今週の"ひらめき"視点
関電の金品受領問題、問われているのは経営者の“品質”である
10月2日、関西電力は高浜町元助役からの金品受領問題について2回目の記者会見を開き、税務調査で発覚した地元建設会社「吉田開発」の裏金3億円の使途、すなわち、“2011年から2018年にかけて関電幹部20人が元助役から受領した総額3億2千万円” の内訳を公表した。関電幹部が受領した金品の中身は、現金、外貨、金貨、小判、商品券、、、とまさに娯楽時代劇の “悪代官さま” と利得に塗れた “小物商人たち” の図式そのままである。
元助役は1987年に町役場を退職、以後、30年間にわたり関電子会社「関電プラント」の顧問を務める一方、吉田開発の顧問、原発警備会社「オーイング」の筆頭株主・取締役を兼務する。吉田開発は2015年から2018年にかけて関電やゼネコンから27億円相当の原発工事を受注、オーイング社も2007年に5億円程度であった売上を2018年には51億円へと拡大させている。元助役と関電との “不適切な関係” の説明はこれだけでも十分であるが、こうした歪んだ関係の背景には、同氏が助役時代に推進した高浜3,4号機増設について「当時の状況を暴露する」との関電担当者への恫喝があった、とも言う。
元助役が仄めかした「当時の状況」も含めて “闇” の真偽と深さは不明である。とは言え、国税局が指摘した時期以前から “不適切な関係” が引き継がれてきたであろうことは想像に難くない。
しかし、それはそれとして更に衝撃的であったのは幹部たちの一連の言動である。「金品は一時的に個人の管理下で保管した」と釈明した社長、自らの金品受領の公表後も「引き続き財界活動に貢献したい」と言い続ける会長、事件について問われ「友達だから悪く言えない」と公言する経団連会長、彼らの姿と言葉に底知れぬ人格の劣化、品性の欠落を感じる。彼らに企業倫理や企業統治を語るべき資質はない。第一線からの退出が望ましい。
今週の“ひらめき”視点 9.29 – 10.3
代表取締役社長 水越 孝