2023年版 高機能フィルム市場の展望と戦略

2022年の主要フィルムの需要は軒並み前年比20%前後のマイナス成長となった。ユーザーの生産調整は2023年初頭には一段落し、高機能フィルムの需要も戻ってきてはいるものの、回復速度はそれまでの需要縮小の勢いに比べて弱く、ピーク時の2021年のレベルに戻るには2~3年かかるものと予測される。加えて、最近の高機能フィルム市場にはTVやスマートフォンに次ぐ新たなキラーアプリケーションが見られない。これまで原反メーカーと協業し新たなフィルム開発を担ってきた日本のコンバーターも長引く円安によるコストの上昇などで体力消耗気味であり、フィルムメーカーと共に少量から始める新製品開発に手が出にくくなっているようにも見える。
日本のフィルムメーカーが生き残っていく道として、日本が先行するFilm to Filmリサイクルなど「環境」にフォーカスした技術開発と提案を進め資源循環やCNを新たな競争の枠組みとしていくことが考えられる。MLCCリリースフィルムなど高平滑・無異物・無欠陥が求められる製品をリサイクルするにはバージン材を使用する場合以上の製膜技術、品質管理技術が要求されるが、これが新たなビジネスチャンスとなり得る。さらに、今後はリサイクル品のコストダウンに向けた研究開発も必要となってくるが、ユーザーの求めるままの価格対応ではなくFilm to Filmリサイクルのスキームと技術、それを背景にしたフィルムの品質で「リサイクル品の相場(=新たな価値)を作りだす」意気込みでの展開が求められている。

発刊日
2023/07/31
体裁
A4 / 235頁
資料コード
C65104700
PDFサイズ
14.5MB
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調査資料詳細データ

調査概要
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調査目的:国内外の高機能フィルムメーカーの現在の動向と今後の事業施策を徹底調査し、さらに周辺調査を行うことで、ワールドワイドの高機能フィルム市場における現状と今後の動向の把握を目的とする。
調査対象
PETフィルム
PIフィルム(着色フィルム、透明フィルム)
MLCCリリースフィルム
リサイクルフィルム(Film to Film、Bottle to Film)
調査方法:弊社専門調査員による直接面接取材をベースに、文献調査を併用。
調査期間:2023年4月~2023年7月

調査結果サマリー
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高機能フィルム市場に関する調査を実施(2023年)
コロナ禍の巣ごもり特需から一転、セットメーカーの余剰在庫調整や生産調整で2022年の高機能フィルム出荷数量は前年比70~80%の水準に縮小、2021年の需要レベルに戻るのは2024年から2025年頃になる見通し

資料ポイント
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  • 新たなキラーアプリケーション不在の市場で脚光浴びるFilm to Filmリサイクル、製膜・加工・品質管理とスキーム構築で日本の存在感を示せ!
  • コロナバブル崩壊で22年の主要フィルム需要は軒並み2桁マイナスに、23年初頭には頭打ちもピーク時の規模までの回復は25年前後の見込み
  • PETフィルムはボリュームと新奇性を両立する新製品開発が課題、光学副資材やDFRライナーなどボリュームゾーンでは中国勢との競合も
  • PIフィルム 5G関連での拡大が期待された低誘電MPIの需要振るわず、EVの拡大に伴いバッテリー、センサー向けでの採用は拡大
  • MLCCリリースフィルムは生産調整の一段落で23年下期の需要回復に期待、使用済フィルムの回収・リサイクルがスタート
  • 年間排出量約14億㎡のラベル台紙は基材のPETフィルム化でリサイクルを実現、22年にはサプライチェーン横断による資源循環プロジェクトが始動

リサーチ内容

調査結果のポイント

第1章 高機能フィルム市場の展望

新たなキラーアプリケーション不在の市場で脚光を浴びるFilm to Film
製膜・加工・品質管理技術とスキーム構築で日本の存在感を示せ!
コロナ特需から一転、2022年は「バブル崩壊」で主要フィルムは軒並み2桁マイナスを記録
2023年初頭には底打ちもV字回復ならず、ピーク時の規模に戻るのは2025年前後の見込み
(図)2021年実績を100とした場合の各フィルムの市場規模増減状況
Foldable端末、5G関連での拡大が期待された透明PI、MPIの需要は足踏み状態
ビヨンド5G~6Gの立ち上がりまでバッテリー・センサーへの注力の動きも
PETフィルムメーカーはボリュームと新奇性を両立する新製品開発に苦戦
偏光板の主戦場である中国でローカル勢の足音が迫る
Film to Filmリサイクルを日本の新たな競争力へ
中国ローカルのバージン品以上の高品質・高付加価値なフィルムの開発・投入を!
リサイクルが価値として通用する今こそコストダウンと収益確保の両立に向けた技術開発を
日本発のスキームと技術、品質でリサイクル品の相場を作り出せ!

