今週の"ひらめき"視点

ガザ、停戦。「”壁“の外と内」の真実から目を逸らすな

1月19日、ガザは6週間の時限が付いた第1段階の停戦期間に入った。当初、停戦開始時刻は8時30分とされたが、ハマス側からの人質名簿の提出が遅れたため、11時過ぎの停戦入りとなった。この間、イスラエル国防軍は空爆を継続、新たに19人の命が失われた。この日、ハマスは人質3人を解放、イスラエルは受刑者90人を釈放した。合意が順調に守られれば第1段階の停戦期間中にイスラエル人33人、パレスチナ人1890人が”交換“されるという。

報道では解放されたパレスチナ人を「受刑者」「囚人」と表現した。しかし、彼らは起訴や裁判にもとづく犯罪者ではない。NHKは世界の教育コンテンツの向上と文化の相互理解に貢献する映像作品を毎年”日本賞“として表彰しているが、2023年のグランプリ作品「Two Kids A Day」が思い出された。作品に登場する元少年はイスラエル兵に石を投げたという”テロ“行為によって拘束された。ヨルダン川西岸では毎年700人のこどもがイスラエル軍に逮捕されているという。タイトルの”1日に2人のこども“とはこの意味だ。

2023年10月7日、戦端はハマスによる”奇襲“によって開かれた。しかし、占領者による暴力の日常がその根底にあったことを看過すべきではない。2024年1月、国際司法裁判所(ICJ)はイスラエルに対してジェノサイド阻止の暫定措置を命令、7月には武力による領土取得と自決権の剥奪を国連憲章違反と認定した。9月、国連総会で加盟国の6割を越える124ヶ国がこれを採択、11月、国際刑事裁判所(ICC)はハマス指導者とともにイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出した。容疑は人道に対する罪と戦争犯罪だ。しかし、イスラエルの後ろ盾である米国はこれを不満としてICCに制裁を課す法案を可決、トランプ氏がこれを引き継ぐ。

二国家共存への道は遠い。憎しみの連鎖も続く。解決は容易ではない。しかし、この問題の責任は言わば”絡み合った歴史“にある。同時代を共有する私たちもまた考え続ける必要がある。来る2月8日(土)17時30分より、筆者も運営の一端に関わっているシェア型書店「センイチブックス」はジャーナリスト 川上泰徳氏を招いて、パレスチナの今を伝えるドキュメンタリー映画「”壁“の外と内」の上映会&トークイベントを開催する。現地の空気を感じ、人々の表情に向き合い、彼らの声を聴くこと、そして、自分自身で考えることから始めたい。一緒に考えてみませんか。どうぞ、今すぐこちらから。

※ 「”壁“の外と内」上映会の詳細について
https://peatix.com/event/4222916
日時:2025年2月8日(土)PM17:30~21:00
場所(著書販売会): センイチブックス 東京都調布市仙川町1丁目19-24 リヴェール仙川202(京王線仙川駅徒歩1分)
(上映会): ツォモリリ文庫 東京都調布市仙川町1丁目25-4(京王線仙川駅徒歩3分)
入場料:3000円(内訳 参加費:2500円 +ツォモリリ文庫でのワンドリンク500円)
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今週の”ひらめき“視点 1.19 – 1.23
代表取締役社長 水越 孝