2011年版 リチウムイオン電池市場の現状と将来展望
自動車向けリチウムイオン電池市場が立ち上がりつつあります。ただ、EV市場は期待された程の需要拡大は見込み難く、急速な市場拡大は期待し難い状況です。一方、東日本大震災を契機に、電力不足、節電対策、電力使用の効率化の一端としてリチウムイオン電池を採用したエネルギー貯蔵システム(ESS)に急速に注目が集まっております。本調査レポートでは、全体市場規模のほか、アプリケーション別市場規模、海外リチウムイオン電池メーカー動向を含む国・地域別市場シェアを算出。車載用、ESS用、スマートフォン、タブレットPC向けなどのハイエンド小型用途向けに焦点を当て、アプリケーション別に容量・出力・サイクル・カレンダー寿命・コストといった5つの主要電池仕様に関する開発動向を取り上げました。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
■本資料のポイント
- 注目アプリであるスマートフォン、タブレットPCなどのハイエンド小型向け、車載向け、ESS向けに焦点を当て、LIB製品動向を明らかに。
- 主要海外リチウムイオン電池メーカーの動向を明らかに。
- リチウムイオン電池メーカーの国・地域別シェアを掲載。
・リチウムイオン電池世界市場規模(2010年度~2015年度)金額ベース(円)
-メーカーシェア(2010年度~2011年度)金額ベース(円)
・国・地域別リチウムイオン電池世界市場規模推移(2010年度~2015年度)
-日本、韓国、中国、その他(金額ベース) - アプリケーション別リチウムイオン電池世界市場規模推移(2010年度~2015年度)
-小型民生用:2010年度~2015年度、金額ベース(円)、数量ベース(個)、メーカーシェア(個数ベース)
:ポータブル主要機器(携帯電話、スマートフォン、ノートPC、Net Book、タブレット端末別)世界市場規模推移
(2010年度~2015年度)数量ベース(個)
-産業用:2010年度~2015年度、金額ベース(円)、容量ベース(MWh)
-車載用:2010年度~2015年度、金額ベース(円)、容量ベース(MWh)*EV、PHEV、HEV別
:EV、PHEV、HEV世界市場規模推移(2010年度~2015年度)台数ベース - 本年版では、蓄電用途向けに焦点を当て、アプリケーション別に容量・出力・サイクル・カレンダー寿命・コストといった5つの主要電池仕様に関する開発動向を掲載
■本資料の概要
第一章 総論
第二章 リチウムイオン電池市場の現状と将来展望
第三章 アプリケーション別市場動向
第四章 海外のリチウムイオン電池市場動向
第五章 リチウムイオン電池メーカーの動向と戦略
■掲載内容
第一章 総論
「期待外れ」「想定外」が促す再度の構造変化
「セルオンリー」から「組み合わせ」と「システム提案」
「技術」プラス「ビジネスモデル」へ
第二章 リチウムイオン電池市場の現状と将来展望
産業用、車載用市場の立ち上がりで拡大基調へ突入
2011年度 LIB世界市場規模は1兆1,693億円に
2015年度は2兆8,834億円市場に拡大
金額ベースでは三洋電機がシェアトップを維持
サムスンSDI、LG化学がそれぞれ3位、4位に浮上
低価格化競争が継続、スマホ、タブPC向け等、高機能化に乗り遅れた中国勢
中堅メーカーとして浮上するGSユアサ、A123Sytems
第三章 アプリケーション別市場動向
1.小型民生ポータブル機器向け
小型民生ポータブル機器市場ではスマートフォン、タブレット端末の存在感高まる
アプリケーション市場の成長を受け、LIB市場も2010年以降堅調に推移
数量ベースシェアではついにSamsung SDIが2011年度トップシェアに躍り出る
スマートフォンでは「高機能化、多機能化」に加え「薄型化、軽量化、小型化」の端末トレンド
LIBには「高容量化」、「長寿命化(サイクル特性向上)」ニーズがより高まる傾向
ポリマータイプLIBが形状自由度の高さを強みに
スマートフォンの他、タブレット端末、ウルトラブックでの採用を拡大
スマートフォン向けでは高容量化に加え
新たな充電ソリューションに対応するLIB開発を先行させることも有効手段の1つ
大量生産のビジネスに見切りをつけ、
競争のステージを自ら一歩上がる決断も長期的には有意の策