第2章 PETフィルム市場の徹底分析

2年連続した特需から一転、2022年の市場は50万tを切るレベルまで縮小
2023年は韓国でV字回復の期待も日本では緩やかな回復速度となる見通し
(図・表)工業用PETフィルム 市場規模推移(主要8社合計)
(表)主要メーカーによる工業用PETフィルム販売量及びシェア推移
韓国ではKOLONが2ラインをスクラップした他、ライン休止による稼働率維持の動きも
一方で日本勢による国内外での能力増強が進められる
(表)PETフィルム主要メーカー 生産体制
(図・表)主要メーカーによる地域別PETフィルム供給能力推移
新たな用途開発にも一定以上のボリューム確保は不可欠、新奇性よりも
コスト・性能のバランスやリサイクル性の良さをアピールし他素材代替を狙う手もあり
光学用ではOLED、QD、偏光板部材など高精細ディスプレイへの注力シフト進む
(表)工業用PETフィルム 主要用途別需要量推移(主要8社合計)
(図)光学部材用PETフィルムの需要動向
(図・表)主要メーカーによる光学部材用PETフィルム市場規模推移
偏光板の主力市場である中国で副資材のローカライズの動きも
(図・表)主要メーカーによる光学副資材用PETフィルム市場規模推移
MLCCリリースフィルムは2024年には2021年並の水準に回復見込み
DFRはボリュームゾーンで中国勢との競合が激化
(図・表)主要メーカーによるMLCC離型用PETフィルム市場規模推移
(図・表)主要メーカーによる粘着・離型用PETフィルム市場規模推移
(MLCCリリース含む)
(図・表)主要メーカーによるDFR用PETフィルム市場規模推移
(図・表)主要メーカーによる電気・電子用PETフィルム市場規模推移
東洋紡と南亜が2024年稼働予定でシリコーンコート設備の増強を実施
(表)主要PETフィルムメーカーの加工体制
 
東レ株式会社
  ARフィルム、円偏光板など最先端のディスプレイ部材向けに強み
  水系塗料・無溶剤塗料の塗工・密着性向上など環境負荷低減に向けた開発も推進
  2022年は市場混乱の影響で国内外の設備稼働率低下も2024年~2025年には回復の見込み
  仏・TFEでPETのCRプロジェクトを推進、日本での実証生産に取り組む
  2022年の工業用PETフィルムは最終製品及び部材の生産・在庫調整の影響を受け大幅減少
  市況悪化の中でも高透明・高平滑・低干渉の光学部材向けは安定した需要を確保
  MLCC離型フィルム、DFRなど一般産業用では最先端向けハイエンドグレードに強み
  2022年は需要サイクルの底、2024年以降は再び成長期に入ると予測
  金属フリーの多層積層フィルムPICASUS®は主力のIRカットグレードが自動車窓向けで成長
  光波長・光指向性制御グレードも着実に拡大
  VOCフリー塗料の塗工性・密着性に優れた易接着PETフィルムを開発
  ユーザーの脱炭素化、環境負荷低減に貢献
 
東洋紡株式会社
  PETとPENのラインナップでボリュームゾーンから先端分野までをカバー
  2024年稼働予定で宇都宮工場に2万t/年のインラインコート対応設備を増設
  2024年の宇都宮工場でのインラインコート設備1本増設後は
  国内外のシリコーンコートフィルム生産能力は10,200万㎡/月まで拡大
  2022年の実績はPET市況悪化で大きく縮小も2023年以降は年間5~6%の成長率を維持
  偏光板向け「コスモシャインSRF®」は2022年の下げ幅を最小限に抑える
  MLCCリリースフィルムはボリュームゾーンからハイエンドまで幅広い領域をカバー
  Stay Home特需の反動で2022年の実績は大幅減少も2023年以降は安定的な成長を見込む
  MLCCリリースフィルムのリサイクル体制確立に向けたテスト設備が稼働開始
  つるがフイルム工場で2025年以降の商業運転開始を目指し実証を進める
  PET合成紙はラベルレス化の影響を受け苦戦中、他素材からの代替需要取込みに注力
  オンリーワン製品のPENフィルム「テオネックス®」は市況悪化の中でも安定的な需要を維持
 
