内容
調査結果のポイント
第1章 ポリエチレン市場の展望
求められる役割は化学産業バリューチェーンの「架け橋」
(図)PE国内生産量及び輸入量推移
2050年のCN達成においてはCO2多排出産業である化学産業の貢献が不可欠
PEメーカーはサプライチェーンのつなぎ役としてScope 3削減への貢献が求められる
【上流部門の脱炭素戦略】
多排出産業と位置付けられる化学業界ならではのカーボンサイクルがカギ
(図)化学産業のサプライチェーン
(表)各製手法における基礎化学品の製造
(図)化学産業におけるCO2排出量
(図)国内コンビナート図および基礎化学品・誘導品
市況変化に対応すべく、柔軟性のある、多岐にわたる脱炭素メニューを展開
全ライフサイクルCNに向けたソリューションとしてバイオマスを重要視
(表)石油化学産業(石油精製メーカー・化学メーカー)での脱炭素および低炭素技術事例
【PEメーカーの環境対応状況】
バイオマス・リサイクル原料由来PEやリサイクルに貢献する材料の展開が活発化
(表)PEメーカーにおける環境対応製品・ブランド
CNが新たな「競争領域」へ
市場形成には消費財メーカーや小売店との連携等、従来の枠組みを超えた取り組みも有効
第2章 種類別ポリエチレン市場の動向
1.HDPE市場
2022年の国内HDPE市場は前年比94.2%、ユーザーでの需要動向悪化が長期化
一方、人流回復やインバウンド増加を背景に2023年の需要回復が見込まれる
(図・表)HDPE需要分野別市場規模推移
国内HDPE生産能力は106.2万t/年
旭化成1系列が停止した2018年以降、国内HDPE生産体制に大きな変化はなし
(表)HDPEメーカーのプラント体制
旭化成は収益改善を目的にパイプ、中空成形分野の絞り込みによるポートフォリオの転換を推進
JPEは高衝撃高耐久であり、かつブロー成形性に優れる新規グレードを上市
(表)HDPEメーカー別シェア推移(総出荷量)
(表)HDPEメーカー別シェア推移(国内販売量)
フィルム用HDPE市場は2022年に底打ちが期待されるものの
レジ袋の需要回復が見込めないことから一部では中空成形分野などへのシフトが進む
(表)HDPEメーカー別シェア推移(フィルム)
(表)HDPEフィルムの年別出荷状況
環境意識の高いトイレタリー関連ではバイオPEやリサイクル適性の高い製品開発が活発化
(表)HDPEメーカー別シェア推移(中空成形)
2022年8月よりプライムポリマーと日本山村硝子がキャップの水平リサイクルに着手
(表)HDPEメーカー別シェア推移(射出成形)
急激な建設コストや労務費の値上がりを背景とした工事件数減少に伴いパイプ向けは縮小傾向
JPEではISO規格「PE100-RC」に準拠したグレードをラインナップ
(表)HDPEメーカー別シェア推移(パイプ)
繊維分野では衛生材料用不織布向けの展開が中心
(表)HDPEメーカー別シェア推移(繊維)
(図)HDPEメーカー別シェア推移(総出荷量)
(図)HDPEメーカー別シェア推移(国内販売量)
(図)HDPEメーカー別シェア推移(フィルム)
(図)HDPEメーカー別シェア推移(中空成形)
(図)HDPEメーカー別シェア推移(射出成形)
(図)HDPEメーカー別シェア推移(パイプ)
(図)HDPEメーカー別シェア推移(繊維)
(表)メーカー各社のHDPE用途別販売動向(2021年)
(表)メーカー各社のHDPE用途別販売動向(2022年)
(表)メーカー各社のHDPE用途別販売動向(2023年見込み)
(表)メーカー各社のHDPE用途別販売動向(2024年予測)
(表)高密度ポリエチレン輸出推移(2019年~2022年)※前年比
(表)高密度ポリエチレン輸出推移(2019年~2022年)※構成比
(表)高密度ポリエチレン輸入推移(2019年~2022年)※前年比
(表)高密度ポリエチレン輸入推移(2019年~2022年)※構成比
2.LDPE市場
