2013年版 光硬化樹脂市場の現状と展望~フォーミュレーターの実態と戦略~
本調査レポートはラジカル重合(硬化)型やカチオン重合(硬化)型などの重合タイプやベース樹脂などの原材料市場を捉えるのではなく、川下に位置するフォーミュレーションから塗料・コーティング剤やインク、電子材料、接着剤などのアプリケーション側にフォーカスし、光(UV)硬化樹脂の現状と展望を考察したものである。
調査資料詳細データ
■本資料のポイント
- 高価格を受け入れられる顧客の獲得と維持がビジネス価値の最大化へ
- 少量多品種、頻繁なデリバリーはもはや前提条件、
まずは特定分野でのワンストップソリューションの構築が鍵 - 製品力とラインナップの強化は必要不可欠、製法(安定性)、豊富なグレード数、
特殊品開発、効率(省力)化製品など他社にはできない強みを生み出せ - 用途にこだわった特化戦略で差別化を実現、さらなる深耕で「戦わずして勝つ」
- 生産釜の小型化やファブレス化、低コストオペレーションも課題
- 今後のビジネス拡大には横展開や海外展開がキーポイント
インキ→コーティング剤、接着剤→電子材料など親和性の高い分野へ - UVインク市場ではT&KTOKAが圧倒的なシェア
インク全体に占めるUVインクの普及率はわずか5%、まだまだ成長の余地 - 世界最大手のUV接着剤メーカーDYMAX社(米国)
800種類以上の製品数を武器に注射器やカテーテルなど医療分野でリード
■本資料の概要
第1章:光硬化樹脂市場の現状と展望
第2章:個別企業の動向と展望
■掲載内容
第1章:光硬化樹脂市場の現状と展望
1.光硬化樹脂市場の現状とビジネス領域
(表)光(UV)硬化樹脂の主な分類(種類)
(表)光(UV)硬化樹脂のビジネス領域一覧(主要参入企業別)
2.フォーミュレーターの実態と戦略
低コストオペレーションが今後の課題
今後のビジネス拡大には横展開や海外展開が必要
少量多品種(カスタマイズ)や頻繁なデリバリーはもはや前提条件、
特定分野でのワンストップソリューションの構築が鍵
(図)カスタマイズ品の開発主要プロセス
(図)T&KTOKAの三位一体体制
用途にこだわった特化戦略で差別化を実現、
さらなる深耕で「戦わずして勝つ」
(表)光(UV)硬化樹脂の採用分野と主要製品
3.光硬化樹脂関連の注目市場動向
(1)3Dプリンタ市場の概要と樹脂材料の動向
(表)当レポートにおける3Dプリンタの製品タイプと需要分野の主要カテゴリ
3Dプリンタ市場は2015年度予測で1,800台/7,700百万円
各年(2010年度~2015年度)を通して数量・金額ともにほぼ二桁以上の成長
(表)3Dプリンタの市場規模推移と予測
(図)3Dプリンタの市場規模推移と予測
一般産業分野では高精度な造形が可能なエポキシ系樹脂の評価が高い
全世界的に見ても9割以上のユーザーがエポキシ系光硬化性樹脂を採用
(表)光硬化性樹脂の一般的な特性比較
インクジェット方式の光硬化樹脂の場合で、
モデル材がkgあたり30,000円~50,000円程度
(表)3Dプリンタメーカーの機種別材料価格
(2)偏光版市場の概要とUV接着の動向
(表)LCDタイプ別偏光版世界生産量・販売金額の推移
(表)TV用LCDパネルと偏光板の価格推移
日東電工、住友化学、LG化学の上位3社がUV接着への対応進める
(表)偏光板の材料と製法変化による材料の価格比較イメージ
第2章:個別企業の動向と展望
日立化成株式会社
独自技術による「エステル交換反応法」で製造
不純物の混入が少なく、高品質で安定性の高い製品供給を実現
UV樹脂の展開領域はベース樹脂、反応性希釈剤、フォーミュレーションから
塗料・コーティング剤、電子材料、接着剤
標準品(カタログ品)だけでも50種類以上を用意
「ファンクリルFA-500番台」シリーズは脂環式構造が特長
国内と海外で4拠点の生産体制を確立
タブレット端末やスマートフォンの需要拡大がけん引役
大成ファインケミカル株式会社
ハードコート向け中間材料を主力に
タッチパネルや液晶パネル向けが需要を牽引
UV樹脂ビジネスの展開領域はベース樹脂と添加剤・その他
塗料・コーティング剤と電子材料分野に中間材料として納品
「8KXシリーズ」、「8UXシリーズ」、「8BRシリーズ」の3シリーズを展開
1バッチで100リットル~1,000リットルクラスのカスタマイズ品にも対応
塗料・コーティング用途が約3割、電子材料用途が約7割(2012年見込)
株式会社幕張フォトケミクス
光硬化樹脂のカスタマイズに特化した研究開発型企業
10年以上の歴史と累計数百件の開発実績を誇る
最近は大手企業からの「委託研究開発」が増加
費用対効果を試算することでユーザーの開発リスクを軽減
生産とデリバリーはすべて外部の専門工場への委託
サンプル品と少量バッチのみ自社ラボで生産
BASFジャパン株式会社
紫外線硬化と熱硬化のハイブリッドシステムを採用
自動車やオートバイなど得意分野に特化することが存在価値を高める
日本油脂時代の1990年頃から紫外線硬化型塗料「ビームコート」を展開開始
