2016年版 市場を創れ! -新市場を生み出すユニークビジネスー
新市場創造型のビジネスモデルとは。収益を生む構造と事業領域をキーワードで解説する。
調査資料詳細データ
調査目的:矢野経済研究所は、新たな試みとして「市場を創れ!新市場を生み出すユニークビジネス」というテーマで全社横断プロジェクト(PJ)を立ち上げた。これまで当研究所は専門分野別のマーケットレポートを数多く発刊してきたが、本PJは分野の垣根を越えて新市場を生み出した、あるいは生み出そうとしている企業、自治体、大学(研究室)等に注目し取り上げた。また、そうした団体はどのようなビジネスモデルを構築したのか、構築しようとしているのかも分析した。ビジネスモデルという言葉が使われるようになって久しいが、今だ確固たる定義づけはなされておらず、各々のイメージで語られることの方が多いのではないか。本PJはそこにも挑んだ。硬直した社会システムの中で補助金などによりゾンビ企業が生きながらえる一方で、アイデアと行動力で国に頼らないような力強い次世代パーソンが各所から出てきている。彼らは地域創生・再生をも担っている。さらには日本そのもののビジネスモデルの転換を促すであろうポテンシャルが期待できる。であるならば、新市場創造とビジネスモデルとの関係を解きほぐしてみるのも無意味なことではないだろう。
調査方法:直接面談を主とし電話・メール・ウェブ・文献調査を併用。
調査期間:2015年11月~2016年6月
- 「ビジネスモデル」とはある時点の結果、だからさほど大きな意味を持たない。それではなぜ「ビジネスモデル」なのか
- ある目的のための戦略、活動が「小さなビジネスモデル」を生む
- ビジネスモデルを真似るのは後進国型
新ビジネスモデルをつくってこそ先進国型 - デザイン、デザイナーが新市場創造の鍵を握る
- 主要キーワードは、「ストーリー」「場づくり」「コトづくり」「ブランド化」
「顧客の分析~コンサルティング」「(仲間の)(地元の)ネットワーク」 - 待たれる国内同時多発的な「Next Generation Craft Revolution(次世代クラフト革命・工芸革命)」
第1章 新市場創造型企業のビジネスモデル
第2章 市場を創れ!地方発ユニークビジネス
第3章 ユニーク企業・ユニークビジネス
■掲載内容
第1章 新市場創造型企業のビジネスモデル
新市場創造型企業のビジネスモデル
待たれる同時多発的「次世代クラフト革命」
新市場を創造するのは工夫と戦略、そして「小さなビジネスモデル」が生まれる
(表)ビジネスモデルの領域とキーワード
「地方」「中小」「二代目」企業・事業の生き残り戦略
第2章 市場を創れ!地方発ユニークビジネス
1.高知県
~企業家と地域のコラボレーションが生み出す事業可能性~
高知空港ビル(空飛ブ八百屋)、黒潮町缶詰製作所、土佐備長炭 窯元 炭玄
共有された危機感を背景に若者が考え動き、大人(産・学・官・地域)がサポート
1.生産者の思いと場の提供者の本気度が新業態を生み出した
高知空港ビルの「空飛ブ八百屋」
2.強い危機感が町主導の第3セクターを生む 雇用促進、「おいしさ」と「非常食」の両立、
多くの課題を抱えながらも走り出した黒潮町缶詰製作所
3.自然と地元、そして仲間との共生 土佐備長炭 窯元 炭玄
2.島根県
~マーケティング力向上で市場創造型事業への脱皮を図れ~
JAしまね いわみ、山陰建設工業、ビー.ビー.ダブリュ
県内中小企業・小規模企業の優先課題は
「販路開拓・取引拡大」「産官学連携による技術開発」
1.産・学・官の共同開発が実って開発された悪酔い防止飲料「晩夕飲力」
JAしまね いわみ中央地区本部
2.広範囲な地域環境創造に取り組む山陰建設工業株式会社
バイオ商品の販売を目的に1996年には株式会社モア・フレッシュを設立
3.短時間に大量に作れる 土のう製作器「ビー.ビー.ワーカー」
ビー.ビー.ダブリュ株式会社
3.和歌山県
~地域性を活かしながら技術、品質、事業転換でブランド化へ~
青野パイル、柑香園、丸紀
1.青野パイル「アナログだけどハイテク」、「パイル技術は世界一」
伝統産業のパイル織物がOAプリンター印字トナー立毛シール材として活用
2.農業生産法人 有限会社柑香園(観音山フルーツガーデン)
生産・品質のこだわりはストーリーへ、ストーリーは高価格設定へ
3.丸紀、集成材の製造販売から自社ブランドの商品開発強化
