2020年版 バイオマスエネルギー市場の現状と将来展望
2012年7月のFIT制度開始以降、各地でバイオマス発電事業が相次いで計画されたことで、急激に拡大した国内のバイオマスエネルギー市場。
FIT制度見直しの動きの影響が懸念される一方、未利用資源の有効利用や新規技術の開発(微細藻類の活用)などの取り組みが進展をみせる。
本調査資料は、国内のバイオマスエネルギー市場について、種類別・利用形態別の市場動向及び有力プレイヤーの事業内容・戦略について調査・分析を行った。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:本調査資料は、国内のバイオマスエネルギー市場について、種類別・利用形態別に市場の現状を明らかにするとともに、原燃料供給、設備システム、発電・熱供給、燃料供給等の事業にブレークダウンして、バイオマスエネルギー市場の現状分析と将来展望を行なう。また、バイオマスエネルギーの各事業において、有力事業者の事業戦略を分析する。
調査対象先:バイオマス原燃料供給事業者、バイオ燃料供給事業者、バイオマス発電事業者、バイオマス設備システムメーカーなど
調査方法:直接面接取材および電話取材等による調査結果をもとに、弊社独自の手法と責任により分析を行った。また、掲載している数値等はヒアリング内容等を基に全て弊社が推定したものである。
調査期間:2019年8月~2020年1月
バイオマスエネルギー市場に関する調査を実施(2020年)
2019年度のバイオマスエネルギー市場規模は4,968億円の見込
~エネルギー源の低炭素化や未利用資源の有効利用の観点から、注目される国内のバイオマスエネルギー~
- バイオマス発電所の増加に伴い、地域によっては木質バイオマスの原燃料調達の競争が発生。
- 湿潤品と固形物の混合ごみに対応できる乾式メタン発酵技術を採用した施設の計画が埼玉県でスタート。
- 大型木質バイオマス発電所での使用量が増加している輸入燃料は、輸出国での農地開発や輸送に伴うエネルギー消費などによる環境影響を踏まえて、慎重な見方が出始める。
- バイオマス発電事業者や設備システムメーカーなどの中で「FIT制度に依存しないビジネスモデル」を模索する動きが拡大。その方向性として、「川上領域での事業展開(例:林業、素材開発)」や「川下領域での事業展開(例:熱供給、電力小売)」を検討する動きがみられる。
- バイオマス発電所で発生する熱やCO2を利用して農作物の栽培や微細藻類の培養を行う取り組みが始まる。
- 世界的な脱炭素の動きを背景に、航空業界などで注目度が高まるバイオ燃料。
- 微細藻類由来のバイオ燃料は、国内で実証プラントが竣工。
第1章:バイオマスエネルギー市場概要
第2章:バイオマスエネルギー市場の動向(電気・熱)
第3章:バイオ燃料市場の動向
第4章:バイオマスエネルギーの市場規模推移
第5章:有力事業者の取り組みと戦略分析
第6章:バイオマスエネルギー市場の将来展望
調査結果のポイント
第1章:バイオマスエネルギー市場概要
1. バイオマスエネルギーの分類
(1)バイオマスエネルギーの種類と利用形態
(2)有機廃棄物
(3)木質バイオマス・農作物非食用部
(4)各種生物油脂・廃食用油
2. 業界団体と参入事業者
(1)バイオマスエネルギーに関連する主な業界団体
(2)バイオマス原燃料供給事業者
(3)バイオマス発電事業・バイオマス熱(蒸気)供給事業・バイオ燃料供給事業
(4)設備システムメーカー
3. 政策(FIT制度、政策目標など)
(1)FIT制度におけるバイオマス発電の買取価格
(2)バイオマス発電設備導入量
(3)国内に賦存するバイオマスエネルギー
4. バイオマス発電システムの方式
(1)バイオマス発電システムの方式
第2章:バイオマスエネルギー市場の動向(電気・熱)
1. メタン発酵ガス(バイオガス)
(1)バイオガスの熱・発電利用
(2)バイオガス事業の課題
(3)バイオガス事業推進協議会
(4)家畜排せつ物処理施設
(5)下水処理施設及びし尿処理施設
(6)廃棄物処理施設
(7)バイオガスシステムのメーカー
(8)バイオガスシステムの動向
2. 木質バイオマス
(1)発電用の木材チップ燃料
(2)未利用木材
(3)製材端材及び建築物の解体材
(4)日本木質バイオマスエネルギー協会
(5)全国木材チップ工業連合会
(6)日本木質ペレット協会
(7)バイオマス発電事業者協会
(8)木質バイオマスエネルギー利用動向調査
(9)木質ペレットの統計データ
(10)木質バイオマス燃料の輸入
(11)森林・林業基本計画
(12)木質バイオマス発電システムの市場概況
第3章:バイオ燃料市場の動向
1. バイオ燃料の主な種類
(1)主な種類と用途
(2)非可食資源由来のバイオ燃料
2. バイオディーゼル
(1)バイオディーゼルの動向
(2)バイオディーゼルの原料
(3)全国バイオディーゼル燃料利用推進協議会
(4)バイオディーゼル市場
(5)バイオディーゼルの事業者
(6)バイオディーゼルの製造プラント
3. バイオエタノール
(1)バイオエタノールの動向
(2)バイオマス燃料供給有限責任事業組合
(3)バイオガソリン
4. バイオジェット燃料
(1)バイオジェット燃料の動向
第4章:バイオマスエネルギーの市場規模推移
1. バイオマスエネルギー・システムの価格
(1)価格体系
2. バイオマスエネルギーの市場規模推移
(1)FIT 制度によるバイオマス発電設備導入量
(2)FIT 制度+RPS 制度によるバイオマス発電設備導入量
(3)バイオマス発電事業の発電量・売電売上
