2019年版 製造業向けプラントO&Mサービスの現状と将来展望
国内の工場では、高度経済成長期に建設され、令和の時代に入った現在でも現役で稼働しているプラントが数多く存在する。プラントの稼働年数が長くなるに従い、老朽化に伴うトラブルや事故のリスクが高まることから、安定操業を実現する上で定期点検やメンテナンスなどの保全業務が欠かせない。一方で、保全業務の現場では、「匠」と呼ばれる熟練技術者・技能者の高齢化や労働人口の減少などによる人手不足が懸念されている。人手不足対策として、新しい技術(IoT、ドローン、VR/AR、AIなど)を活用することにより、次世代を担う人材への技術・技能の継承・指導や人海戦術に依存しない保全業務体制を目指す動きが活発化している。
本調査レポートでは、製造業のプラントのメンテナンスやオペレーションを実施もしくは支援する事業(O&Mサービス事業、プラントメンテナンス事業など)の国内市場の動向及び代表的な参入プレイヤーの事業内容・戦略について調査・分析を行った。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:製造業のプラントのメンテナンスやオペレーションを実施もしくは支援する事業(O&M サービス事業)に関する国内市場の動向及び代表的な参入プレイヤーの事業内容並びに注目テーマについて調査・分析を行った。
調査対象:プラントメンテナンスやプラントオペレーション支援に関するサービス及び同サービスの基盤となる技術・商品
調査方法:直接面接取材をベースに、電話取材や文献調査を併用。
調査期間:2019年4月~2019年7月
製造業向けプラントO&Mサービス市場に関する調査を実施(2019年)
2019年度の国内製造業向けプラントO&Mサービス市場規模は9,093億円の見込
~プラント老朽化によるリスクの低減を目的として、国内の製造業において重要性が増すプラントメンテナンス~
- 老朽化によるトラブルを事業リスクとみなす企業が保全業務への投資を加速
- ベテランの退職と人手不足を背景に外部の専門家によるメンテナンスのニーズが高まる
- マルチベンダー対応に代表される総合的なサポートメニューを揃えた企業が事業を拡大
- 働き方改革により人海戦術に依存しない保全業務の遂行が急務に
- 保全業務のスマート化に向けた最初のステップとしてIoTによるデータ収集の動きが広がる
- エンジニアリング会社はIoT化に対応するデバイス・システムの開発・提案を強化
- ドローンの現場運用が始まるとともに各社とも適用先の拡大に向けた試験・検証を進める
- 情報通信技術の発達によりオンライン型・遠隔監視型のサービスメニューの開発が活発化
- AIへの期待値は高いが現場での実用性に優れたシステムの登場は2020年以降の見込み
- VR/ARの適用対象は安全教育から現場作業支援へと徐々に広がる兆し
第1章 製造業向けプラントO&Mサービスの現状と将来展望
第2章 注目テーマに関する主な動き
第3章 プラントO&Mサービスのスマート化と中長期的な展望
第4章 製造業向けプラントO&Mサービスの市場動向
第5章 主要プレイヤーの動向
調査結果のポイント
第1章 製造業向けプラントO&Mサービスの現状と将来展望
1.現状
(表)プラントO&Mサービスの主な内容
(図表)プラントO&Mサービス市場規模推移
(図表)プラントO&Mサービス市場規模(分野別構成比)
(表)主な保全のタイミングと方法
2.参入プレイヤーの動向
(表)主なエンジニアリング会社・プラントメンテナンス会社
(表)直近の主な再編の動き
(表)主なエンジニアリング会社・プラントメンテナンス会社の共通の課題
3.将来展望
4.参入プレイヤーの今後の展開
(表)エンジニアリング会社・プラントメンテナンス会社の成長シナリオ
第2章 注目テーマに関する主な動き
1.人材(育成・働き方改革)
(1)主な動き
(2)主要企業の動向
2.プラント老朽化
(1)主な動き
(2)主要企業の動向
3.安全対策
(1)主な動き
(2)主要企業の動向
4.環境対策
(1)主な動き
(2)主要企業の動向
5.海外展開
(1)主な動き
(2)主要企業の動向
第3章 プラントO&Mサービスのスマート化と中長期的な展望
1.プラント保全業務におけるスマート化(新しい技術の活用)
(1)主な動き
(2)主要企業の動向
2.新しい技術を活用したプラントO&Mサービス
(1)現在の状況
(表)主要企業の主な取り組み・動き
(2)現状の課題と中期展望(2025年頃)
(表)新しい技術の活用に向けた課題
(3)長期展望(2030年頃)
(表)主な技術の中長期的な展望(普及、開発など)
(4)主要企業の展望
第4章 製造業向けプラントO&Mサービスの市場動向
1.市場全体の動向
(図表)プラントO&Mサービスの市場規模推移
(表)プラントメンテナンスサービス種類別売上構成
(表)プラントメンテナンスサービスの設備種類別売上構成
2.主な産業分野別市場動向
(1)市場規模の産業分野別内訳
(図表)産業分野別プラントO&Mサービス市場規模推移
(表)プラントO&Mサービス市場規模(分野別構成比)