2022年の国内LDPE市場は前年比94.1%の57.4万t、2024年頃の需要回復が見込まれる
(図・表)LDPE需要分野別市場規模推移
(表)LDPEメーカーのプラント体制
LDPE市場は2022年に底打ち、2020年並みの水準まで回復が見込まれる
(表)LDPEメーカー別シェア推移(総出荷量)
(表)LDPEメーカー別シェア推移(国内販売量)
2022年はディスプレイ関連の需要減に伴う保護フィルム向けの落ち込みから
多くのLDPEメーカーでは前年を下回る販売量
(表)LDPEメーカー別シェア推移(フィルム)
2020年の新型コロナ以降も±3%以内の増減、他分野に比べ安定的な推移
(表)LDPEメーカー別シェア推移(加工紙)
2022年の電線需要は工事延期やサプライチェーンの乱れから減少
ENEOS NUCでは再生可能エネルギーの普及に伴い急拡大するHVDC用架橋PEの拡販に注力
(表)LDPEメーカー別シェア推移(電線被覆)
(図)LDPEメーカー別シェア推移(総出荷量)
(図)LDPEメーカー別シェア推移(国内販売量)
(図)LDPEメーカー別シェア推移(フィルム)
(図)LDPEメーカー別シェア推移(加工紙)
(図)LDPEメーカー別シェア推移(電線被覆)
(表)メーカー各社のLDPE用途別販売動向(2021年)
(表)メーカー各社のLDPE用途別販売動向(2022年)
(表)メーカー各社のLDPE用途別販売動向(2023年見込み)
(表)メーカー各社のLDPE用途別販売動向(2024年予測)
(表)低密度ポリエチレン輸出推移(2019年~2022年)※前年比
(表)低密度ポリエチレン輸出推移(2019年~2022年)※構成比
(表)低密度ポリエチレン輸入推移(2019年~2022年)※前年比
(表)低密度ポリエチレン輸入推移(2019年~2022年)※構成比
3.EVA、エチレン系コポリマー市場
HDPEやLDPEと比べ市場規模は小さいものの、きめ細かなグレード展開による差別化が進む
(図・表)EVA需要分野別市場規模推移
(表)EVA、エチレン系コポリマープラント体制
2021年5月をもってEVAの生産を終了したJPEの販売分は旭化成などが取り込む
(表)EVAメーカー別シェア推移(総出荷量)
(表)EVAメーカー別シェア推移(国内販売量)
産業資材や食品包装などのシーラントフィルム向けに展開、低温ヒートシール性で根強い需
(表)EVAメーカー別シェア推移(フィルム・シート)
エチレン系コポリマーは特定用途向けに安定推移が続く
(図)EVAメーカー別シェア推移(総出荷量)
(図)EVAメーカー別シェア推移(国内販売量)
(図)EVAメーカー別シェア推移(フィルム・シート)
(表)メーカー各社のEVA用途別販売動向(2021年)
(表)メーカー各社のEVA用途別販売動向(2022年)
(表)メーカー各社のEVA用途別販売動向(2023年見込み)
(表)メーカー各社のEVA用途別販売動向(2024年予測)
(表)EVA輸出推移(2019年~2022年)※前年比
(表)EVA輸出推移(2019年~2022年)※構成比
(表)EVA輸入推移(2019年~2022年)※前年比
(表)EVA輸入推移(2019年~2022年)※構成比
4.L-LDPE市場
2022年の国内L-LDPE市場は前年比95.9%、2023年以降は需要停滞から回復見込み
(図・表)L-LDPE需要分野別市場規模推移
国内L-LDPE生産能力は96.7万t、2015年以降大きな変更はなし
(表)L-LDPEメーカーのプラント体制
L-LDPE市場はプライムポリマー、JPE、住友化学で8割程度のシェア
ダウ・ケミカル日本ではHAO-L-LDPEを中心に展開
(表)L-LDPEメーカー別シェア推移(総出荷量)
(表)L-LDPEメーカー別シェア推移(国内販売量)
(表)HAO-L-LDPE 主な製品一覧
成形加工性と衝撃強度の両立に向けて
JPEは「シンフォテック™」、プライムポリマーは「エボリュー®E」をラインナップ
