2011年版 製薬市場の10年展望
果たして製薬業界において、どれだけの企業が大きな変化の渦に飲み込まれず、成長を持続することができるのでしょうか。製薬企業や医薬品卸各社は、業界を取り巻く大きな環境変化に対応すべく、これまでも合併などによる企業規模の拡大、体質改善などを繰り返し行い成長の道を模索してきました。しかし、医療費抑制策の強化、研究開発費の高騰と開発リスクの増大、ジェネリック医薬品の普及・拡大、長期収載品の大幅な引き下げなどが、次々と絶え間なく押し寄せ、さらには医療機関の共同購入や大手調剤薬局チェーンの厳しい薬価差要求により製薬企業や医薬品卸各社は安定した成長を持続することが困難になってきております。このような状況下で今年4月の薬価改定以降、新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下新薬創出加算)が試行的に導入され、医薬品卸各社は薬価差縮小と加算対象品目の薬価維持対策という大きな課題を抱え、納入価交渉を行うこととなりました。製薬企業各社は、長期収載品の大幅な引き下げによって得た新薬創出加算制度によって自社の新薬の薬価を維持するため、医薬品卸に対するグロスマージン率をこれまで以上に圧縮するなどし、防衛する姿勢を示しております。しかし、医薬品卸各社の多くは、これまでの納入価交渉のスタイルを変えることなく、薬価差縮小を行おうとし、一部の大口ユーザーである医療機関や大手調剤薬局チェーンからの反発を招いております。製薬企業は新薬創出加算を恒久的な制度とするために医薬品卸に対して薬価差の縮小を求め、医療機関や調剤薬局は医薬品卸に対して事実上の値上げとならない程度の薬価差を要求しております。医薬品卸としても前回拡大してしまった薬価差については、是正したいとしているものの、製薬企業と医療機関・調剤薬局の間で厳しい状況となっております。本来ならばこのような機会に製薬企業や医薬品卸各社は、経営的なイノベーションを起こし、新たなる経営持続の道を見出す必要があります。一方、2010年5月以降、新型インフルエンザ騒動で治療薬や予防薬が脚光を浴びた前年から一転し、医薬品需要が低迷状態を続けております。今後、インフルエンザや花粉症の流行により、需要が拡大しなければ、これまでになく伸び率が鈍化してしまう状況となっております。以上のような状況下において、今、製薬企業や医薬品卸は、経営面、営業面においてこれまでの経験とは異なる対応ということを求められております。本調査レポートは、業界関係者の皆様が経営あるいは営業戦略において立案・決定を行う一助となるような内容を数多く盛り込んだ実践的資料として企画いたしました。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
■本資料のポイント
- 納入価交渉の形態は、これまでとほとんど変化をしていない。むしろ事実上、後退しているのではないか
- 医薬品卸の調剤薬局の囲い込み、その将来はどうなるのか
- 急拡大をするジェネリック医薬品。どこまでその傾向は継続するのか
- ジェネリック医薬品企業は需要拡大の中で寡占化に向かう
- 製薬企業は、医療環境変化の大きな渦の中で業界再編を余儀なくされる。持続できる事業形態とは
- DPC導入病院の病院病床数と調剤薬局は減少傾向が鮮明になる
- わが国の在宅医療は普及・拡大し、製薬企業も医薬品卸も対応の必要性が増す
■本資料の概要
第1章 製薬産業を取り巻く構造変化
第2章 新たなるビジネスモデルの導入を拒む医薬品卸は衰退する
第3章 環境変化と制度改革下で成長の道を模索する製薬企業
第4章 それでも成長を持続する医療用医薬品
■掲載内容
第1章 製薬産業を取り巻く構造変化
民主党政権は医療制度を大きく転換できるのか
民主党政権でなくとも2010年診療報酬改定率は名目プラス改定
民主党と中医協改革
民主党政権は医療制度改革を推進できるのか
民主党の政策は製薬業界にどのような影響を及ぼすのか
わが国の医療機関は今後、どのような方向に向うのか
一般病院と急性期病院を混同する危険性
DPC対象病院の病院数や病床数は減少する
地域中核病院は、再び総合病院化の方向性を強めることになる
医療機関の物品購入はより効率的な方向性を強める
在宅医療の普及・拡大は施設医療のあり方を変える
変わる診療所、診療所の新分類
業界再編に突入した調剤薬局
新規勢力の台頭で調剤薬局は業界再編に突入
リフィール処方せんは調剤薬局のあり方を大きく変える
在宅調剤基本料新設は調剤薬局経営を刷新する
5万店から3万店の時代に
第2章 新たなるビジネスモデルの導入を拒む医薬品卸は衰退する
何も変わらぬ納入価交渉
薬価差縮小と新薬創出加算の狭間で決断できない医薬品卸
このままでは製薬企業の不満が拡大するだけだ
医薬品卸には自己改革ができないのか
今、医薬品卸はその存在意義を問われている
環境変化に耐えられない医薬品卸の行き先
医薬品卸の調剤薬局事業には明確な戦略計画があるのか
分社化も念頭に置いた戦略の再構築の必要性
SPD事業は諸刃の刃
医薬品卸中抜きという事態は生じるのか
医薬品卸にマーケティング力を期待できるのか
ジェネリック医薬品普及・拡大の状況下で苦悩する医薬品卸
第3章 環境変化と制度改革下で成長の道を模索する製薬企業
新薬創出・適応外薬解消等促進加算の試行は綱渡り
ドル箱長期収載品の存在を捨ててまで獲得した新薬創出加算
新薬喪失メーカーの苦悩
現行の納入価交渉では、すべての新薬創出加算品目を薬価改定対象外にすることは困難
試行から本格導入に移行できるのか
ジェネリック医薬品業界は業界再編へ
調剤報酬での加算によって需要が拡大
新規参入企業増加や企業連携など新たな動きが活発化しはじめたジェネリック医薬品市場
2012年までに数量ベースで30%以上の次の目標は
バイオ後続品は業界の更なる活性化を促すのか
ジェネリック医薬品業界も業界再編へ
成長の道を模索する製薬企業
製薬企業の新分類
経営持続の道を模索する中堅製薬企業
国際化を進める製薬企業各社、標的は新興国
わが国においてもTOBが活発化するのか
医薬営業はこのままでいいのか
第4章 それでも成長を持続する医療用医薬品
市場環境変化は、医薬品ニーズを大きく変える
続く抗がん剤の需要増加傾向
高齢化の進展はジェネリック医薬品の使用を牽引する
くすぶる漢方薬の保険適用外しの動き、しかし
患者ニーズから外れた配合剤開発は逆効果を生み出す
在宅医療の普及は、医薬品使用のあり方にも変更を及ぼす
ワクチン政策転換で企業側も体制整備を強化
生物資源の取り扱い次第では、新薬開発に多大な影響を及ぼすことに
医療用医薬品生産高10兆円突破はいつになるのか
わが国の医療用医薬品生産高予測(2009年~2017年)
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