(2)鉄鋼分野
(図表)鉄鋼分野プラントO&Mサービス市場規模推移
(3)化学分野
(図表)化学分野プラントO&Mサービス市場規模推移
(4)石油・石炭分野
(図表)石油・石炭分野プラントO&Mサービス市場規模推移
(5)食品分野
(図表)食品分野プラントO&Mサービス市場規模推移
第5章 主要プレイヤーの動向
1.日揮株式会社
ステークホルダーと連携した統合的なサービス提供や新たな技術の活用により
国内外のプラントO&M事業を拡大へ
専門的なエンジニアリング技術とITを駆使したメンテナンスを実施
INTEGNANCEによる高効率・スマートなO&Mサービスを顧客に提案
2.千代田工商株式会社
石油コンビナートを中心に配置したネットワークにより
石油精製プラントや化学プラントのメンテナンスに迅速に対応
C-フェニックス工法により大口径機器の部分更新工事を低コスト・短工期で実現
全体の売上のうち約50%をメンテナンスエンジニアリングが占める
3.株式会社高田工業所
電流情報量診断をはじめとする独自技術やきめ細かい教育体制を基盤に
事業成長を加速
2019年4月からクラウド型回転機診断サービスの提供を開始
需要増加に伴い2019年3月期のメンテナンスの売上が200億円を超える
4.日鉄テックスエンジ株式会社
総合的な技術力と広範なネットワークによる動員力を基盤に
トータルメンテナンスを実施
現場作業に加えて保全基準標準化など保全業務全般をカバー
メーカー並みの対応力を育み電動機のメンテナンスの提案に注力
5.旭化成エンジニアリング株式会社
プラントライフサービスの更なる成長に向けた戦略的な投資を実施
蓄積されたデータ活用に向けて技術開発や人材の確保を進める
専門ノウハウと約45年の蓄積データを組み合わせた回転機診断を実施
無線センサネットワーク型設備診断システムにより測定・分析業務の自動化を支援
6.東レエンジニアリング株式会社
東レグループ内外のエンジニアリング案件の獲得に向けて
設備診断コンサルティングを軸にした提案を強化
外販事業の拡大に向けて地域密着型営業の展開を加速
大型案件受注の道筋として保全業務や地道な営業活動による顧客の課題解決注力
7.日本製紙ユニテック株式会社
使い易さを重視したIoTのプラットフォームづくりに取り組み
工場全体から細部までをカバーする保全システムの確立を目指す
最大6,000点の機器を監視できるe-無線巡回で人海戦術に依らない保全を実現
外部顧客の開拓を加速し日本製紙グループ業績への貢献を図る
8.株式会社中部プラントサービス
発電所のO&M業務で培った技術力と専門的なノウハウをベースに
電力分野以外の案件開拓を加速
発電設備と回転機・電動機の点検・メンテナンスの展開に注力
経営ビジョン2026において2026年度売上600億円を目指す
9.味の素エンジニアリング株式会社
食品プラント・食品工場の専門エンジニアリング会社として
課題解決に貢献する運営支援・改善サービスを展開
計画保全などの手法を駆使して食品プラント・食品工場の操業を支援
味の素グループ内外の企業420社以上との取引実績を有する
10.ジェイティ エンジニアリング株式会社
エンジニアリングとシステムインテグレーションの技術者集団として
生産現場に密着し老朽化や省力化などの課題解決を支援
ユーザー目線のサービス展開で顧客の課題解決を支援
2019年に入りクラウド型遠隔監視システムの引き合いが増加
11.株式会社日立プラントサービス
空調・熱源のユーティリティをはじめとする産業用設備に対して
日立グループのIoTノウハウを用いたスマート保守を提供
設備省エネナビゲーションにより空調・熱源運転の職人技を自動化
収益の基盤としてオペレーション&メンテナンスサービスの育成を目指す
12.大成建設株式会社
建設会社としての総合力を発揮して
スマート化などの多様な課題に対応した工場の構築を後押し
医薬品工場などのエンジニアリングを50年以上にわたり手掛ける
ファシリティマネジメントにより顧客の生産安定化やコスト削減などを実現
13.横河ソリューションサービス株式会社
モノづくりのプロセスに関する幅広い知見を用いて
プラントの設備管理や操業を総合的に支援するコンサルティングを展開
産業用IoT向け無線ソリューションの第二弾商品を2019年7月に上市
プラントのスマート化に対応できる人材の育成に注力
14.富士電機株式会社
技術とコミュニケーション能力を備えたフィールドエンジニアを育成し
顧客の設備管理業務の改善をトータルでサポート
「まるごと設備管理サービス」でメーカーに依らない保全サービスを実施
更新や保守点検などの需要を取り込みフィールドサービスの売上を伸ばす
15.株式会社明電舎
多様な設備・メーカー製品に対応可能なワンストップサービスにより
顧客のメンテナンスニーズを幅広く取り込む
現場の安全管理や業務効率化を目的にAR技術の活用をスタート
ワンストップサービスの拡充に向けてパートナー企業とのネットワークを強化
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