L-LDPEメーカーではトイレタリー関連などを中心とした環境対応需要に向けて、
薄肉化、モノマテリアル化、繰り返しリサイクル性などの観点から開発に取り組む
(表)L-LDPEメーカー別シェア推移(貼合フィルム)
環境対応に貢献する製品としてリサイクルのしやすさが新たな開発テーマ
(表)L-LDPEメーカー別シェア推移(一般フィルム)
安定した食品容器包装需要に加え、環境対応を背景とした紙容器ニーズの増加により
加工紙向けL-LDPE市場は新型コロナ禍においても微増で推移
(表)L-LDPEメーカー別シェア(加工紙)
(図)L-LDPEメーカー別シェア推移(総出荷量)
(図)L-LDPEメーカー別シェア推移(国内販売量)
(図)L-LDPEメーカー別シェア推移(貼合フィルム)
(図)L-LDPEメーカー別シェア推移(一般フィルム)
(図)L-LDPEメーカー別シェア推移(加工紙)
(表)メーカー各社のL-LDPE用途別販売動向(2021年)
(表)メーカー各社のL-LDPE用途別販売動向(2022年)
(表)メーカー各社のL-LDPE用途別販売動向(2023年見込み)
(表)メーカー各社のL-LDPE用途別販売動向(2024年予測)
5.V-LDPE、プラストマー市場
JPEでは「カーネル™」のフル稼働に伴い、数千t規模で生産設備の増強を検討
(表)メーカー各社のV-LDPE、プラストマーの主なラインナップ
第3章 ポリエチレンメーカーの動向と戦略
日本ポリエチレン株式会社
圧倒的な国内生産能力と触媒技術のノウハウを活かした製品開発力のほか、
親会社と一体となった環境対応でユーザーニーズに応える
HDPEではPFTのほか、IBC、工薬缶等のクリーングレード、PETボトルキャップなどに注力
「ハイフォテック™」では高剛性や加工特性に優れるグレード開発を推進
2022年末をもってEVAの在庫販売を終了
エチレン系特殊コポリマーは各需要に対して安定供給を継続
L-LDPEではレンジアップ対応に向けた開発を推進
「シンフォテック™」の用途展開を推進し、さらなるシェア拡大を目指す
株式会社プライムポリマー
環境対応の推進による新たな価値の創造を目指す
2030年までに22万t/年のリニューアブルPO製品の製造を目指す
CN・CE社会の実現に貢献する新ブランド「Re’PRM®」「Prasus®」を立ち上げ
フィルム分野においてはBOPEフィルム向けの拡販によりユーザーのMRに貢献
建設コストや労務費の値上がりを背景とした工事件数の減少により、パイプ向けは低調
食品パッケージ向けでは輸入品の流入により国内品の販売は低調に推移
プライムポリマーでは2023年後半以降の需要回復を見込む
「エボリュー®E」は押出ラミ向けのマーケティングを強化し、2023年度中の市場投入を目指す
住友化学株式会社
日本とシンガポールの一体運営により
CN技術の社会実装と既存重点事業のさらなる強化を図る
高剛性PE「スミクル®」を基材に使用することで単一素材化を実現し、水平リサイクルに貢献
2022年7月には資生堂、積水化学と化粧品容器の循環モデル構築に向けた取り組みを開始
特長ある3拠点体制から千葉を研究開発の起点とした日本、シンガポールの一体運営にシフト
サウジアラビア・ラービグは投下資本の回収フェーズに移行
L-LDPEでは食品包材やシーラントフィルムなどの貼合フィルム向けに拡販
LDPEでは医療用途に注力するほか、食品包材向けの押出ラミネート用途のシェアを維持
EPPEは原料面等の点から販売量に伸び悩みも、
低温加工性が重視される用途を中心に国内外のユーザーを確保
EVA販売量は低位で推移
株式会社ENEOS NUC
技術優位性のある製品展開により世界の架橋絶縁用PEの需要成長に応える
2023年12月の商用生産開始を目指し、約3万t/年のコンパウンド設備を増強
老朽化プラントの非破壊検査や予備部品の拡充により約20%の収益改善を実現
