今週の"ひらめき"視点
東芝、3月末時点の債務超過解消を断念、東証2部へ降格か
14日、4-12月期の決算発表を見送った東芝であるが、12月末時点で既に1900億円を超える債務超過であったという。加えて米WH社関連に不正な決算処理があったとの新たな疑惑も浮上した。すべては2006年に市場価値の3倍もの価格でWH社を買収したことに始まるが、結果、統治能力を欠いたまま粉飾を承継し続けた歴代経営陣が東芝を窮地に追い込んだ。
1日、日立製作所は2017年3月期の営業利益見通しを200億円引き上げたが、一方で原子力事業における700億円の減損を明らかにした。これは米GEとの共同出資会社GE日立ニュークリアエナジー社の子会社で進めてきたウラン濃縮技術の開発を断念したため。事業の厳格な見直しは当然である。しかし、持分800億円の1/8への減損はそもそもの事業評価が過大ではなかったか。
3日、三菱重工と日本原燃は仏の国営企業アレバ・グループへの出資を決めた。三菱重工の出資額は約300億円(2億5千万ユーロ)というが、2011年以降営業赤字が続く実質的な破綻企業への巨額投資は果たして経済合理性に適うのか。三菱アレバ連合が期待していたベトナムの事業は白紙撤回され、トルコについても不透明である。「20-30年後に再び原発ルネサンスが来る」(三菱重工関係者、12月9日付け日経新聞より)といった楽観論では心もとない。
いずれにせよビジネスとしての原発の事業環境が大きな岐路にあることは間違いない。三菱重工のプレスリリースでは「2015年に日仏両国政府間で確認された両国政府および原子力産業業界の連携強化への貢献」が謳われているが、原発事業はまさにその通り、あらゆる意味において一民間企業で制御できるリスクの範囲を超えている。
今週の”ひらめき”視点 02.12 – 02.16
代表取締役社長 水越 孝