2019年版 RFID市場の現状と展望
RFID(Radio Frequency Identification)は、高度情報サービスのツールとして期待される自動認識技術の1つであります。RFIDの本格的な応用開発が始まったのは、ICメモリーの改良や低コスト化、及びバッテリーレス化が進んだ1990年代後半以降で1999年にはRFID技術の標準化の取り組みも始まりました。
海外市場は、アパレル業界向けのRFIDタグが先行してRFIDサプライ品の数量規模が急速に拡大しまた一方で、その平均単価が年々急落しており金額ベースの市場規模は数量ベースの成長率に追い付いてない状況です。
一方、国内市場はまだタグの需要量が限られることもあり、タグ/インレイの専業系メーカーは例外的な存在で、大部分の企業がソリューションビジネスを展開して一定の売上を確保しています。国内のRFID市場はタグの価格が大幅に下落したにも関わらず、アパレル以外はRFID導入ハードルが依然として高いのが実状で、物流業界でもRFID導入の動きはまだ鈍いと思われます。
このような状況をふまえ、RFIDサプライ品(ICタグ/ICラベル/インレイなど)やその関連機器(リーダ・ライター)市場にフォーカスし、その現状と展望を行いました。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:製造、物流、販売、サービス、物品管理などの業務効率化などに向け、その有用性が改めて注目されているRFID市場(関連機器やソリューション)についての現状と今後の動向を詳細に把握することを目的とする。
調査対象:RFID関連メーカー、ソリューションサービス事業者、業界団体。
調査方法:直接面談取材による
調査期間:2019年5月~2019年7月
RFIDソリューション市場に関する調査を実施(2019年)
2018年のRFIDソリューション国内市場規模は前年比106.2%の383億1,000万円
~国内はアパレルのほか、高付加価値の新市場確保へ~
- 国内はアパレルの他、高付加価値の新市場確保へ
- 中国は生産能力を武器にさらなるコストダウンが始まる
・海外は引き続きアパレル分野が市場を牽引し拡大傾向を示し、2021年は前年比119.5%の成長が見込まれる
・中国メーカーは生産能力をさらにアップ、大量生産でコストダウンを図ると共に新工法の開発でコスト競争力も増強へ
・中国現地のチップメーカーは、通常の価格の約50%引きでの販売も
・国内市場は高機能型で新タイプの高額品への期待度高
・国内のUHFタグは「2020年:5円」は達成見込み、しかし「2025年:1円」は不透明
・リーダー・ライターは、UHF帯関連製品がアパレルを含め図書館などで需要が増加
・小売・流通関連、資産管理用途など、新規導入分はUHF帯リーダー・ライターが主体
※今回のレポートでは、RFIDの主な生産地として知られている中国市場を調査すると共に、現地の有力メーカーを取材しその動向を収録しました。
第1章 サプライ品市場
第2章 リーダー・ライター市場
第3章 RFIDメーカーの動向と戦略
調査結果のポイント
第1章 サプライ品市場
1.RFIDソリューションの市場概要
2.RFIDソリューションのワールドワイド市場動向
RFIDソリューションのWW市場は年々市場規模が拡大しており、
2018年は前年比106.5%、8,200億円規模
(図・表)RFIDソリューションのWW市場規模予測
(金額:2017年実績-2023年予測)
(図)RFIDソリューションのWW市場規模の構成比
(金額:2018年)
3.RFIDサプライ品のワールドワイド市場動向
(1)RFIDタグ/インレイの出荷量推移
今後は引き続きアパレル分野が市場を牽引、拡大傾向を示し
2021年は前年比119.5%、279億8,600万個
(図・表)RFIDサプライ品のWW出荷量市場予測
(数量:2017年実績-2023年予測)
(図)RFIDサプライ品に占めるWW市場UHF帯品の構成比
(数量:2018年)
(2)RFIDサプライ品のマーケットシェア
米エイブリィ・デニソン(Avery Dennison Corporation)がトップシェア、
スマートラック(SMARTRAC N.V)が16.6%、中国のArizon RFID が14.1%へ
(図)RFIDサプライ品のWW市場マーケットシェア(数量:2018年)
(3)RFIDタグ用チップのメーカーシェア
ICチップのメーカーは米インピンジ(Impinj,inc)がトップシェア
中国内では Shanghai Fudan Microelectronicsのシェアが拡大へ
(図)UHFタグ用チップのWW市場メーカーシェア(数量:2018年)
4.RFIDソリューションの国内市場動向
国内RFIDソリューション市場は前年比106.2%、383億1,000万円規模
タグの単価は、2020年5円は実現可能、2025年1円は不透明
(図・表)RFIDソリューションの国内市場規模予測
(金額:2017年実績-2023年予測)
(図)RFIDソリューション国内市場の構成比(2018年)
(表)RFIDソリューションの種類別 国内市場規模予測
(金額:2017年実績-2023年予測)
5.国内のRFIDサプライ品市場の動向
