2012年版 リチウムイオン電池部材市場の現状と将来展望~正極材編~
リチウムイオン電池は、小型民生向けから自動車、電動工具、電動自転車/バイク、産業機器、スマートグリッド関連、UPS等、中・大型向け需要が立ち上がりつつあります。新規参入企業も増加しており、注目の市場となっております。本調査レポートでは、リチウムイオン電池主要四部材のうち、正極材市場を取り上げてレポートいたしました。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:国内および韓国、中国の有力リチウムイオン電池(以下LIB)正極材料メーカー22社の現在の動向と今後の事業施策を徹底調査し、更に周辺調査を加えることで世界LIB正極材料市場の現状と今後の動向を把握することを目的とする(なお、レポート中では正極材料=正極材とする)。
調査対象:国内正極材関連メーカー(16社)、中国正極材関連メーカー(2社)、韓国正極材関連メーカー(2社)、欧州正極材関連メーカー(2社)
調査方法:直接面接取材をベースに、文献調査を併用。
調査期間:2012年1月~2012年6月
■本資料のポイント
- リチウムイオン電池正極材市場規模を算出。(2008~2014年予測)
- 種類別(LCO、LMO、NCA、NMC、LFP)正極材市場規模を算出。(2008~2014年予測)
- メーカーシェアを算出。(金額、数量ベース。2008~2011年実績見込、2012年予測)
- 技術動向を掲載。(今後の研究開発の方向性、次世代正極材動向など)
- 参入メーカーの戦略を分析。
- 海外主要メーカー動向。
■本資料の概要
第一章 リチウムイオン電池正極材市場の展望
第二章 リチウムイオン電池市場の現状と将来展望
第三章 リチウムイオン電池正極材市場
第四章 リチウムイオン電池正極材メーカーの動向と戦略
■掲載内容
第一章 リチウムイオン電池正極材市場の展望
複数部材の提案、自動車メーカーとの協業、M&A、事業提携など
戦略の選択が迫られる
第二章 リチウムイオン電池市場の現状と将来展望
産業用、車載用市場の立ち上がりで拡大基調へ突入
1.概要
2011年度 LIB世界市場規模は1兆1,693億円に
2015年度は2兆8,834億円市場に拡大
金額ベースでは三洋電機がシェアトップを維持
サムスンSDI、LG化学がそれぞれ3位、4位に浮上
低価格化競争が継続、スマホ、タブPC向け等、高機能化に乗り遅れた中国勢
中堅メーカーとして浮上するGSユアサ、A123Sytems
2.小型民生ポータブル機器向け
アプリケーション市場の成長を受け、LIB市場も2010年以降堅調に推移
数量ベースシェアではついにSamsung SDIが2011年度トップシェアに躍り出る
3.蓄電、産業機器向け
2015年度の産業用LIB市場は、2011年度比約100倍の7,000MWhレベルまで成長
4.車載向け
車載向けLIB市場規模は2011年度で1,000億円に迫る勢い
2015年には1兆円手前までの成長が予測される
実績は日系、受注は韓国先行、中国・欧米も準備が進む
第三章 リチウムイオン電池正極材市場
1.リチウムイオン電池正極材市場全体動向
続く市場成長、高まるNCMとLMOの存在感
牽引役は車載用LIB、混沌とする市場環境を背景に設備投資判断は困難な状況に
メーカーシェアでは日亜化学工業が首位をキープ
2011年度でユミコアとL&Fが同2位に
シェア高まる中国と韓国、日本は2011年度で国別シェア40%台
2.コバルト酸リチウム(LCO)
スマートフォン、タブレット端末向けで「LCO回帰」の動き
長期的には再び価格競争激化の流れ
生き残り策は中国への積極進出、ニッチ市場への特化
日亜化学工業にL&F新材料が追いつく
3.三元系正極材(NCM)
民生ポータブル機器向けをメインに車載用でも採用が進む
今後の戦略は新興前駆体メーカーとの提携、MAによる事業拡大も視野に
韓国に拠点を置く材料メーカーが1位、2位を獲得
4.マンガン酸リチウム(LMO)
EV市場の立ち上がり、ラインナップ拡充がLMO市場の成長エンジンに
「セカンドベンダー」の登場、懸念されるEV市場の成長率低下
低コスト化を継続しつつ、収益性の確保・改善を平行させる取り組みが生き残りポイント
主要供給先の出荷増を受け、日本電工がトップシェアを維持
5.ニッケル酸リチウム(NCA)
車載用LIB向けが牽引役、2011年度、2012年度ともに前年度を上回る出荷数量に
引き続き車載向けの存在感高まる
他部材との組合せ、外部との協業を視野に入れた提案力、コスト競争力の強化が供給拡大のカギ