三菱ケミカル株式会社
  グローバル拠点での現地生産とサーキュラーエコノミー対応を推進
  長年に亘り蓄積した技術力を武器に高付加価値分野で強み見せる
  インドネシア、ドイツと海外拠点で新規ライン立ち上げ相次ぐ
  アメリカ拠点では大手ラベルメーカーと協業でリリースライナーの水平リサイクルに取り組む
  2022年は物流混乱やユーザーの在庫・生産調整の影響で大幅マイナスの結果に
  主力の光学部材向けはOLEDなど高精細分野へのシフトに伴い50μmなど中厚品中心に
  副資材向けでは光学等方性と無欠陥の追求で他社の追随を許さない強み見せる
  DFR向けは市況悪化と中国ローカル勢の台頭の影響を受け苦戦
  MLCCリリースフィルムはインドネシアの新ライン稼働でハイエンドグレードの供給体制強化
  中国での超広幅偏光板の立ち上がりで無錫の広幅コーターの稼働率がアップ
 
TORAY ADVANCED MATERIALS KOLEA Inc.(東レ尖端素材株式会社)
  市況悪化で2022年に販売量を大きく落とすも2023年にはV字回復を見込む
  ボリュームゾーン向けに最適化した生産体制を活かし副資材向けグレードに強み
  2023年の稼働率は80~90%を維持
  2022年は川下ユーザーの生産・在庫調整により前年比2桁の大幅マイナス
  光学部材用はLCDバックライト用厚番手品からOLED、QD向け中厚品へとシフト
  偏光板リリースフィルムは2022年に半減近くまで販売量を落とすも翌年にはV字回復を見込む
  亀尾第3工場、中国・南通の加工フィルム設備の稼働率は2023年に約80%まで回復見込み
  偏光板リリースフィルムは中国大手ユーザーの採用を獲得し2022年も前年比横ばいをキープ
 
SK microworks(PETフィルム)
  SKCの素材部門を継承、事業及び生産体制は大きく変わらず
  グループ会社のSK microworks solutionsと連携し原反・加工の両輪で展開
  水原、鎮川両工場のは2022年、2023年とも通年で75%程度の稼働率を維持
  2022年は光学用、MLCC用の需要減が響き前年比マイナス25%と大幅縮小
  光学用は2023年以降に部材の減少を偏光板副資材が補う形で回復見込み
  一般工業用の主力であるMLCC離型は表面平滑性が求められるIT向けでの採用を獲得
  SKケミカルズが事業買収したShuYeのcrPETを使用したPCR由来フィルムは
  包装用シュリンクラベルや端末保護フィルムなどで採用される
 
Kolon Industries, Inc.(PETフィルム)
  需要動向に合わせて韓国国内の生産ラインを整理しスリム化
  2023年以降、早期の稼働安定を図る
  亀尾、金泉で各1ラインをスクラップし韓国国内生産能力を従来の78%まで縮小
  2022年に激減したPETフィルム販売量は2024年にフル稼働に近い水準まで回復見込み
  光学部材はハイエンドTVのOLED化の影響受ける
  一般産業用の主力のMLCCリリースフィルムは2024年の需要回復に期待
 
南亜塑膠股份有限公司(NAN YA PLASTICS CORPORATION)
  原反~加工の一貫生産体制で迅速かつ的確な製品開発を実現
  平滑グレードなど高付加価値の高いフィルムを供給
  2022年の消費低迷とユーザーの生産調整がPETフィルム販売量の大きな痛手に
  2023年以降は回復の波に乗り2025年には市場混乱前の水準に戻る見込み
  加工拠点である樹林向上では2024年下期に2ライン増強予定
  MLCCリリースフィルムは台湾ユーザーの求める平滑グレードの実績を増やす
 