(1)国内RFIDタグ/インレイの出荷量推移
2018年はUHF帯タグ/インレイが全体の93.5%、HF帯が5.0%を占め
(図・表)RFIDサプライ品の国内市場規模予測(金額:2017年実績-2023年予測)
(図・表)RFIDサプライ品の国内市場規模予測(数量:2017年実績-2023年予測)
(図)RFIDサプライ品の国内市場の周波数別の構成比(金額:2018年)
(図)RFIDサプライ品の国内市場の周波数別の構成比(数量:2018年)
(表)RFIDサプライ品の種類別国内市場 規模予測
(金額:2017年実績-2023年予測)
(表)RFIDサプライ品の種類別国内市場 規模予測
(数量:2017年実績-2023年予測)
(2)国内RFIDサプライ品の平均単価
(図)HFタグとUHFタグの国内市場平均単価予測(金額:2017年-2023年予測)
(3)国内RFIDサプライ品のマーケットシェア
2018年のトップシェアはエイブリィ・デニソン・ジャパンで14.2%、
次いでナクシスが11.5%、富士通フロンテックが9.8%
(図)RFIDサプライ品の国内市場のベンダーシェア(金額:2018年)
6.タグの利用動向
金額ベースではアパレル向けが主体とする流通分野が全体の56.5%、
物流と製造業が各々14.8%を占める
(図)UHF帯タグの利用分野別の日系市場規模(金額:2018年)
(図)HF帯タグの利用分野別の日系市場規模(金額:2018年)
(表)RFIDタグの国内分野別の市場規模(数量:2017年実績-2023年予測)
(表)RFIDタグの国内分野別の市場規模(金額:2017年実績-2023年予測)
(1)アパレル関連市場
(図)流通市場の周波数別ICタグの構成比(金額:2018年)
(2)物流関連市場
(図)物流関連市場の周波数別ICタグの構成比(金額:2018年)
(3)製造業関連市場
(図)製造業関連市場の周波数別ICタグの構成比(金額:2018年)
(4)医療関連市場
(図)医療関連市場の周波数別ICタグの構成比(金額:2018年)
(5)図書館関連市場
(図)図書館関連市場の周波数別ICタグの構成比(金額:2018年)
(6)資産管理市場
(図)資産管理市場の周波数別ICタグの構成比(金額:2018年)
第2章 リーダー・ライター市場
1.リーダー・ライターの市場概要
(表)RFID用リーダー・ライターの基本動作(電波式)
2.リーダー・ライターの市場動向
2018年は金額ベースで前年比101.5%、105億4,000万円
アパレル分野が市場を牽引し、流通や製造業などでの採用も増え次第に拡大傾向を示す
(図・表)RFIDタグ用リーダー・ライターの国内市場規模予測
(金額:2017年実績-2023年予測)
(図・表)RFIDタグ用リーダー・ライターの国内市場規模予測
(数量:2017年実績-2023年予測)
UHF帯タグ用リーダー・ライターが大きく伸長しており、
2021年には同製品のシェアが27%に拡大する見通し
(図)RFID用リーダー・ライターの国内市場の周波数別構成比(金額:2018年)
(図)RFID用リーダー・ライターの国内市場の周波数別構成比 (金額:2021年)
3.HF帯タグ用リーダー・ライター市場の動向
2018年のHF帯リーダー・ライターの国内市場規模前年比101.7%、65億9,300万円
(図)HF帯タグ用リーダー・ライター国内市場のタイプ別構成比(金額:2018年)
(図・表)HF帯タグ用リーダー・ライターのタイプ別国内市場規模予測
(金額:2017年実績-2023年予測)
(図・表)HF帯タグ用リーダー・ライターのタイプ別国内市場規模予測
(数量:2017年実績-2023年予測)
4.HF帯リーダー・ライターのマーケットシェア
(図)HF帯タグ用据置型・組込型のマーケットシェア(金額:2018年)
(図)HF帯タグ用ハンディタイプのマーケットシェア(金額:2018年)
5.UHF帯タグ用リーダー・ライター市場の動向
小売・流通関連、資産管理用途など新規導入分はUHF帯リーダー・ライターが主体
(図・表)UHF帯タグ用リーダー・ライターのタイプ別国内市場規模予測
(金額:2017年実績-2023年予測)
(図・表)UHF帯タグ用リーダー・ライターのタイプ別国内市場規模予測
(数量:2017年実績-2023年予測)
(図)UHF帯タグ用リーダー・ライター国内市場のタイプ別構成比(金額:2018年)
(図)UHF帯ハンディ型リーダー・ライターの形状別構成比(金額:2018年)
6.UHF帯リーダー・ライターのマーケットシェア
UHF帯タグ用据置型・組込型のトップシェアは日鉄物産で同市場で59%を占める
(図)UHF帯タグ用据置型・組込型のマーケットシェア(金額:2018年)
(図)UHF帯タグ用ハンディタイプのマーケットシェア(金額:2018年)
第3章 RFIDメーカーの動向と戦略
大日本印刷株式会社
読み取り性能が優れた高品質の製品を低価格で提供可能な競争力を持つ
経産省プロジェクトの実績を活かし、今後コンビニ向けのRFID導入をリード
(図)大日本印刷の売上比率(金額:2018年)
(図)大日本印刷の利用先別比率(金額:2018年)
凸版印刷株式会社
自社特有の高機能新製品を販売し競争力強化を図る
セキュリティー関連市場をターゲットにRFIDを普及させていく
