今週の"ひらめき"視点
産学連携への助成制度を拡充。透明性の確保が成功の鍵
政府は、地方大学と首都圏大学との単位互換制度の導入を促すとともに、地方の特性にあわせた学部を新設することで地域経済、地域産業との連携を強化、地方の活性化につなげる。国はこれらの具体化を支援すべく新たな交付金制度を設置、2018年度予算に数十億円から100億円程度の予算を盛り込む。
また、文科省は産学連携プロジェクトの活性化をはかるべく「オープンイノベーション機構」(仮称)を新設、民間のプロ人材を確保できるよう現行教員の2倍以上の高額報酬を支払えるよう新たな助成金を設ける。2018年度は概算要求で15億円程度、旧帝国大を中心に年間2億円を5年間支給できるよう制度を整える。
地方と首都圏の交流に異論はないし、産学の連携強化は産学双方の国際競争力を高めるうえでも有効である。とは言え、文科省は既に「官民イノベーションプログラム」による国立大学向けのファンドを運営しているし、産学連携については経産省をはじめとする公的セクターから個々の大学が独自に運営する助成事業に至るまで多種多様な支援制度が用意されている。もちろん、それぞれの制度にはそれぞれの目的と背景があり、また、多面的なサポート体制の必要性を否定するものではない。
しかし、公的資金が投入される以上、個々のプロジェクトの成果検証は必須であり、加えて、制度そのものの意義と役割も常に再評価されなければならない。
形骸化したミッション、既得権化された制度、硬直化した制度体系から自由な発想にもとづく大胆な投資など期待できない。そうならないためにも、まずは現行制度全体の洗い替え、そして、情報公開の徹底をお願いしたい。
今週の”ひらめき”視点 08.20 – 08.24
代表取締役社長 水越 孝