ウッドテクノロジーを通して「和のこころ」を世界へ発信
4.滋賀県
~顧客目線で強いこだわりを持って商品開発、ベースには「三方良し」思想~
協和工業、井之商、タオ
1.協和工業、OEMで培った技術を基本に脱OEMを実現
「お客様の考えを形にする」「今までのにない発想の商品作りを目指す」
2.井之商、「生活の困りごとを解決する、住まいの110番」から生まれた
ゼロエネルギーの太陽光照明システム「スカイライトチューブ」
3.タオ、実効あるマルチメディア学習システムで子どもの自己実現を支援
5.福井県
~行政のフレキシビリティ、2代目社長の熱い想い~
鯖江市役所、山口工芸、キッソオ、長田工業所
1.鯖江市役所、地域性、住民性および地方の危機感をベースに
市長をリーダーとして斬新でユニークな事業を次々と打ち出す
「データシティ」、「クラウドファンディング」、「JK課」
自治体としての取り組みは初モノばかり
オープンデータの先駆け、行政は情報を機械が読めるデータ形式で提供、
サービスは民間がアプリやAIで処理し提供
クラウドファンディング事業では市職員が人材育成やコンサルティング領域まで踏み込む
使うべくは「金の財」ではなく「人の財」
女子高生もまちづくりに参加「JK課」
信頼関係のある“ゆるい”コミュニケーションが○(まる)
需要と供給の問題はあるが、
望まれる外部からの訪問者に対するインフラ面の「おもてなし」
2.山口工芸、越前漆器の木地製造技術を生かして木製雑貨ブランド「Hacoa」を展開
「ストーリー」を重要視、世界展開も視野に
3.キッソオ、メガネ部品・材料商社が強みと技術を生かしてアクセサリーブランドも
世界トップブランド・イタリア・マツケリー社のアセテートシートでアクセサリー分野へ
その背景には自社ブランド・自社販売へのこだわり
4.長田工業所、アイデアと実行力で従来からの脱皮を図り
社会的地位を向上させることで雇用でも貢献へ
工場ならではのユニークな体験アトラクションを用意した「アイアンプラネット」
やり方次第では新規ビジネス創出も
6.福島県
~ネットワークで地元力を引き上げろ~
SAISEI LLC、エコエネルギーシステムズ、デリカフーズ/茨城大学
1.県内企業ネットワークで製品開発から事業化までを取り仕切るSAISEI LLC
「技術力」と「ものづくり力」だけでなく、今後は国内外に向けた「発信力」が課題
2.エコエネルギーシステムズの地中熱利用システム「GEOPLUS」
しかしそれだけではない、エコな手法によりIT技術と組み合わせたトータル的な農業運営
3.デリカフーズ/茨城大学「カット野菜残渣を活用したミミズコンポストの開発」
開発は休止中も技術・市場の両面にポテンシャル
県内外のさらなるネットワーク化の進展と深耕、そして、
既得権益への勇退を促し世代交代が求められる
7.仙台地域
~新しい産学官提携の取り組みと地域活性化~
仙台市/東北大学情報知能システムセンター
1.仙台市と東北大学による電気・情報系分野の産学官連携推進を目的とした窓口組織
IIS研究センターの守備範囲と役割
2.従来の産学官連携推進組織とは異なる、ニーズ・シーズ情報収集型アプローチ
IIS研究センターの活動概要
3.産学連携事業の事例
~水産業のIT化・外観検査用産業ロボットを高度化する
画像処理組み込みソフトウェアの開発~
①宮城県気仙沼水産業のIT化(自動整列・魚選別など高度自動化)
ⅰ.プロジェクト実施のきっかけ
ⅱ.カツオの高速自動選別装置の開発
ⅲ.タラの雌雄判別
ⅳ.開発にあたって苦労した点、今後の課題
②外観検査用産業用ロボットを高度化する画像処理組込みソフトウェアの開発と事業化
(自動車のドアミラーの外観検査)
ⅰ.プロジェクト実施のきっかけ
ⅱ.開発にあたって苦労した点、今後の課題
4.IIS研究センターの活動による成果・課題
第3章 ユニーク企業・ユニークビジネス
株式会社アーマリン近大 近畿大学が手塩にかけて養殖した「安全」で「安心」
さらに「美味しさの探求」にこだわった魚を広く消費者に販売
近畿大学 水産研究所の特徴 ~外部資金に頼らず自らの研究資金を稼ぐ研究所
画期的マダイの開発
世界初「クロマグロ完全養殖」に成功
研究所の赤字体質を打破するため、
販売に特化した大学発ベンチャー企業「株式会社アーマリン近大」を設立
アーマリン近大のブランド化向上の取り組み
①マグロに卒業証書