メーカーシェアも車載向けが牽引、後発メーカーは2015年以降を見据え提案を推進中
6.リン酸鉄リチウム(LFP)
蓄電用、車載用LIBで採用製品の上市が進む
サブライセンス発行による今後の市場浸透にも期待
多くの課題を抱え立ち上がりが遅れる中国EV市場、LFP市場も低迷状況に
各社がセミパイロットから工業生産規模の生産体制にシフト
蓄電用、車載用のそれぞれに対応可能なラインナップの拡充がリスク回避に繋がる
急速充放電ニーズを捉え、民生ポータブル機器向けの提案も有意の策
第四章 リチウムイオン電池正極材メーカーの動向と戦略
Umicore N.V
基盤は韓国、日本への新規参入で更なる成長へ
本部機能を韓国へ移転 迅速な意思決定
市場の成長以上の伸びを享受
長期的にはNCM比率増加
2012年以降、韓国の増設、日本の新設備活用が成長への鍵
LCOは高密度、高電圧品
NCMではハイニッケル
株式会社L&F新素材
韓国セルメーカーの需要拡大の恩恵受ける
継続する高い成長率
生産能力12,000t/年へ
開発方向は高容量・高電圧
日本電工株式会社
車載用LIB向け正極材の世界トップメーカー
中大型LIBをターゲットにマンガン酸リチウムの更なる可能性追求を推進
車載用LIB向けLMOを牽引役に新素材事業が順調に拡大
LMOトップクラスの生産能力6,700t/年に加え、今後更なる大幅増強を計画
EV向けLIBを牽引役に2011年度は前年度比250.0%、引き続き大幅出荷増の見込み
車載用LIB向けに引き続き注力しつつ、蓄積したノウハウを活かし蓄電分野への展開も視野に
湖南瑞翔新材料股份有限公司
輸出比率は50%超へ
世界TOP3を目指す
今後はNCM、LMO中心に
足元は民生小型向けがメイン 今後、電動自転車・バイク向けが増加へ
価格競争を避け、ハイグレードを中心に開発
株式会社三徳
ニッチ分野に特化した正極材事業を推進
狙うはスマートフォン向けに次ぐ、新たなハイエンドアプリ向け
生産能力の増強ではなく
顧客ニーズを先取りする材料開発へ注力
2011年度は前年度比横ばいの出荷見込み、価格競争のステージを避け、新たな種蒔きへシフト
AGCセイミケミカル株式会社
新たに中国拠点を設け、海外展開を積極化
国内生産能力を越える中国拠点を新設
2011年度は前年度比微減となるも、2012年度は中国拠点の稼動により大幅増の予測
戸田工業株式会社
全方位戦略でグローバル化を加速
製品ラインナップ、生産・販売拠点が拡充
LIB市場の成長を材料面からサポート
2012年度には国内外で新規生産ラインが稼動予定
湿式法によるLMOを始め、各種正極材で顧客トレンドに合致する材料開発が進む
2011年度は前年度比約120%の出荷数量見込み、NCAとLMOが牽引役
日本化学工業株式会社
量産品向けと高付加価値品向けの両輪を目指す
NCMは定置用LIB向け等で一部採用実績有り、NiリッチNCM開発も推進
前年度は震災の影響により出荷数量は微減
2012年度はスマートフォン向け比率上昇が後押しとなり出荷増へ
株式会社田中化学研究所
小型機器向けの供給拡大に注力しつつ
車載向けをターゲットに更なる飛躍を目指す
ハイニッケルNCMと価格競争力の強化を目指したR&Dに注力
車載向けLIBへの供給を視野に4,000t/年の新工場が2011年3月より稼動
2011年度は為替、および新興国の材料メーカーとの競合状況が出荷に影響
本荘ケミカル株式会社
リチウムの知見を活かした事業展開を推進
高純度炭酸リチウム製造合弁会社を新たに設立
新たに負極材の開発も推進、正極材との組み合わせ提案の可能性も
市況変化を要因に2011年度は前年度に届かず
2012年度以降はLCO以外の材料で出荷拡大を予測
三菱化学株式会社
車載向けをメインターゲットに、独自製法のNCMを幅広く展開
他の主要四部材とのシナジーを活かした提案も推進
組成比=45:45:10、高密度グレード・高出力グレードのNCMを標準ラインナップ
2015年までに国内で15,000t/年の生産体制を計画
民生ポータブル機器用LIB向けに2011年度は前年度比微増
三井金属鉱業株式会社
車載用、産業用LIBへの本格供給開始に向け、生産能力を大幅増強
中大型LIB市場の今後の拡大を視野に、2012年内に12,000t/年の新工場が稼動予定
足元ではLMOの車載向け、産業向け展開に注力
中長期的な視点から金属シリコン系負極との組合せによる次世代正極材の開発も進める
2012年度以降は車載向け、産業用向け供給の拡大で大幅増の予測
株式会社エコプロ(Ecopro Co., Ltd.)