(4)バイオ燃料供給事業
(5)バイオマス発電設備市場
(6)バイオマスエネルギー設備市場
(7)木質系バイオマス原燃料供給市場
(8)熱・蒸気供給市場
(9)バイオマスエネルギー供給市場
第5章:有力事業者の取り組みと戦略分析
1. 関西電力
再生可能エネルギーの開発をより一層加速し国内トップクラスの設備容量を確保
低炭素のリーディングカンパニーを目指す
グループ目標として2030年代の再エネ設備容量合計600万kWを掲げる
地域に適したエネルギーの在り方を追求し持続可能なバイオマス発電事業を目指す
2. 九電みらいエナジー
バイオマス発電を含む再生可能エネルギー5電源の開発・導入を進め再生可能エネルギー市場のトップランナーを目指す
鶏ふん発電事業において設備利用率約80%、同稼働率約90%の水準を実現
2023年時点で累計約451MWのバイオマス発電導入を予定
3. 中部プラントサービス
国産材を活用した木質バイオマス発電所を自社で建設・運営し再生可能エネルギー分野の事業領域を拡大
補機の制御最適化などの工夫・改善を継続実施し発電事業の収益を向上
ユーザー系EPC事業者としての経験を活かしてO&Mサービスへの参入に取り組む
4. 中国木材
木材製品の製造工程と連動した木質バイオマス発電により原木や蒸気をフルに活用
自社での発電設備運転による知見を設備設計や機器選定に反映
日向工場などでバイオマス発電設備の増設を計画
5. タケエイ
非廃棄物処理事業の核となる事業として再生可能エネルギー事業を位置づけ木質バイオマス発電事業を進める
地域密着を基本に山林間伐材や剪定枝などの国産未利用材の活用を促進
燃料の安定調達に向けて川上の燃料製造・供給にも積極的に関わる考え
6. オリックス資源循環
廃棄物処理施設のPFI事業において乾式メタン発酵技術を採用した廃棄物系バイオマスのエネルギー化を計画
2018年7月に埼玉県内でのメタン発酵事業の計画をスタート
混合ごみの処理や創エネの取り組みを通じて業容拡大を図る
7. タクマ
ボイラーの開発から発電プラントEPC、運転支援までをトータルで手掛け多様なバイオマスエネルギーのニーズに応える
2MWクラスから数十MWクラスまで幅広い発電規模に対応
FIT制度適用のバイオマス発電プラントのEPC受注実績は40件を超える
8. 日立造船
自社発電所の運営経験を活かしてバイオマス発電所のEPCからO&Mサービスまでワンストップで対応
木質バイオマス発電システムと食品廃棄物メタン発酵システムを展開
新規参入の事業者も視野にEPCやO&Mサービスを提案
9. 千代田化工建設
バイオマスエネルギー事業者のエンジニアリング・パートナーとして多様な設備仕様や環境負荷低減の要望に応える
大型木質バイオマス発電所とバイオ燃料製造実証プラントのEPCを実施
エンジニアリング事業の新たな展開先としてグリーンエネルギー分野に着目
10. JFEエンジニアリング
公共・民間の両セクターを対象に各種のバイオマス資源に対応したバイオマス発電事業やプラントEPCを展開
食品廃棄物を用いて発電した電力をグループ会社経由で廃棄物排出者に販売
FIT制度終了後を見据えて発電以外の資源利用方法の検討を開始
11. 水ingエンジニアリング
有機性廃棄物の処理プラントのEPCから維持管理、PFI事業まで一気通貫で手掛ける
メタン発酵施設の納入実績は約300件に上る
トリジェネレーションにより温水やCO2を活用
12. 月島機械
ライフサイクルビジネスの一環として消化ガス発電事業や下水汚泥の燃料化事業を推進
信頼性と採算性に優れるガスエンジンを採用
消化ガス発電事業の受注実績で先行
13. シン・エナジー
エネルギーを基軸とした地域のプロデュース&エンジニアリング企業
地域主導の発電所の開発で持続可能な地域社会の実現を促進
ユーザー目線のエンジニアリングでバイオマスエネルギーをフル活用
「小規模」「熱の需要家の探索」を前提に熱電併給事業を計画
14. グリーン・サーマル
川上の燃料供給から川下の発電までをカバーするトータルバイオマス産業の実現を目指す
中規模クラスの木質バイオマス発電所を中心に開発
自社開発の発電所では運営業務の受託も可能
15. インテグリティエナジー
歩留り材を含む森林資源のカスケード利用に貢献する木質バイオマス発電のビジネスモデルを考案
2MW未満の枠を利用したバイオマス発電所を先行して開発
将来的に林業支援事業への参入を見据える
16. ユーグレナ
微細藻類由来のバイオジェット・ディーゼル燃料の技術開発を進めパートナーとともに2030年のバイオ燃料産業確立を目指す
発電所の排熱・排CO2の活用によりバイオ燃料のコスト削減と環境価値向上を図る
2025年にバイオ燃料の商業プラントを稼働し量産化を計画
17. パナック
新規事業として藻類事業プロジェクトを展開
多種多様な微細藻類を活用した原料供給の事業化を進める
微細藻類由来の機能性素材の開発によるバイオマスの6F実現を目指す
少量多品種生産のニーズがある原料を中心に供給
第6章:バイオマスエネルギー市場の将来展望
1. 事業課題と将来展望
(1)バイオマス発電市場
(2)メタン発酵ガス(バイオガス)発電市場
(3)木質バイオマス発電・未利用木質バイオマス発電市場
(4)バイオ燃料市場
(5)市場規模予測
2. 注目事例・取り組み
(1)東京ガスエンジニアリングソリューションズ
(2)仙台市
(3)みやぎ生活協同組合
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