2016年版 自動車用フィルム・シート市場の展望と戦略
本調査レポートは、加飾フィルム、窓用フィルム、中間膜、SMC、CFRP、発泡体シートについて、自動車にフォーカスし、幅広く取り上げた。各フィルム、シート製品需要、参入メーカー各社の動向など最新の状況を分析・考察した。
調査資料詳細データ
調査概要
資料ポイント
資料概要
調査目的:自動車用フィルムメーカー、コンバーター、シートメーカー各社の現在の動向と今後の事業施策を徹底調査し、さらに周辺調査を行うことで、自動車用フィルム・シート市場における現状と今後の動向の把握を目的とする。
調査対象:内装用加飾フィルム、外装用加飾フィルム、加飾フィルム用原反、ウィンドウフィルム、合わせガラス中間膜、自動車用発泡体、SMC、炭素繊維シート
※SMCについてはFRPの成形方法の一つであり、SMC成形に使用されるコンパウンド材料を指すため、正確には「シート」ではないが、出荷形態がシート状であることから、今回の調査対象に含めた。
調査方法:直接面接取材をベースに、文献調査を併用。
調査期間:2015年11月~2016年1月
- 業界の垣根を超えたオールジャパンで新たな市場を切り拓け
- 軽量化と燃費向上実現の先にあるニーズをつかめ
フィルム・シートメーカー、コンバーターサイドからの発信力を - 原料、製膜、加工、剤が一丸となった展開で海外メジャーに対抗
- 日本勢ならではの強みを発揮し自動車用での量的拡大を目指せ
第1章 自動車用フィルム・シート市場の展望と戦略
第2章 自動車用フィルム・シート市場の動向
第3章 自動車用フィルム・シートメーカーの展望と戦略
リサーチ内容
■掲載内容
調査結果のポイント
第1章 自動車用フィルム・シート市場の展望と戦略
業界の垣根を超えたオールジャパンで新たな市場を切り拓け!
軽量化と燃費向上実現の先にあるニーズをつかめ
フィルム・シートメーカー、コンバーターサイドからの発信力を!
原料、製膜、加工、剤が一丸となった展開で海外メジャーに対抗
日本勢ならではの強みを発揮し自動車用での量的拡大を目指せ
第2章 自動車用フィルム・シート市場の動向
1.自動車内装用加飾フィルムの動向
塗装・メッキに替る三次元加飾の採用が進む
主要地域での新車生産台数のうち内装加飾の比率は35%程度
欧州のインモールド転写、日本の水圧転写など地域別にプロセスの棲み分けが進む
(図・表)主要地域別新車生産台数に占める内装加飾の動向(2015年)
(図・表)主要地域における内装加飾工法別採用動向(2015年)
1.水圧転写
金型不要、凹凸対応、少量多品種可能などが評価され内装加飾プロセスとして普及
転写フィルムはワールドワイドで500万㎡前後の安定した需要を維持
(表)水圧転写フィルム市場規模推移
日系印刷会社が90%のシェア確保も中国市場向けで海外勢が実績を伸ばす
(表)水圧転写フィルム 参入メーカー各社の販売量及びシェア推移
(表)主要自動車メーカーの水圧転写採用状況
環境意識の高まりでドライプロセスへの切り替え進むも
日本、中国など既に設備導入が進んだ地域では安定した需要を確保
(表)自動車用水圧転写フィルム 地域別市場規模推移
2.成形同時加飾
(図)インモールド転写のプロセス
(図)INSのプロセス
インモールド転写は独自のIMD®プロセスで展開する日本写真印刷と
VW向け需要を握るクルツのシェアがほぼ拮抗
(表)自動車用インモールド転写フィルムの地域別シェア(2015年)
(図)自動車用インモールド転写箔メーカーシェア(2015年)
INSでは大日本印刷、日本写真印刷のグラビア勢が優勢も
欧州を中心に北米、中国市場ではシルクスクリーンも1/3程度のシェアを押さえる
(表)自動車用INS加飾フィルムの地域別シェア(2015年)
(図)自動車用INS加飾フィルムメーカーシェア(2015年)
硬度と成形性の両立、耐薬品・耐指紋性付与などコンバーターに求められる役割も拡大
3.真空・圧空圧着成形
プロセス短縮、少量多品種を実現する新たな技術として注目
(表)真空・圧空圧着成形用フィルムの地域別シェア(2015年見込み)
(図)真空・圧空圧着成形の例(布施真空TOM成形)
(表)3次元加飾工法の比較
(表)自動車メーカーの内装加飾採用状況
2.自動車外装用加飾フィルム市場の動向
成形性や硬度だけでなく、耐薬品性、耐候性などフィルム性能面で高いハードル
材料、フィルム、表面処理など業界横断的な研究開発と情報共有が課題に
金属調成形シートはエンブレム、ホイールキャップ向けでの採用が中心
年間50万㎡程度の横ばいで推移
(表)自動車外装用金属調加飾成形シート需要動向
デザイントレンドの変化で金属調モールテープの需要は縮小傾向に
加飾フィルムの究極の目標である「ボディ塗装代替」を実現する真空、圧着成形に注目