「バーベキュー方式」と呼ばれる回転塗装・回転硬化システムを採用
戸塚工場には本社機能と研究開発部門、生産部門、各技術部門、営業部門が集約
「ビームコート」は国内主要オートバイメーカーが採用
東洋合成工業株式会社
ナノインプリント専用樹脂を国内で初めて開発
共同研究を持ちかける形でプッシュ型の提案営業にも積極的に取り組む
UV硬化樹脂ビジネスの展開領域は電子材料
試験研究用のUVナノインプリント用樹脂「PAK-01」、「PAK-02」を展開
初期検討を目的とする企業向けにも「実験キット」をラインナップ
販売量推移は各年を通して4kg程度
3年~4年後には年間トンオーダーレベルにまで大きく成長する見込み
株式会社ティーアンドケイ東華
多品種、少量生産、短納期対応が最大の強み
「技術」、「営業」、「生産」の三位一体体制を構築
1977年からUVインキの製造販売を開始、
準備や開発期間などを含めると40年以上の歴史を誇る老舗メーカー
「UV161」は乾燥性、密着性のバランスの取れた特性を持つ
同一カテゴリにおけるユーザーシェアで60%超える
全国10ヶ所のサービス工場を基点に顧客第一のサービスを提供
営業員が製品デリバリーも行うことで顧客接点機会を増やす
株式会社トクシキ
高度な合成、配合(ハイブリッド)、分散(微粒子化)が技術基盤
カスタマイズ化にも積極的に対応
UV樹脂のビジネス展開領域はベース樹脂、
フォーミュレーションから塗料・コーティング剤
標準品に加え、ユーザーの用途や要望に合わせた幅広い材料設計に対応
エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
多種多様な光通信部品の接着剤開発で培った
屈折率のコントロールにアドバンテージ
NTT研究所の光学接着剤技術をベースに1990年より本格販売開始
光通信用部品メーカーを中心に累計100社以上のユーザーを抱える
これまでのカスタマイズ品は1,000種類以上
屈折率整合、精密固定、耐熱高弾性、低透湿率などのニーズに対応
2013年度の紫外線硬化接着剤の販売量は100kg(前年度比103.3%)を予測
今後は光学レンズや光学部品といった新しいアプリケーション向けにも注力
株式会社ジーシー
創業90年以上を誇る歯科器材メーカー
1989年光重合型コンポジットレジンを発売
2012年度連結売上高は約750億円(経常利益は70数億円以上)
光硬化型製品売上は20億円~30億円を記録
コンポジットレジン、ボンディング材、コーティング材、グラスアイオノマーの
4カテゴリ製品に加え、LED可視光照射器もラインナップ
光硬化樹脂製品の生産単位は1バッチ20kg~30kg程度
コンポジットレジンの長期耐久性や接着力、強度向上などが研究開発テーマ
オリジン電気株式会社
1978年コンデンサ向け絶縁用樹脂(オリジキャストUV)が原点
光硬化型塗料はケミトロニクス事業の代表的製品に成長
1996年頃から携帯電話などに採用、本格的な展開が始まり、
自動車のホイールキャップ、タッチパネルなどに拡大
「UVコートM-35」は携帯電話などに対応した塗膜性能を持つ
蒸着用2コート塗料「UVコートVP-2U,2T(2C用)」はミドルコートを省略可能
情報家電は作業性(塗布と乾燥)、光沢(平滑)性、耐久性(密着性)が3大トレンド
2012年度の生産量は国内・海外の総合計で800~900t程度
ユーヴィックス株式会社
世界最大手のUV硬化型接着剤メーカーである
DYMAX社製品をラインアップ、国内でも医療分野に強みを持つ
光ファイバー事業で成功を収めた東証一部上場企業を売却し、
紫外線(UV)に特化した専門企業をスタート
接着剤のグレード数は800種類以上、カテーテル、注射針などの医療用に加え、
レンズ、光ファイバー結合、プリント基板などの一般用もラインナップ
同社が取り扱うDYMAX社の接着剤は「ISO10993」(医療用具の生物学的評価)に認定
接着剤そのものに着色剤などを配合、硬化していく段階で徐々に透明になるよう工夫
2012年度の売上は1,000百万円(前年度比285.7%)を見込む
UV硬化型接着剤の販売量は2012年度(見込)6,000kg、2013年度は12,000kgを予測
株式会社コートテック
UV塗料・コーティング剤からUV照射器までを手掛けるファブレスメーカー
製品の企画や設計・研究に特化することでユーザーニーズに柔軟対応
UV塗料・コーティング剤は現在300種類以上をラインナップ
ユーザー目的に応じたカスタム品の開発も積極展開
2012年8月期売上高は23,000万円(前年度比109.5%)を達成
UV塗料・コーティング剤の販売量は2013年度が550kg(前年度比110.0%)を予測
原料メーカーやフォーミュレーター、製造専門業者などと共同で開発
コートテックブランドの塗料・コーティング剤として上市
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