2.蓄電、産業機器向け
震災以降、日本国内で蓄電需要が高まる
(1)定置用
①UPSなど非常用蓄電システム用途
非常用蓄電システム向けはカレンダー寿命の長寿命化が求められる
②ピークシフト・ピークカット用途
系統電力のピークシフト・ピークカット、太陽光発電パネルとの連携ではサイクル特性向上
加えてグリッドへの電力平準化には急速充放電、高出力化への対応がポイントに
③グリッド用途
民間企業や住宅向けには依然高い価格の敷居、部材の共通化等でコスト低減を図る動きも
セルレベルでの安全性の確立も普及拡大に向けた重要検討事項
(2)移動体用
建機等ではハイブリッド化でLIB適用が進むも、イニシャルコストの高さが課題
LIBだからこそ実現可能な搭載アプリケーションの追及も選択肢の1つ
多様な顧客ニーズに対応し得るシステム提案力が産業用LIB事業のカギ
2015年度の産業用LIB市場は、2011年度比約100倍の7,000MWhレベルまで成長
3.車載向け
EVに加えPHEVの存在感高まる、環境車に占める割合は2015年で3割に迫る勢いに
車載向けLIB市場規模は2011年度で1,000億円に迫る勢い
2015年には1兆円手前までの成長が予測される
実績は日系、受注は韓国先行、中国・欧米も準備が進む
自動車メーカーによって異なる環境車戦略
LIBにはEV向けに「高容量化」、HEV向けに「高出力化」が求められる
PHEV、HEV向けが直近におけるより現実的な解
EVはターゲットを絞ったマーケが必須
産業向けなど車載向け以外の用途展開、LIB事業の多角化も有効手段
第四章 海外のリチウムイオン電池市場動向
1.国・地域別LIB市場規模
産業用、車載用で巻き返しを図る日本
追い上げる韓国、伸び悩む中国
2.韓国
「産・官・学」一体となった国家プロジェクト
目指すは性能向上のみならず、シェア獲得
セル、素材を含め世界一へ「二次電池競争力法案」
ESSに特化したR&Dプロジェクト
マグネシウム電池、Li金属-空気電池なども選択肢に
WPM:性能、価格、シェアの三位一体R&D
3.中国
12次5ヶ年計画で「新エネルギー自動車」の育成・発展計画
100%電気駆動に向け「三縦三横」政策
進展する「10都市1,000台」計画
4.米国
川上から川下まで幅広いR&D体制
最先端、基礎化学に対する手厚い助成
短期から中長期に段階的かつ、基礎からアプリまで階層的
開発リスクの高いBeyond LIBにも積極的
5.欧州
電気自動車の普及を念頭において蓄電開発
「欧州グリーンカーイニシアチブ」でマイルストーン提示
ドイツ:2020年までにEV100万台普及目標 LIB開発にも積極投資
フランス:AutolibでEV実証実験
第五章 リチウムイオン電池メーカーの動向と戦略
三洋電機株式会社
民生機器向けLIBのポジションを押さえつつ
次なるステージへのシフトを推進
「モバイル」、「HEV」、「大型蓄電」の三本柱
角形、ポリマータイプの新セルは大容量ニーズを受けて大型化の傾向
加西事業所は4ライン体制に増強、新設ラインは20Ah以上の大型蓄電池向け
スマートフォン、ノートPC向け等を牽引役に、2011年度も引き続き出荷増の見込み
2012年以降で蓄電用等、中大型向けの出荷増が予測される
ソニー株式会社
足元のターゲットはスマートフォン、タブレット、蓄電
目指すは円筒形、ポリマータイプで培ったノウハウと蓄電のオリビン型LFPのシナジー
長期では車載向けを視野にターゲット領域の拡大を図る
正極材にリン酸鉄リチウムを採用した蓄電用LIB製品3機種を上市
業務用から家庭用まで幅広いニーズをカバー
モバイル機器向けには負極にスズ系材料を採用し、容量25%増の「Nexelion」を開発
2012年度には6,900万セル/月の生産能力体制を計画
2011年度出荷数量は震災の影響等を要因に前年度を下回る見込み
ポリマータイプの出荷比率が上昇傾向、
顧客の商品コンセプトに合致したLIB提案でスマートフォン、タブレット向けの出荷を伸ばす
パナソニック株式会社
グループシナジーを活かした新体制で首位奪還を目指す
2012年1月より新体制スタート、デバイス事業分野の中に新エナジー社を設立
18650を組み合わせた業務用LIB蓄電システムの取扱いを2011年8月より開始