布施真空「Neo-TOM」の実用化に期待集まる
3.自動車内外装加飾フィルム原反市場の動向
(表)自動車内装加飾原反市場規模(2015年)
1.PMMAフィルム
INS、IML用加飾フィルムのスタンダード、高光沢、高対応、グラビア印刷対応が強み
2.PC系フィルム
優れた成形性でシルクスクリーン印刷用原反として欧州市場を中心に採用される
表面硬度を改良した三菱ガス化学のPC/PMMAも自動車用の実績を確保
3.PETフィルム
ほとんどがインモールド転写の剥離フィルム基材向け
東レ、帝人デュポンフィルムが易成形性グレードをINS、IML向けに提案
4.PPフィルム
自動車内装のオールPP化に対応した高透明PPフィルムが登場
出光ユニテックがグループ内で原料からの一貫展開を武器に提案営業を積極推進
4.自動車用ウィンドウフィルム市場の動向
もともと自動車用で強みを見せるリンテックが85%前後のシェアを独占
フロントガラス対応の高透明遮熱グレードの投入でフィルムの採用を拡大
(図・表)日本国内における自動車用ウィンドウフィルム市場規模推移
(表)日本国内における自動車用ウィンドウフィルムシェア推移
5.自動車用合せガラス中間膜市場の動向
2014年にクラレが米・Dupontの中間膜事業を継承
イーストマンケミカル、積水化学、クラレの世界3強体制が確立
(表)PVB樹脂・フィルム 主要メーカー生産拠点一覧
市場規模は重量ベースで25万t前後、面積ベースでは3億5,000万㎡強に達する
地域別では自動車用は欧州、中国、米国、建築用は欧州が主戦場
(表)合わせガラス中間膜 需要分野別出荷量推移(重量ベース)
(表)合わせガラス中間膜 需要分野別出荷量推移(面積ベース)
(表)合せガラス中間膜 用途別地域別販売量 重量ベース(2014年)
(表)合せガラス中間膜 用途別地域別販売量 面積ベース(2014年)
自動車用中間膜では高機能膜の比率が全体の25%に達する
エコカーの普及で遮音膜が拡大、今後はHUD用の拡大が期待される
(表)自動車用合せガラス中間膜メーカーシェア推移(重量ベース)
(表)自動車用合せガラス中間膜メーカーシェア推移(面積ベース)
6.自動車用発泡体(EPP、PS/PE 共重合発泡体)市場の動向
自動車軽量化ニーズに応え、EPPやPS/PE共重合発泡体の出荷量は増加傾向
(表)自動車用発泡体(EPP、PS/PE共重合発泡体) 世界市場規模推移
JSPはタイ、中国で新規生産拠点を開設
新興国の需要を取り込み、グローバル市場でのプレゼンスを一層強固に
(表)自動車用発泡体(EPP、PS/PE共重合発泡体)主要メーカー別出荷量・シェア(2015年)
(表)EPPおよびPS/PE共重合発泡体主要メーカー主な生産拠点
積水化成品工業は成形品生産拠点のグローバルネットワークを整備し
高品質な成形品の供給・納期短縮・物流コスト低減で他社との差別化を図る
7.SMC市場の動向
軽量化効果や意匠性が評価され、高級車向けを中心に外板で採用実績を重ねる
(表)SMC国内市場規模推移
(表)SMCの採用実績がある主な自動車部品
住設関連に代わる成長市場として自動車分野に注目が集まる
用途開拓に向けたポイントは成形サイクルの短縮
8.炭素繊維シート市場の動向
加工性や成形性に優れた熱可塑性炭素繊維強化プラスチックの開発が進行
自動車分野の用途開拓に向けて生産性向上や加工方法の開発・提案がポイントに
第3章 自動車用フィルム・シートメーカーの展望と戦略
スリーエム ジャパン株式会社
独自のフィルムテクノロジーを活かし自動車内装用加飾フィルムに参入
優れた成形性と外観・質感などリアルなデザインに強み
真空圧空加飾など新しい加飾工法に対応する製品開発も推進
ブラックアウトフィルムでは粘着層のエア抜きなど接着・接合テクノロジーに強み
DIC株式会社
DICグループの強みと経営資源を活かした事業展開で差別化
DICデコール、DCカツヤとのシナジーを活かし、デザイン・印刷から
技術指導・エンジニアリングまで一貫した提案・営業を推進
水圧転写フィルム「アクアトランサ」2014年以降の販売量は堅調に推移
加飾製品の見栄え、コスト、納期などトータルな使い勝手向上を推進
株式会社ウェーブロック・アドバンスト・テクノロジー
単なる金属調にとどまらず、カラータイプ、漆調など
多様化するデザインや少量多品種への対応で差別化
異型押出成形用光輝テープは自動車デザインの変化で大幅減少
「スーパーテクミラー」自動車の軽量化や衝突防止システム普及の波にのり堅調
接着層に着色したカラータイプで漆、クロムなどリアルな質感と少量多品種に対応
リケンテクノス株式会社
真空・圧空加飾用フィルム、光輝調モール用フィルムなど
自動車内外装向け加飾フィルムで実績を蓄積