新科光電材料股份有限公司(SHINKONG MATERIALS TECHNOLOGY CO.,LTD.)
  2022年は市況悪化でPETフィルム販売量が大幅減少
  需要が完全に回復するのは2025年頃の見込み
  2022年は工業用、包装用ともに前年比2ケタマイナスで全体販売量は5万tを割り込む
  光学部材はグループの友輝光電向けで一定のボリュームを確保
  一般産業用は自動車生産台数不振でウィンドウフィルム向けが伸び悩む
  PETボトル再生樹脂を使用したrPETフィルムは2023年以降の需要拡大に期待

第3章 注目される高機能フィルム市場の動向

1.ポリイミド(PI)フィルム
  1. 絶縁フィルム
    2022年から2024年にかけて、Du Pont、PIAM、UBEが相次いでライン増設を実施
    2024年の主要メーカーによるPIフィルム生産能力は37ライン16,530t/年まで拡大予定
    (表)PIフィルム主要メーカー各社の生産体制
    2022年は重量ベース、面積ベースとも前年比マイナス20%と大幅に下落も
    2023年以降はEVバッテリー向けなどその他分野の急増で回復が期待される
    (表)PIフィルム 主要アプリケーション別市場規模推移(重量ベース)
    (表)PIフィルム 主要アプリケーション別市場規模推移(面積ベース)
    (表)主要PIフィルムメーカー 販売量推移(重量ベース)
    (表)主要PIフィルムメーカー 販売量推移(面積ベース)
    スマートフォンの5G対応進むも、通信インフラ整備の遅れにより
    低誘電MPIの採用は一部にとどまる
    (表)PIメーカー各社の低誘電グレード
    (表)LCPフィルム 主要メーカーの動向
    4Gから5Gへの移行が進展、2023年以降はマイクロセル・フェムトセルの拡大が見込まれる
    (図)世界の5G基地局 カテゴリ別出荷台数実績予測
    5G対応端末は基地局に先行して普及、2023年にはスマホ全体の80%を超える規模に
    ミリ波対応端末は5Gスマホの半分程度と推計される
    (図・表)スマートフォン世界市場(出荷台数)
    (図・表)5Gスマートフォン出荷台数におけるミリ波対応機種の比率
    PIの高耐熱、高耐絶縁破壊電圧が評価されEVバッテリー向けでの採用が増加
    (表)5Gスマートフォンで採用・サンプル供給実績のあるFPC材料
    (表)FPC基板用低誘電材料 特性比較
  2. ディスプレイ基板
    超耐熱・超低吸水PIフィルム「ゼノマックス®」、ユーザーの使い勝手向上を実現する
    ガラス基板との仮固定・剥離ソリューションを提供
    (表)フレキシブルディスプレイ基板用PIワニス・PIフィルムの主要メーカー一覧
  3. Foldable端末カバー
    Foldableスマホは2022年の市況悪化の中でも台数を伸ばす
    (表)Foldable端末市場規模予測
    (図)Foldableスマートフォン市場規模予測
    (表)Foldable・Rollable端末製品一覧
    2022年のSKグループの参入でKOLON1社独占体制崩れる
    2023年にはKOLONとSKグループのシェアがほぼ半々となる見込み
    (図)Foldable端末カバーの構成
    (表)Foldable端末カバー用透明PIフィルム市場規模
    (図)Foldable端末カバー用透明PIフィルム市場規模
    (表)透明PIフィルム 主要メーカー各社の生産体制
    (表)Foldable端末のカバー用PIフィルムメーカーのHC処理状況
    7.5″サイズの透明PIカバー価格は2023年に10$/枚を切る水準まで下落
    (表)Foldable端末カバー用透明PIフィルム 生産工程での歩留り
    (表)Foldable端末カバー向け透明PIフィルム価格動向
 