コスト構造の抜本的改革を図るべく、国内生産拠点の再編、中国生産を5割までシフト
ノートPC向け需要減少等を背景に2011年度出荷数量は前年度に届かない見込み
車載向けLIBの供給が2012年度から本格化の見通し
日立マクセルエナジー株式会社(日立製作所)
日立グループをLIBのコア技術からサポート
引き続き民生機器向けをターゲットに事業拡大を図る
顧客ニーズへの早期対応を実現すべく、日立グループは事業体制を再編成
「ナノシリコン複合体」負極の角形タイプがスマートフォンの高容量ニーズに合致
電極生産を担う京都事業所は需要動向に応じて更なる能力増強の予定
角形ではスマートフォンを牽引役に2011年度も引き続き出荷増の見込み
円筒形では電動工具向けが堅調な伸びを見せる
日本電気株式会社/NECエナジーデバイス株式会社
車載用LIB向けを軸に、蓄電システムの展開を加速
蓄電システム向け実証実験への参画、海外メーカーとの提携を推進
家庭用蓄電システムを2011年7月に上市
AESCの製造技術応用等で競合他社を圧倒するコストパフォーマンス実現
従来比2倍以上の寿命を実現する添加剤:有機硫黄化合物を新たに開発
国内は相模原事業所に電極生産を集約、
2012年度末までに10,000MWhの生産能力確保を計画
震災の影響等で2011年度は前年度比微増の見込み
中長期的には蓄電向けの出荷比率向上が予測
株式会社ジーエス・ユアサ コーポレーション
車載向けを主軸にLIB事業を多角化
車載向けでは国内外で供給先拡大を推進
産業機器向けの展開強化と組み合わせ、LIB事業の早期黒字化を目指す
急速充電に対応可能なLIBセル「LIM50E」を採用したUPS3機種を新たにリリース
航空機向けでは米ボーイングの次世代中型旅客機に「LVP」シリーズが採用
単独調達から複数購買へ、コスト競争力の更なる強化を目指し
部材メーカーとの共同開発も視野に
材料開発では次世代正極材の開発に着手、HEV向けに5年内の量産化を目指す
新工場の稼動を受け、生産能力計は2012年に年間67,780台分(600万セル)を予定
2011年度の出荷数量は前年度比212.0%の見込み
車載向けが9割以上を占めるも、産業機器向けの採用も進む
日立ビークルエナジー株式会社
HEV、PHEV向けLIBを推進
米GM社のHEV向けに第三世代LIBの生産を開始
2011年11月にはPHEV向け新セルを発表、2013年より量産開始の計画
株式会社東芝
EVでの採用を獲得、SCiBの更なる用途拡大を目指す
次なるステージを見据え「社会インフラシステム社」を発足
安全性や長寿命、低温特性や急速充電への対応などに高評価
三菱自動車「i-MiEV M」、「MINICAB MiVE」への採用を獲得
蓄電製品ではSCiBを搭載した無瞬断パワーユニットを2011年7月にリリース
柏崎工場の稼動により生産能力は従来の4倍に、2012年度以降で更なる能力増強も予定
供給アプリケーションの拡大で出荷開始以降、右肩上がりが続く
オートモーティブエナジーサプライ株式会社
日産「LEAF」向けの本格供給を開始
2015年頃を見据えた次世代EVモデルのセル開発も推進
日産自動車ではEV用充電システムや冷凍車等で
車載用LIBリサイクルプランの取組みが進む
プライムアースEVエナジー株式会社
主力のニッケル水素に続き、LIBの存在感高まる
2012年一般発売予定のトヨタPHEV向けにLIB本格量産ラインを設置
新神戸電機株式会社
総合蓄電システムメーカーの強みを活かし、LIB事業を本格化
4種類の蓄電デバイスを用いて顧客ニーズに合致する最適提案を推進
海外を含めたスマートグリッド、EMSの実証実験にも参画
角形セルでは2011年度末を目処に5C放電対応の50Ah、100Ah品の開発が完了予定
LIB事業の本格化を受け、製品の更なる改良を目的とする材料メーカーとの協業も視野に
需要動向に応じセル生産の能力を1万セル/月まで引き上げ予定、
2015年までには5万セル/月体制も視野に
2012年度は既存アプリケーションに加え、携帯電話基地局や産業用の蓄電需要が牽引役に
2011年度比で6~7倍のLIB売上達成を目指す
三菱重工業株式会社
エネルギーの将来を見据えた布石、産業向けLIBを拡大
ターゲットは産業機器向け、定置用LIB
産業用車両の販売ネットワーク、発電プラントの販売実績に強み