内装用フィルムでは精密エンボスによるリアルな質感表現で差別化
外装モール用光輝調フィルムではベース樹脂に対する知見が強みに
日本マクダーミッド株式会社
表面硬度と成形性を両立した加飾フィルム「XtraForm TM」を投入
自動車のブランドイメージを訴求する内装部品を実現
Wキュア方式の採用で耐傷性、延伸率200%を実現
成形性だけでなく、光沢、防汚、耐薬品などニーズに合わせた付加価値の提案を推進
パナック株式会社
自動車加飾をターゲットに易成形フィルムを展開
商社としての材料ネットワークを活かし独自の付加価値品を投入
プレキュアタイプとアフターキュアタイプを揃え、幅広いニーズに対応
成形性に加え反射防止、指紋防止などの付加価値提案を推進
三菱レイヨン株式会社
原料から一貫したMMAチェーン展開を武器に
独自開発の高付加価値グレードの投入で競争力を発揮
塗装代替の加飾成形用フィルムは加工工法に合わせたグレードを展開
ポリマー制御技術を活かした艶消しグレードなど差別化品を投入
三菱ガス化学株式会社
高表面硬度、高成形性の「MRフィルム」が自動車内外装で採用始まる
耐候性、耐薬品性など成形性+機能をアピールし拡販推進
東レ株式会社
衝突防止装置や無線通信にも対応する金属フリーと金属調外観・質感の両立
意匠性にとどまらない付加価値を武器に拡販を推進
ハーフミラーによる光線透過や電磁波透過など「PICASUS」ならではの特長に強み
光の反射・透過を高精度に制御した新シリーズでより幅広い用途展開に期待
出光ユニテック株式会社
高透明PPフィルム「ピュアサーモ」を成形加飾用に展開
自動車内装向けに積極的な提案営業を推進
PP樹脂の特性を活かし、軽量、低価格など「ピュアサーモ」採用のメリットをアピール
熱収縮によるヒケの問題を解消する射出成型方法も提案
自動車内装のオールPP化の流れの中、リサイクル対応面でのメリットも訴求
布施真空株式会社
独自の成形加飾プロセスTOMを自動車ボディに応用した「Neo-TOM」発進
IT・家電関連需要縮小の一方で、自動車関連ユーザーからの樹脂加工受託は安定的に
推移大気圧差を利用した独自の成形技術「NGF」が自動車、住設建材などで採用を増やす
独自の三次元成形加飾技術「TOM」、自動車向けでは内装部材で採用
自動車メーカー、Tier1での量産機導入も進展
若者の車離れの中、デザイン性を高めた差別化の動きが軽自動車にまで波及
内装部材の集約・大型化と塗装・メッキレス化が「TOM」採用を後押し
自動車ボディ(外装)向けに新たなプロセス「Neo-TOM」を開発
ツートンカラーへの対応、車体色の少量多品種化などを積極的に提案
株式会社JSP(EPP)
新興国の需要取り込みと新規用途開拓で自動車向け事業の成長を加速
EPPのトップメーカーとしてのポジションを一層強固に
アジア域内で生産能力を増強、需要取り込みとともにローカルメーカーとのパイプを強化
海外市場が牽引役となりピーブロックの出荷量は増加傾向で推移
新規用途のリアシートコア材は、国内自動車メーカーで採用の動きが始まる
ツールボックスでEPP需要が増加
構造解析に基づく緻密な提案でユーザーの軽量化ニーズをきめ細かくフォロー
積水化学工業株式会社
グローバルな生産拠点のネットワークを強みとして
自動車分野の需要取り込みを加速
架橋・無架橋双方のポリオレフィンフォームをラインナップ
国内外各拠点に開発機能を有し、現地ニーズのくみ上げにも取り組む
建材向けの出荷量が減少する一方、自動車やIT向けなど高付加価値品の販売は好調
自動車軽量化などのニーズに応えフォームの採用実績を増やす
三井化学東セロ株式会社
製品ラインナップの拡充や営業体制強化により国内需要の掘り起しを図る
低発泡POシートは、出荷量が微減傾向
「ハッポート」は自動車シート裏打ち材用途などに使用
「パロニアスーパーHD」は自動車部品用の枕木や治具などの用途開発を進める
ジャパンコンポジット株式会社
新規用途開拓や技術開発を通じて自動車軽量化ニーズの取り込みに注力
国内SMC市場でのプレゼンス強化を図る
住宅着工件数や新車販売台数の伸び悩みによりSMC/BMCの国内販売は低調
成形サイクル短縮化を実現し、量産車向けSMCの供給体制を整備
炭素繊維SMCは構造部材用途を中心に拡販を目指す
BMCはランプリフレクターなど自動車関連の販売量が縮小傾向
一村産業株式会社
CFRTPシートの供給から成形加工までをパッケージ化して提案
ユーザーと用途の裾野拡大を目指す
国内初となる1m×1mのCFRTPシートを開発
協業メーカーとともにCFRTPと他素材のハイブリッド成形の研究開発を推進
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