(図)「デュアルインターフェースICタグと温度センサーICタグ」
エイブリィ・デニソン・ジャパン株式会社
UHF帯RFIDタグを累計で200億枚以上出荷、
世界最大のRFIDインレイメーカーとして業界をリード
アパレルブランドとのパートナーシップを強化するとともに、
アパレル以外のセグメントにもビジネスを拡大
トッパン・フォームズ株式会社
足元ではメディカルや製造業関係で実績を伸ばし、
中長期的には流通市場で更なる飛躍を目指す
2018年のRFID事業は堅調に売上を伸ばしており、2019年はさらなる事業拡大へ
(図)2周波数帯対応ICタグ
日精株式会社
豊富なラインナップの上、小量販売、かつ安定的な価格で提供
ユーザーの使用目的に合わせて各製品を組み合わせて提案
(図)日精の売上比率(金額:2018年)
(図)日精の周波数別販売数量比率(数量:2018年)
株式会社イーガルド
設計開発から市販まで短期間で対応可能な強みを持ち、
顧客のニーズに合わせたカスタム製品に対応
RFIDタグのみならず、コンサル能力を活かしシステムを含めて
どのようにRFID事業をシフトしていくかが今後の課題
(図)イーガルドの売上構成比推移
(図)イーガルドの生産拠点一覧
ハーティング株式会社
産業用RFID市場をターゲットに提案活動を強化
日本法人ではUHF帯含め、LFやHFにも対応
(図)様々な無線自動認識を取り入れたシームレスなシステム
東洋製罐グループホールディングス株式会社
自社の強みを発揮できる金属対応タグに集中して事業を展開中
飲料などの容器市場でのICタグのニーズが生じた際、
素早く対応すべく技術を途切れさせなく継続させていく
(表)東洋製罐グループホールディングスの最新の製品一覧
株式会社RFIDアライアンス
ポテンシャルを持つ新しいタグを次々と市販していく
海外製品の販売の他、自社独自開発のタグの販売にも注力
(表)RFIDアライアンスの取り扱い製品
日鉄物産株式会社
Impinj及びSmartrac正規販売店として顧客のニーズに合わせた
最適なRFID機器及びICタグ選定・提供
リーダー・ライターは売上が前年比プラスで推移、インレイは二桁で成長
(表)日鉄物産の「xSPAN」と「xArray」との比較
ジーエルソリューションズ株式会社
高セキュリティー製品の販売で差別化を図る
2019年下半期にマルチプロトコル対応の新製品を市販する予定
(図)ジーエルソリューションズの売上比率(金額:2018年)
(図)ジーエルソリューションズのリーダー・ライターの周波数別比率
(金額:2018年)
タカヤ株式会社
豊富なラインナップと的確な技術サポートを強みに事業拡大へ
2018年10月からUHF帯用のリーダー・ライターを販売開始
(図)タカヤのUHF帯定置式RFIDリーダー・ライター
(表)タカヤのRFID事業の売上推移
Invengo Information Technology Co.,Ltd.
中国RFID産業のリーディングカンパニー、
高い技術力を持って国家標準策定のメンバーとして参加
2018年における売上は5億人民元、2019年は前年比110%成長を見込む
(表)Invengo Information Technologyの売上推移
(図)Invengo Information Technologyの利用分野別比率(数量:2018年)
現状は鉄道、図書館、小売(アパレル、無人コンビニ)が中心
新規分野としてはアパレルクリーニングの市場を狙う
(図)Invengo Information Technologyの無人コンビニの様子
(表)Invengo Information Technologyの生産拠点
XIAMEN XINDECO IOT TECHNOLOGY LTD.
中国内でトップ3の生産能力を保有、2022年まで年間30~50億枚まで増強
全出荷量のうち7割がアパレル向け、
2019年は、前年対比130~140%程度の成長を見込む
(図)XIAMEN XINDECO IOT TECHNOLOGY の利用先別割合(金額:2018年)
(図)XIAMEN XINDECO IOT TECHNOLOGY の売上比率(2018年)
(表)XIAMEN XINDECO IOT TECHNOLOGY の生産拠点一覧
TATWAH SMARTECH CO.,LTD
中国のスマートカード市場のトップメーカー
2018年、国有資産委員会に買収され国営企業へと変貌
2015年から事業戦略を変え、注力事業をRFIDから衛星通信業へ
(表)TATWAH SMARTECH CO.,LTDの売上推移
(図)TATWAH SMARTECH CO.,LTDの利用先別構成比(金額:2018年)
ShenZhen Genvict Technologies Co.,Ltd
中国の高速道路ETC関連産業のトップメーカー
RFID事業はリーダー・ライターとソリューション提供が中心
(表)ShenZhen Genvict Technologies Co.,Ltdの売上推移
(図)ShenZhen Genvict Technologies Co.,Ltdの
リーダー・ライターのタイプ別構成比(数量:2018年)
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