②養殖魚専門料理店「近畿大学水産研究所」の展開
③企業とのコラボレーション加速化
今後の方向性~近大マグロの量産化に向けて
ベルグアース株式会社 「日本の農業に革命を」を理念 接ぎ木苗の生産では国内トップ
野菜苗ビジネス参入の経緯
接ぎ木とは
ベルグアースのビジネスモデル
生産者ニーズを反映した独自商品の開発・販売
ベルグアースの業績動向
現状の課題と今後の事業の方向性
中国において野菜苗の開発・生産・販売を展開
中期的に売上高100億円、東証一部上場を目指す
ウイングアーク1st 株式会社 「情報は資産」だから「情報活用基盤を構築する」
ミッションクリティカルな商品/サービスで、ミッションクリティカルな企業へ
国内製造業の生き残りのために情報ソリューションで貢献する
商品/サービス体系は管理部門、営業・生産部門、企画部門およびマネジメント部門に渡り
全社的な問題点や課題を多方面的かつ多視覚的に分析することが可能となる
中国とシンガポールに拠点、海外展開も積極化
「企業の情報活用を支援する」ことはそれを担う人材も育成すること
データサイエンティストではなくエヴァンジェリストやインフルエンサーの育成も
デジタルアーツ株式会社 Web、Mail、Fileのセキュリティ・トータル・ソリューション
「セキュリティ」にはソフトだけでない大きなポテンシャル
主力製品(ブランド)i-FILTER、m-FILTER、FinalCodeの3種、
バージョンアップしながら企業向け、公共向け、家庭向けなどに用途を拡大
全社売上高の2/3程度を占めるi-FILTER
標的型攻撃対策および組織内の機密情報漏洩対策への関心が企業・自治体で高まる
クラウドメールにも対応したm-FILTER
誤送信機能など、多彩なメールセキュリティ機能で需要を開拓
ファイル暗号化・追跡ソリューションFinalCodeは世界戦略製品
国内で2015年度下半期から飛躍的に案件数が増加
ポート株式会社 社会課題に向けた「新しいアタリマエ」づくりを
ITでオールドエコノミーの転換に挑み、自らもリアルビジネスへ
「世界中に、アタリマエとシアワセを。」人類社会の発展に貢献できる事業、会社を目指す
採用コンサルティング事業 ソーシャルリクルーティング市場ではトップクラスの実績
バーティカルメディア事業はさらなる進化へ
ユーザーの潜在的課題の発掘から解決までをシームレスに実現できるサービス
遠隔医療事業は「ITによる医療コンサルティング事業」
自らが地方にサテライトオフィスを設立することで雇用創出
行政を対象とした「地方創生コンサルティング」
英会話業界にインターネットでイノベーション
株式会社レアジョブと株式会社ビズメイツ
1.株式会社レアジョブ
「日本人1,000万人を英語が話せるようにする」
2020年までに法人顧客3,000社に向け三井物産と資本・業務提携
Z会と業務提携では学生と学校を取り込む
業績は好調に推移
2014年度は東証マザーズに上場、2015年度は執行役員制度の導入、新部署を設立
採用率わずか1%という質の高い講師陣
「量」に加え、「質」に重点を置く方針
TVCMも実施
グローバル展開を本格化
オンライン×オフライン「3ヶ月で英語が話せる!レアジョブ本気塾」を開始
東京オリンピックまでに日本人1,000万人を英語が話せるようにする
2.株式会社ビズメイツ
ビジネス英語に特化したオンライン英会話サービス
英語力×ビジネススキル=25段階評価でレベル判定~オンライン英会話「Bizmates」
ビジネスシーンや法人ニーズに合わせた各種のオリジナル教材をラインナップ
設立以来増収を継続、2014年12月期は前年比340%
高いクオリティで他社との差別化図る
ネット広告をメインに半額キャンペーンも実施
ビジネス経験を最重要視、厳選採用した講師陣 ピーク時間に対応可能な講師の確保が課題
“今よりもっと多くのビジネスパーソンが世界で活躍するために”
製薬企業が主体となって行うオープンイノベーション 第一三共TaNeDSプロジェクト
このレポートの関連情報やさらに詳しい情報についての調査を検討したい
矢野経済研究所では、
個別のクライアント様からの調査も承っております
マーケティングや経営課題の抽出、リサーチの企画設計・実施、調査結果に基づく具体的な戦略立案・実行支援に至るまで、課題解決に向けた全ての段階において、クライアント企業をトータルでサポート致します。