国内外においてスマートコミュニティや電気バスに関する実証プロジェクトに参加
「ラック型蓄電システム」、「コンテナ型蓄電システム」を新たに発表
蓄電ソリューションの充実で住宅から系統電力まで幅広いニーズをカバー
長崎造船所での量産化実証工場を経て、2012年以降での本格量産用の新工場建設を検討中
系統電力、自然エネルギーとLIBの組合せでは海外市場での展開を有望視
エリーパワー株式会社
国内需要に応える蓄電システムを展開
「安全性」の強みに加え、本格量産開始によるコスト低減も視野に
新セルでエネルギー密度、使用可能温度を大幅に向上
2011年8月には第三者試験・認証機関による国際安全認証を大型蓄電池として世界初取得
蓄電システム「パワーイレ」の家庭用システムを新たに展開
2012年稼動予定の新工場ではラインのオートメーション化を推進
量産効果も含め、製造コストを従来の1/2~1/3に引き下げる
エナックス株式会社
産業向けにマーケットセクターを絞り
幅広い領域をカバー可能な電池ソリューションでの展開に注力
今後の事業成長に向けパック事業を強化
社内に有する周辺技術の活用で多様な顧客ニーズに対応
部材メーカーとの関係強化で材料開発により踏み込んでいくことも
価格競争力を高める有効手段の1つ
2011年度内に国内では中部事業所、海外では中国・上海工場が新たに稼動予定
2010年度以降、売上高は回復傾向、2011年度は2008年度を上回る見込み
株式会社IHI
中大型LIB市場向け標準モジュールを2012年より量産予定
A123社との協業関係強化で、LIB事業の展開を加速
LIBモジュール「MonoBlock」を標準ラインナップ
2011年度よりパイロットライン稼動、2012年度からの本格量産は年産1,000個体制を予定
2010年度、2011年度のサンプル出荷を経て、
2012年度は車両向けの採用拡大を視野に入れた出荷を開始予定
サムスンSDI株式会社(SAMSUNG SDI Co., Ltd.)/(SB LiMotive Co. Ltd)
小型民生用注力路線に変更なし
哲学は全方位マーケ
GALAXY需要の恩恵も受け、小型LIB数量ベースシェア1位
2011年度売上・出荷共に上方修正も
主要四部材の韓国産化が進む
正極材はNCMが有望
2013年頃の本格立ち上がりに向け着々と準備
EVを念頭に置きつつ、PHEV、HEV向けから本格化
株式会社LG化学(LG Chem, Ltd.)
GM、現代向け車載用LIB出荷が本格化
ラミネートタイプはタブレットPC向けに大型化へ
2011年はLIB売上が2兆ウォンの大台に
車載用LIB 現状のキャパはフル稼働
タブレット向けは「薄型化」「大容量化」「大面積化」が一つのトレンド
部材の内製化は事業規模とのバランスで検討
SKイノベーション株式会社(SK Innovation Co., Ltd.)
車載向けに特化して市場参入
2-3年後の本格量産に向け、製品開発・受注活動に注力
現状はサンプル出荷がメイン
2012年末には600MWhの生産能力へ
正極材はLMOとNMCのハイブリッド
愛敬油化とハードカーボンを共同開発
天津力神电池股份有限公司(Tianjin Lishen Battery Co., Ltd.)
世界トップ5、シェア10%を目標に積極投資
多種多様な製品ラインナップが特長
売上の80%を占める大手海外顧客が中心
国家研究機関をバックにR&Dも充実
価格競争力だけに頼らない車載用LIB
A123 Systems, Inc.
LIB非主要国で唯一の量産メーカー
車載用、ESS向けに本格出荷開始
2011年Q2より出荷数量増加
通期でも売上、出荷共に前年比倍増以上へ
ESS向けではNAS電池代替を狙う
車載用は商用車向けに注力
先行設備投資は必要不可欠
実効容量の高さで勝負
Li-Tec Battery GmbH
2012年の本格出荷に向け生産開発推進中
2013年には300万セルの生産能力へ
独自ブランドのセパレーターに強み
セラミックコーティングで安全性確保、高容量化を達成
batScap
Autolivが試金石
2013年までに3,500台分を供給予定
独自のリチウムイオンメタルポリマー電池
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