中国・アジアにおけるHVDC用架橋PEのシェア確立を目指すとともに、欧州向けにも注力
2023年度の投入を目指し「HFDJ-4201S SR」を高性能化したHVAC向け製品の開発に着手
通信ケーブル用材料では光ファイバの高密度化に対応する製品開発を推進
ノンハロゲン難燃グレード「ナックセーフ™」「ナックセーフエコ™」は官公庁向け需要を確保
LDPEでは中国向けを中心とした電線被覆向けの輸出が増加傾向
L-LDPEの電線被覆向けは強度や低温特性から低圧電線や通信用ジャケット材などで採用
東ソー株式会社
付加価値用途でのグレード拡充でさらなる「差別化」「高付加価値化」を推進
南陽拠点における「メルセン®M」の生産能力増強を検討
中空成形向けでは高度なクリーン性が求められる高純度薬品容器向けなどの拡販に注力
BFSを中心としたメディカル向けに特殊グレードを展開
低臭・低異味性が評価される食品分野において安定的な販売量を継続
シーラントフィルムやラミネート向けでは低温ヒートシール需要を取り込む
中国、アジア、ヨーロッパなどの海外市場を中心に「メルセン®M」の需要が拡大
花王の詰め替えパックのリサイクル助剤として「メルセン®S」の採用が決定
医療用輸液バッグ向けに121℃の滅菌対応グレードを展開
さらに薄肉化などの環境対応に貢献する製品として126℃の滅菌対応グレードの開発も進める
旭化成株式会社
市場ニーズに応じた最適なプロダクトミックスの構築により収益性向上を図る
PEのマテリアルリサイクル技術開発に向けた産学連携を実施
光学用プロテクトフィルムや架橋パイプを中心に「クレオレックス™」を拡販
HDPE事業では収益性の改善を目的にパイプ、中空分野を中心にグレードの廃盤を進める
スイングプラントを活かしてLDPEよりも差別化が図りやすいEVAの拡販を推進
京葉ポリエチレン株式会社
きめ細かな技術サービスの提供により顧客満足度向上を目指す
2022年12月より海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた企業連合「CLOMA」に加盟
業界やユーザーとの協業も視野にカーボンニュートラルを推進
ブロー分野では2022年12月に超大型容器向けグレード「B5100」を開発
高いシェアを持つモノフィラメント向けでは海外勢にはない高強力糸グレードの拡販に注力
三井・ダウ ポリケミカル株式会社
独自性ある製品の開発によりユーザーへの貢献を目指す
EVAの高VA品、「ハイミラン®」「ニュクレル™」「エンティラ™」「CMPS®」の拡販に注力
「エルバロイ™」「エルバロイ™AC」では根強い需要に対応
特殊品比率の高いEVAでは安定した需要推移を形成
海外市場を中心にさらなる特殊品比率の向上を目指す
ダウ・ケミカル日本株式会社
2030年までにMR、CR、バイオマス原料由来のPE生産能力を
グローバル300万t/年規模への拡大を目指す
CCS技術の活用により世界初となるネットゼロクラッカーの立ち上げを発表
ドイツでは2025年の稼働を目指し、欧州最大規模となる12万t/年のCR設備を建設
グローバルで1,000万t/年強のPE生産体制を構築し、ユーザーのグローバル展開をサポート
2021年4月に不織布向け繊維グレード樹脂「ASPUN™」の新しいラインナップとして、
新規グレード「ASPUN™ AT 2135」の販売を開始
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矢野経済研究所では、
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マーケティングや経営課題の抽出、リサーチの企画設計・実施、調査結果に基づく具体的な戦略立案・実行支援に至るまで、課題解決に向けた全ての段階において、クライアント企業をトータルでサポート致します。
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