2.MLCCリリースフィルム
  2020年、2021年と2年連続の好調から一転、2022年の市場規模は前年比2桁マイナスで推移
  2023年に入り回復傾向示すも勢いは弱く、2021年超えの達成は2025年以降の見込み
  (図・表)MLCC用リリースフィルム市場規模推移
  2020年以降、MLCCリリースフィルム生産能力の拡張が継続
  2025年の主要メーカーの合計生産能力は41,650万㎡/月と2021年の1.4倍規模に
  (表)主要リリースフィルムメーカー各社の生産体制
  (図)主要リリースフィルムメーカー各社のMLCCリリースフィルム生産能力推移
  一時10万t以上を記録した原反PETフィルム需要は2022年に7.5万t強まで縮小
  (図・表)MLCC用リリースフィルム原反(PETフィルム) メーカー別販売量推移
  (図・表)MLCC用リリースフィルム原反(PETフィルム)市場規模推移
  MLCCメーカーによる生産調整は2023年上期には一段落、下期以降の需要回復に期待
  日本国内では使用済リリースフィルムの回収・リサイクルがスタート
  (表)主要セラミックコンデンサーメーカーのリリースフィルム使用量推移
  ユーザーの生産調整により2021年~2022年のリリースフィルムメーカーシェアに変化
  (図・表)MLCC用リリースフィルム メーカー別販売量推移
  (表)MLCCリリースフィルム サプライチェーン
  スマホ汎用機種や車載MLCC向けでも高平滑リリースフィルムが求められる傾向に
  (表)MLCC用リリースフィルム価格動向
  (図・表)セラミックコンデンサーメーカーにおけるリリースフィルムメーカーシェア
  (2021年)
  (図・表)セラミックコンデンサーメーカーにおけるリリースフィルムメーカーシェア
  (2022年)
  (図・表)セラミックコンデンサーメーカーにおけるリリースフィルムメーカーシェア
  (2023年)
 
3.リサイクルフィルム(Film to Film、Bottle to Film)
  グローバルで展開するメジャー企業による環境素材採用・資源循環の動きが加速
  消費者の手に渡らない副資材・工程材のFilm to Filmリサイクルもスタート
  (表)企業による環境素材使用目標の例
  村田製作所とTDKによるMLCC生産工程で使用されるリリースフィルムのリサイクル始まる
  回収~再生のスキーム構築もリサイクルコストをどこが負担するかが課題に
  (表)MLCCリリースフィルム リサイクルの流れ
  (図)村田製作所、TDKのリリースフィルム調達の流れ
  MLCCリリースフィルムリサイクルでは東レ、東洋紡の2大PETメーカーが先行
  年間排出量約14億㎡のラベル台紙では紙からPETフィルムへの切り替えでリサイクルを実現
  2022年にはサプライチェーン横断による資源循環プロジェクトが始動
  (図)資源循環プロジェクト 参画のメリット
  資源循環プロジェクトでは東洋紡のPET合成紙カミシャイン®が採用される
  海外市場では三菱ケミカルとAvery Dennisonによるラベル台紙水平リサイクルが始動
  (図)資源循環プロジェクト 使用済ラベル台紙のリサイクルスキーム
  異物管理やメーカーごとの分別可否がFilm to Filmリサイクルのハードルに
  業界全体の協業によるCR活用も有効
  Film to Filmリサイクルに加え、PETボトル由来のPCR原料使用の取組みも拡大
  (表)Bottle to Filmリサイクルの取組み

第4章 工業用高機能フィルムメーカーの展望と戦略

Kolon Industries, Inc.(PIフィルム)
  Foldableカバー向け透明PIフィルム販売量は20万㎡以下にとどまる
  UTGとの競合や新規参入メーカーとの競争により2022年、2023年とマイナス成長も
  2024年以降のFoldableスマホ機種拡大に期待
 
SK microworks(PIフィルム)
  グループ内で原反から加工までの一貫体制を構築
  多様なニーズへの迅速な対応力に強み
  2023年には透明PIフィルム市場でシェア50%を確保、出荷量15万㎡を見込む
 
株式会社カネカ
  スマホに加え、幅広い産業分野でのビヨンド5G~6Gの普及に期待
  PIに限定せず新たな低誘電材料の開発も検討
  2022年は最終製品市況の悪化でマイナス成長も2023年~2024年にかけて回復
  GSの販売量を絞りFPCを拡大するなど収益性を重視した展開を推進
  サブ6~ミリ波の5Gに対応する低誘電グレードは「SR」「IB」共に量産を開始
  ミリ波通信の普及に伴う需要拡大に期待
 