韓国唯一の前駆体量産メーカー
メインは正極材としてのビジネス
NCM前駆体生産能力は2013年に最大8,000tへ
更なる成長には韓国依存からの脱却がキー
NCMはハイニッケルへ
一貫生産、中国生産による価格競争力
日本化学産業株式会社
足元はNCAをメインに顧客ニーズへの対応を推進
福島工場は東日本大震災の影響を受けるも、2011年5月より電池材料の生産を再開
2011年度は東日本大震災、および市況の変化を背景に前年度に届かない出荷数量となる見込み
クラリアントジャパン株式会社
2012年 大型商業プラント2,500トン稼働、今後さらなる拡大の方向
高容量、長寿命を実現する「Life Power®P2」
サブライセンス契約、LG化学との合弁事業等でLFPの市場浸透を推進
2012年1月より工業生産規模(2,500t/年)でプラント稼動開始
天津斯特蘭能源科技有限公司
中国LFPメーカー大手の一つ
NCM、LMPへ転換
LMPで電動自転車、バイク市場を攻略
住友大阪セメント株式会社
ベトナムを生産拠点にLFP事業を本格化
2012年秋より2,000t/年の量産工場が稼動予定
材料の品質面でセルの製造コストダウンをサポート
ナノ粒子技術のノウハウを活かし、高品質で安定供給可能なLFP製造を実現
LMPは量産プロセス検討のステージへ移行、次世代オリビン系材料等の開発にも着手
大手自動車メーカーの採用を獲得、まずは品質面の優位性で日系メーカーを主要顧客に
JFEミネラル株式会社
LIBの高容量化ニーズに多様なNCAを提案
耐電池膨れ性、熱安定性に優れるNCAを展開
需要動向に応じた生産能力増強を継続
材料特性が評価され、日系顧客をメインに順調な出荷推移
三井造船株式会社
ESSなど産業用LIB向けをターゲットにLFP事業を本格開始
M&Tオリビンを戸田工業と共同設立
2012年度中に2,100t/年の本格量産プラントが国内にて稼動予定
EV,ESSをターゲットにハンドリング性を改良した「MCC品」で顧客のコストダウンに寄与
2012年度まではサンプル供給がメイン
2013年度以降は量産プラント稼動で出荷増に期待
JX日鉱日石金属株式会社
車載用をメインターゲットにNCMの本格量産スタート
2012年4月に5,000t/年の設備を整備、本格量産を開始予定
炭酸リチウムも回収可能な国内唯一のLIBリサイクルを事業化に向けて技術開発中
2011年度まではサンプル出荷がメイン、2012年度は本格供給開始で大幅増加に期待
住友化学株式会社
ユーザーニーズに応じて、電極化技術との組合せ提案も推進
高電圧化対応、サイクル特性に強みを有するコバルトフリー正極材「エナヴィオ」を展開
車載向けをメインにサンプル活動を活発化
CSエナジーマテアリアルズ株式会社
車載用LIB向けをメインターゲットの1つに
アジア市場での基盤確立を目指す
チッソとドイツH.C Starckの合弁会社
2012年より国内で1,000t/年のNCA量産プラントが稼動予定
粒度制御技術、放電特性の優位性に強み
2010年度、2011年度はサンプル出荷メイン
量産プラント稼動で2012年度は出荷増の見込み
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