PI Advanced Materials Co.,Ltd.(PI尖端素材)
  バッテリー向け絶縁・封止テープ、電極バインダーなど
  新たな先端用途への注力シフトを進める
  2023年6月、仏・アルケマ社による株式買収を発表、先端分野での展開の強化に期待
  2022年、2023年と2年連続で亀尾工場の新ラインが稼働、公称能力は4,500t/年まで拡大
  販売量は2022年に2桁マイナスも2023年以降にV字回復を見込む
  バッテリー絶縁を始めとする先端産業向けの構成比は2025年に40%近くまで成長
  5G対応の低誘電グレードは当初期待された実績確保に届かず
 
東レ・デュポン株式会社
  PIフィルム「カプトン」で高付加価値領域の需要を押さえる
  2022年はユーザーの生産調整・在庫調整の影響でFPC、COF向けが大幅に縮小
  2023年以降は需要回復も完全な復調には多少の時間を要する見込み
  サブ6対応の低誘電グレード「カプトンLK」の商業生産始まる
  低線膨張グレード、極薄グレードはCOFでの需要拡大に期待
 
ゼノマックスジャパン株式会社
  接着剤不使用の貼合技術、軽い力で剥離可能な技術など
  「ゼノマックス®」活用に向けたソリューション提供で採用拡大を図る
  フレキシブルTFT基板での採用に続き、低誘電、放熱板等の用途で
  サンプルワークと採用に向けた評価が進展
  化学結合で密着力コントロールが可能な貼合技術「PITAT」、軽剥離技術「APLIFT」など
  「ゼノマックス®」ユーザーの使い勝手向上につながる技術を提供
 
COSMO AM&T CO.,LTD.(コスモ新素材株式会社)
  IT関連、車載電装品、一般産業と幅広い用途に向けたグレードを供給
  2023年7月、第3工場に2本目の生産ラインセッティング完了
  稼働開始予定の年末以降、リリースフィルム生産能力は6ライン6,900万㎡/月まで拡大
  SEMCOのMLCC生産調整の影響で2022年のリリースフィルム販売量は大きく縮小
  2023年下期からの需要好転~2024年以降の完全復活に期待
  付加価値の高い表面平滑グレードの販売量拡大に取り組む
 
三井化学東セロ株式会社
  国内MLCCメーカー向けにリリースフィルムを供給
  製品設計、塗工技術の両面から顧客満足度向上に取り組む
  2024年4月に三井化学100%出資のICT事業新会社に移管も
  シリコーンリリースフィルム「SP-PET」の事業展開は大きくは変わらぬ見込み
  MLCCリリースフィルムはユーザーの生産調整により2022年は前年を大きく割り込む結果に
  2023年見込みは前年比微増、2024年以降は年間6~7%の成長率維持を予測
  製品設計とユーザーニーズの最適化、コーティング技術のブラッシュアップを背景とした
  高性能・高品質なリリースフィルムの生産・供給で差別化
 
東レ株式会社(フィルムサステナブル事業推進室)
  2020年に環境配慮型PETフィルム「Ecouse®ルミラー®」の販売開始
  使用原料や配合率を定義し脱炭素・循環型社会構築に貢献
  インハウス、プレコンシューマー、ポストコンシューマーと回収品の出所を明確化し
  それぞれの配合率を定義した規格品を投入
  「Ecouse®ルミラー®」の原料は回収~リサイクルが容易な副資材・離型フィルムが主力
  2022年にはMLCC離型フィルムの回収・リサイクルがスタート
 
東洋紡株式会社(資源循環プロジェクト)
  白色、低比重のPET合成紙「カミシャイン®」の活用で
  使用済ラベル台紙の水平リサイクルを実現
  2022年より使用済ラベル台紙のリサイクルを目指す資源循環プロジェクトに参画
  比重1.0、白色という「カミシャイン®」の特性で回収品を判別、異素材混入防止が可能に
  資源循環プロジェクトでは再生樹脂の製膜及びシリコーンコートを担い
  「カミシャイン®離型フィルム」の拡販によるサーキュラーエコノミー実現を目指す
 
日榮新化株式会社(資源循環プロジェクト)
  ラベル台紙の水平リサイクルにより廃棄物・CO2排出量削減を目指す
  資源循環プロジェクトで中心的な役割を果たす
  ラベル台紙を剥離紙からリサイクル可能なPET合成紙へと切り替えを推進
  回収したリサイクル専用台紙のリペレット量産設備は2023年末に立ち上げ予定
  2025年には再生樹脂生産能力200t/年体制を想定

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